近隣商業地域とは|建物の制限内容と住宅を建てるメリット・デメリット

投稿日 : 2020年06月06日

「近隣商業地域」は、13ある用途地域の1つです。駅前の幹線道路や商店街など、商業に特化した地域が近隣商業地域に指定されています。

普段の生活はもちろん、住まいを建てる際にも有力な選択肢になる地域です。

今回は、近隣商業地域で建てられる建物と制限内容、「商業地域」との違いを解説していきます。

kobayashi

この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

近隣商業地域とは

画像引用:千葉市|用途地域

 

近隣商業地域は、都市計画法で定められた用途地域の1つです。

千葉市の用途地域説明ページでは、近隣商業地域を「近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域」と定義しています。

名称が似ている「商業地域」と並び、文字通り商業に特化した地域です。商業に関する施設のほとんどを建てることができる一方、立地の便利さから住宅を建てるためのエリアとしても人気があります。

 

近隣商業地域で建てられる建物・施設

近隣商業地域で建てられる建物・施設は以下のとおりです。

住宅等 ・住宅

・共同住宅

・寄宿舎

・下宿 など

店舗等 ・店舗などの床面積が150㎡以下のもの

・店舗などの床面積が150㎡を超え、500㎡以下のもの

・店舗などの床面積が500㎡を超え、1,500㎡以下のもの

・店舗などの床面積が1,500㎡を超え、3,000㎡以下のもの

・店舗などの床面積が3,000㎡を超え、10,000㎡以下のもの

・店舗などの床面積が10,000㎡を超えるもの

事務所等 ・事務所の床面積が150㎡以下のもの

・事務所の床面積が150㎡を超え、500㎡以下のもの

・事務所の床面積が500㎡を超え、1,500㎡以下のもの

・事務所の床面積が1,500㎡を超え、3,000㎡以下のもの

・事務所の床面積が3,000㎡を超えるもの

ホテル・旅館 ・3,000㎡を超える建物でも建築可
遊戯施設 ・ボウリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ場

・カラオケボックス

・麻雀店、パチンコ店

・劇場、映画館、演芸場 など

公共施設・病院・学校等 ・幼稚園、小学校、中学校、高等学校

・大学、高等専門学校、専修学校

・図書館

・巡査派出所

・神社、寺院、教会

・病院

・公衆浴場、診療所、保育所

・老人ホーム、身体障がい者福祉ホーム

・老人福祉センター、児童福祉施設

・自動車教習所

工場・倉庫等 ・自動車修理工場(300㎡以下)

・単独車庫

・建物附属自動車車庫

・倉庫業倉庫

・畜舎

・床面積50㎡以下の自転車店、パン屋、菓子屋、洋服屋等

・危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場(150㎡以下)

・危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場
(150㎡以下)

・危険物の貯蔵・処理量が非常に少ない施設

・試験物の貯蔵・処理量が少ない施設

 

商業に特化した地域のため、店舗や事務所に関しては面積の制限なく建物を建築可能です。その他、工場であっても規模、危険物の貯蔵が少ない施設であれば建築できます。

 

近隣商業地域で建てられない建物・施設

近隣商業地域で建てられない建物・施設は以下のとおりです。

風俗施設 ・キャバレー、ナイトクラブ、個室付浴場など
工場・倉庫等 ・300㎡を超える自動車修理工場

・危険性や建物を悪化させるおそれがやや多い工場

・危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場(150㎡超)

・危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場(150㎡超)

・危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させるおそれがある建物

・危険物の貯蔵・処理量がやや多い施設

・危険物の貯蔵・処理量が多い施設

 

近隣商業施設では、いわゆる「風俗施設」と呼ばれる建物を建築することができません。風俗施設を含めた全ての商業施設を建てられる「商業地域」とは、ここが大きく違う点です、

また、工場・倉庫に関しては「危険性がやや多い・多い」「危険物の貯蔵がやや多い・多い」以上に該当するものは建築できません。

 

近隣商業地域の制限内容

近隣商業地域の制限内容は以下のとおりです。

建ぺい率 60% 又は 80%
容積率 100%、150%、200%、300%、400%、500%のいずれか
隣地斜線制限 立ち上がり 31m 又は 適用なし
勾配 2.5 又は 適用なし
道路斜線制限 適用距離 20mから50mまで5m刻み
勾配 1.5
日影規制 対象建築物 高さ10m超
測定面 4m 又は 6.5m
規制値 4-2.5h / 5-3h
敷地面積の最低限度 200㎡以下

