供託所等に関する説明とは|営業保証金と弁済業務保証金分担金の違いを知る
不動産の売買契約をするときの重要事項説明では、必ず供託所等に関する説明を行います。
不動産取引では所有権移転登記などの登記手続きが発生し、登録免許税がかかります。
この登録免許税とはどういった税金なのでしょうか。
登録免許税とは何か、不動産取引以外で発生するケースに触れたうえで、登記の種類による税率の違いや軽減税率が適用される条件、計算方法などについて解説していきます。
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この記事の監修者: 小林 紀雄 住宅業界のプロフェッショナル某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。 |
登録免許税とは、登記手続きを申請する際に納める国税です。
登記とは、一定の事項を法務局の登記簿に記録して権利関係を公示することをいいます。登記は取引を円滑に安全に行うために重要なものと位置付けられています。
そして、登記された情報は広く一般的に公開されており、誰でも法務局で手数料を支払って閲覧したり、登記事項証明書の交付を受けたりすることが可能です。
ここでは、登録免許税が課税される登記にはどんな種類があるのか、解説していきます。
不動産登記とは何かわかりやすく解説|不動産登記の種類や目的も紹介
不動産登記とは、不動産である土地や建物の所在地や広さ、所有者の住所、氏名といった情報を法務局の登記簿に記録して、広く一般に公開することをいます。
不動産登記は登録免許税の課税対象になります。
会社の登記とは、取引を行うときに重要とされる、会社の商号(社名)や本社所在地、事業の目的、代表者の氏名や住所といった事項を法務局の登記簿に記録して、一般公開することです。
株式会社や合資会社、合名会社、合同会社に関する登記は商業登記といいます。
また、一般社団法人や一般財団法人、医療法人社団、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、特定非営利活動法人に関する登記は法人登記です。
商業登記にも法人登記にも登録免許税が課税されます。
会社の登記には、設立や移転、役員変更、称号変更、目的の変更、解散、清算結了といった種類があります。
登記には、不動産登記や会社の登記以外にも種類があり、以下のような登録も登録免許税の課税対象になります。
<その他の登記など>
登記に関わる登録免許税のうち、不動産登記に関する登録免許税について、詳しく解説していきます。
不動産登記とは、不動産である土地や建物の所在地や面積といった物理的状況や、所有者の氏名や住所、抵当権の設定の有無などの権利関係を法的に明らかにする制度です。
不動産登記をしていなければ、第三者に対して不動産に対する権利を主張することができません。
また、相続を繰り返す中で登記を失念していると、所有者が特定できない土地になってしまう恐れもあります。
また、登記をしていなければ、不動産を担保に融資を受けることはできません。
不動産登記の手続きを取引の当事者自身が行うケースは少なく、後述する表題登記は土地家屋調査士に、所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記などは司法書士に委託するのが一般的です。
代表的な不動産登記は、以下の種類があります。
<不動産登記の種類>
不動産の登録免許税の税率は、登記の種類や登記を行う事由によって異なります。
登録免許税は課税標準と呼ばれる税金の算定に用いる基準に、税率を掛けて算出します。
登記の種類ごとに、登録免許税の課税標準と税率を紹介していきます。
土地の所有権移転登記を行う場合の登録免許税の課税標準と税率は以下の通りです。
課税標準 | 税率 | |
売買 | 固定資産税評価額 | 2% |
相続 | 固定資産税評価額 | 0.4% |
その他 (贈与・交換・収用・競売等) |
固定資産税評価額 | 2% |
建物に関わる所有権保存登記と所有権移転登記の課税標準や税率は以下の通りです。
課税標準 | 税率 | |
所有権の保存 | 固定資産税評価額 (決定していない場合は法務局の登記官による認定価格) |
0.4% |
売買又は競売による所有権の移転 | 固定資産税評価額 | 2% |
相続又は法人の合併による所有権の移転 | 固定資産税評価額 | 0.4% |
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等) | 固定資産税評価額 | 2% |
抵当権設定登記を行う場合の登録免許税は、課税標準となる債権金額、つまり、住宅ローンの借入額に税率を掛けて算出します。
課税標準 | 税率 | |
抵当権の設定 | 債権金額 | 0.4% |
不動産の登録免許税は次に挙げる計算式で算出できます。
登録免許税額 = 課税標準 × 税率
土地や建物の登録免許税の計算方法について、具体例を挙げていきます。
<土地の所有権移転登記(売買):固定資産税評価額2,000万円の場合>
(固定資産税評価額)2,000万円 × (税率)2% = 40万円
<建物の保存登記:固定資産税評価額1,000万円の場合>
(固定資産税評価額)1,000万円 × (税率)0.4% = 4万円
<建物の所有権移転登記(売買):固定資産税評価額1,000万円の場合>
(固定資産税評価額)1,000万円 × (税率)2% = 20万円
<抵当権設定登記:住宅ローン借入額3,000万円の場合>
(債権金額)3,000万円 × (税率)0.4% = 12万円
不動産登記の登録免許税の計算方法については、『登録免許税の計算方法を解説|不動産登記の軽減税率が適応する条件とは』で詳しく解説しています。
不動産の登録免許税では、一定の要件を満たすと税負担が軽減されます。
