「借地権」とは|借地権付き建物の調査方法とメリット・デメリットを解説

投稿日 : 2019年11月29日/更新日 : 2023年02月02日

不動産業界では、「借地権付き建物」の取引を担当することがあります。この「借地権」とは、具体的にはどのような権利なのでしょうか。

今回は、借地権の概要と調査方法、借地権付き建物のメリット・デメリットをご説明します。

借地権とは

借地借家法によると、借地権とは「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権」と定められています。つまり、地主様の土地を借りて、その土地に自分の所有物である建物を建てられる権利のことです。

また、土地を貸す地主様のことを「借地権設定者」または「底地人」、借主様を「借地権者」と言います。

借地権と所有権の違い

「借地権」は、地主様から土地を借りる権利で、借主様は月毎に地代を支払います。

また、建物は借主様の所有物であっても、その建物が依拠している土地は地主様のものであるため、建物を売却・譲渡する場合や、増改築・再建築する場合には、地主様の承諾が必要となります(「土地賃借権」の場合)。

一方、「所有権」は土地を自分帰属の所有物とする権利です。そのため、土地や建物を自由に使用することができます。

ただし、借地権のうち「地上権」の場合は、地主様の承諾を得なくても、自由に売買や改築・再建築ができる借地権で、借主様の権利が強い契約です。

借地権の種類

借地権は大きく分けると、①「旧借地法」における借地権と、②1992年に新たに施行された「借地借家法」で規定される借地権があります。

①旧借地権

旧借地権は、借地権者(借主様)の権利を強く守る傾向にあるため、地主様から土地の返還を求めることができませんでした。

借地借家法が施行された現在でも、旧借地法時代に結んだ契約は、そのまま旧借地法が適用されます。新法へ切り替えたい場合は、契約そのものを改めて結びなおす必要があります。

②借地借家法の借地権

新借地借家法の借地権は、5種類に分類されます。

  • 普通借地権
    契約期限はあるが、通知なしで自動更新(法定更新)される借地権。
    更新を繰り返せば、際限なく借りることが可能。
  • 定期借地権
    契約期間を設け、更新しない借地権。契約終了後は更地での返還となる。
    住宅用(戸建て、マンション)で契約期間は50年以上。
  • 事業用定期借地権
    契約期間を設け、更新しない借地権。契約終了後は更地での返還となる。
    商業施設用で契約期間は10年以上50年未満。
  • 建物譲渡特約付借地権
    契約満了後に土地所有者が建物を買い取る契約がつく借地権。
    契約期間は30年以上。
  • 一時使用目的の借地権
    仮設の事務所や倉庫などを目的とした一時的な借地権。

借地権の調べ方

担当不動産に借地権が設定されているか調べるには、法務局にて登記簿謄本を取得し参照します。

土地と建物の登記を確認し、それぞれの所有者が異なる場合には、建物所有者が土地を借りている可能性があります。

戸建と非敷地権マンションの場合は「権利部(甲区)」、マンションの場合には「表題部(敷地権の表示)」を確認しましょう。

「借地権付き建物」のメリット・デメリット

借地権付き物件には、メリット・デメリットがあります。不動産業者として借地権の特徴を理解し、業務に役立てましょう。

◆メリット

  • 土地の所有権つきの物件より安い。
  • 借りている土地には固定資産税・都市計画税がかからない。

◆デメリット

  • 毎月の地代がかかる。
  • 地代の金額は毎年更新されるので値上げの可能性もある。
  • 売買や譲渡、増改築・再建築には地主様の承諾が要る。
  • 住宅ローンを受けにくいこともある。

以上のように、借地権付き不動産にはデメリットもありますし、いずれは土地を返還しなくてはいけません。

しかし、「自分が生きているうちに住めればいい」「割安で購入できるなら納得」と、メリットを感じる買主様もいます。

お客様のニーズに合致するなら、借地権付き不動産も選択肢の一つとしてご提案するといいでしょう。

不動産営業実務マニュアルに興味がある方は下記の記事をご覧ください。

不動産営業実務マニュアル

不動産業務実務の基本に興味がある方は下記の記事をご覧ください。

不動産営業が使える仲介情報

不動産業務実務の基本関連記事

  1. 不動産業務効率化
  2. 不動産DXサービス特集
  3. 不動産DX導入インタビュー
  4. 不動産業界DX
  5. 【2022年最新版】大手不動産会社ランキング|仲介実績が多い会社を比較!