 

北側斜線制限及び絶対高さ制限はありません。

また、「高度地区」「防火地域」「準防火地域」等に指定されている場合、自治体の条例等によって制限内容が異なる場合があります。

また、商業地域のとの違いは以下のとおりです。

  • 建ぺい率が60%又は80%の2つ(商業地域は80%のみ)
  • 容積率が100~500%と幅が狭い(商業地域は200~1,300%)
  • 日影規制がある(商業地域は日影規制がない)

 

近隣商業地域のメリット・デメリット

 

13ある用途地域では、規制の厳しい地域から緩い地域まで様々です。規制が厳しいほど生活環境に配慮されているため、閑静な住宅街を形成しやすくなります。一方、規制が緩いほど様々な建物が立つため、賑やかな地域を形成しやすくなります。

近隣商業地域は、規制が緩い用途地域のため、商業施設が多く並ぶエリアです。住宅を建てる上でメリットが大きい分、デメリットにも目を向ける必要があります。

 

メリット

近隣商業地域は、風俗以外のあらゆる商業施設が建築可能です。食料品、消耗品のほとんどが商店街や駅前銀座等で手に入るほか、レストランからカフェ、居酒屋まで、外食店も含めてあらゆる店舗が揃います。

文字通り住宅の近隣に形成されることが多いため、日常生活の便利さを追求するなら是非とも検討したいエリアです。商業施設の多さは「雇用の創出」にも繋がるため、学生のアルバイトや正社員の就職にも便利な立地です。

 

デメリット

「低層住居専用地域」「中高層住居専用地域」などの住居系に区分される用途地域では、商業施設の建築に一定の制限が設けられています。一方の商業地域、近隣商業地域には住居系のような制限はありません。

そのため、商業施設の利用を目的とした人の往来が激しくなり、どうしても騒がしくなります。

閑静な住宅街か、賑やかな商業地域か、将来の生活を見据えて用途地域を選ぶことが必要になります。

 

近隣商業地域の特性を営業トークに活かす

近隣商業地域は一戸建てやマンションであっても建築可能です。そのため、「立地が良い場所で生活したい」という方のニーズがあります。

住宅系の用途地域と比較して、どのような注意点があるのかを説明できれば、営業トークにも活かすことができるでしょう。

 

風俗関連の建物がNGで治安が良い

近隣商業地域は、商業施設と違って「風俗施設」を建てることができません。建築できる娯楽施設は、カラオケ店、マージャン店、パチンコ店、映画館、居酒屋などです。

ギャンブルができる施設が建築されることもありますが、風俗店がない分治安は良好です。賑やかな立地の用途地域としては、子育てに向いた地域と言えます。

 

娯楽施設が多いため子供の誘惑が多い

風俗店がないといっても、前述の通りパチンコ店やマージャン店は建築可能です。また、映画館や漫画喫茶、カラオケ店など子供が利用しやすい娯楽施設が多く並ぶこともあります。

賑やかで休日の遊び方に困らない一方、学業に専念させたい年頃の子供を持つ親にとっては、誘惑が多い点がマイナスになります。

人の往来や交通量が多い分、事故やトラブルに巻き込まれる可能性も考慮するべきでしょう。

 

商業地域との違い

商業地域との大きな違いは、以下の2つです。

  • 商業地域は風俗施設が建設可能
  • 商業地域は「日影規制」がない

商業施設は、個室付浴場やキャバレーといった風俗施設であっても建築が可能です。また、日影規制が存在しないため、大きな建物を建てることができます。

そのため、仮に商業地域に建物を建てたとしても、隣が空き地の場合はどんな建物が立つのか判断できません。

高層ビルが立ち並ぶエリアで地価が高く、日影規制で住宅を保護する規定も無いため商業地域に一戸建てが建つことは稀です。

一方の近隣商業施設であれば風俗店を避けて建物を建てられるうえ、日影規制があることで日照権を守りながら生活することが可能です。

あわせて読みたい:商業地域とは|近隣商業地域との決定的な違いとメリット・デメリットを解説

 

まとめ

今回は、近隣商業地域の特性と制限内容、商業地域との違いまで解説しました。

商業施設が立ち並んだ駅前の立地から、数ある用途地域の中でも利便性は最高の部類です。一方、交通量や人口が多いことから「静けさ」とは無縁になり、人によってはデメリットを強く感じるエリアでもあります。

営業トークでは、メリット・デメリットを確実に伝えるようにしていきましょう。