不動産の登録免許税に関係する軽減措置について解説していきます。
不動産の登録免許税に軽減措置が適用されるには条件が設けられています。
次に挙げる住宅用家屋のケースで、登録免許税の軽減税率が適用される条件について解説していきます。
新築住宅の所有権保存登記で、住宅用家屋の登録免許税の軽減措置が適用されるのは、以下の全ての条件を満たした場合になります。
中古住宅の所有権移転登記で、住宅用家屋の登録免許税の軽減措置が適用されるのは、以下の全ての条件を満たした場合になります。
住宅ローン借り入れの際の抵当権設定登記で、軽減措置が適用される条件は、所有権保存登記や所有権移転登記と同じです。
新築住宅の場合は、新築建物の所有権保存登記で登録免許税の軽減措置が適用される条件を満たしていれば、抵当権の設定登記の登録免許税の軽減措置も適用されます。
同様に、中古住宅の場合の抵当権設定登記の登録免許税の軽減措置の適用条件も、中古住宅の所有権移転登記の登録免許税の軽減措置が適用される条件と同じです。
住宅用家屋に関わる登録免許税の軽減税率の適用は時限措置であり、所有権保存登記も所有権移転登記も、抵当権設定登記も2020年3月31日までとされていました。
しかし、この3つについては期限が延長され、2022年3月31日までとなっています。
不動産の登録免許税の軽減税率は、ここまでに紹介した以外にもあります。軽減税率や期限などを一覧にまとめました。
本則税率 | 軽減税率 | 期限 | |
土地の所有権移転登記(売買) | 2% | 1.5% | 2021年3月31日 |
住宅用家屋の所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 2022年3月31日 |
住宅用家屋の所有権移転登記 | 2% | 0.3% | 2022年3月31日 |
特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記 | 0.4% | 0.1% | 2020年3月31日 |
認定低炭素住宅の所有権の保存登記 | 0.4% | 0.1% | 2020年3月31日 |
特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記 | 2% | 0.1% | 2020年3月31日 |
住宅取得資金の貸付け等の抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% | 2022年3月31日 |
新築住宅の場合は住宅用家屋の所有権保存登記、中古住宅の場合は住宅用家屋の所有権移転登記、抵当権の設定登記の場合は住宅取得資金の貸付け等の抵当権設定登記が該当します。
実際に登録免許税はいくらかかるのか、新築マンションと新築一戸建て、中古マンションの場合について、具体例を挙げて紹介していきます。
なお、土地の所有権移転登記には2021年3月31日までの軽減税率を適用し、建物の所有権保存登記および建物の所有権移転登記、抵当権設定登記については2022年3月31日までの軽減税率を適用しました。
<物件価格4,5000万円(土地評価額900万円、建物評価額1,900万円)、住宅ローン借入額4,000万円の場合の登録免許税額>
土地の所有権移転登記:900万円 × 1.5% = 13万5,000円
建物の所有権保存登記:1,900万円 × 0.15% = 2万8,500円
抵当権設定登記:4,000万円 × 0.1% = 4万円
合計:20万3,500円
<物件価格4,5000万円(土地評価額1,200万円、建物評価額1,600万円)、住宅ローン借入額4,000万円の場合の登録免許税額>
土地の所有権移転登記:1,200万円 × 1.5% = 18万円
建物の所有権保存登記: 1,600万円 × 0.15% = 2万4,000円
抵当権設定登記:4,000万円 × 0.1% = 4万円
合計:24万4,000円
<物件価格4,5000万円(土地評価額900万円、建物評価額1,900万円)、住宅ローン借入額4,000万円の場合の登録免許税額>
土地の所有権移転登記:900万円 × 1.5% = 13万5,000円
建物の所有権移転登記:1,900万円 × 0.3% = 5万7,000円
抵当権設定登記:4,000万円 × 0.1% = 4万円
合計:23万2,000円
登録免許税の支払い方法には現金で納付する方法と収入印紙で納付する方法、オンライン申請の場合に電子納付する方法があります。
ここでは、現金で納付する方法と収入印紙で納付する方法について、支払いのタイミングに触れて紹介していきます。
その後、登録免許税納付用台紙に領収証書を貼付して、登記申請書に添付して登記申請を行うという流れです。
登録免許税を収入印紙で納付する場合は、収入印紙を登記申請書に貼付して登記申請を行います。多くの法務局では収入印紙を販売していますので、申請時に収入印紙を購入してその場で貼付することが可能です。
収入印紙での納付は登録免許税の税額が3万円以下のときとされていますが、実際には税額が3万円を超える場合であっても、収入印紙で納付されるケースもあるようです。
税額が3万円を超える場合は、収入印紙での納付で問題ないか、事前に法務局に確認するとよいでしょう。
登録免許税は建物を新築したり、土地や建物の売買を行なったりした場合などに必要となる、登記手続きで発生する税金です。
登録免許税は不動産売買で発生するいわゆる諸費用の一つになります。お客様に適切に登録免許税の目安を伝えられるように、計算方法や税率、軽減税率が適用される条件などを把握しておきましょう。
不動産営業実務マニュアルに興味がある方は下記の記事をご覧ください。
不動産業務実務の基本に興味がある方は下記の記事をご覧ください。
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