「地域・地区・区域」の違いとは|都市計画法のエリア分けと用途・建築制限

投稿日 : 2020年02月07日/更新日 : 2023年04月10日

国内の土地は「都市計画法」によって、都市機能や景観・自然保護などを考慮して、地域・地区ごとに用途制限や建築制限を定めています。不動産を担当していると、その物件の存在するエリアの規定を守るよう十分気を付けなくてはいけません。

しかし、これらのエリア分けは細かく、エリアを表す用語も地域・地区・区域など、たくさんあり煩雑です。

そこで今回は、これらエリア・領域を表す用語の使い分けと、現在規定されているエリアの種類をご紹介します。

 

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「地域・地区・区域・街区」の違いとは

エリア・領域を表す用語として、都市計画法で主に使用されているのは、「地域」「地区」「区域」「街区」の4種類です。

それぞれの用語は厳密に使い分けられているわけではありません。しかし、おおよその意味やニュアンスの違いを知っておくと、理解が深まります。

「地域」とは

「地域」とは、ある観点でまとめられた一帯の土地を意味します。4語の中では最も広範囲を表すニュアンスが強い用語です。

また、境界を明確にせず、ある観点でまとめられる土地の広がりを表す用語として使用する場合もあります。

◆「地域」の使用例…商業地域、工業地域

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「地区」とは

「地区」は地域と同様、比較的広い範囲を指します。地域よりも、明確な境界によって区切られているというニュアンスが強い用語です。

◆「地区」の使用例…高層住居誘導地区、景観地区、歴史的風土特別保存地区 など

「区域」とは

「区域」とは、ある目的のために境界で区切られた一定の範囲を意味する用語です。「地区」と比べて、より限定的な領域を示すニュアンスがあります。「区域」は、土地だけでなく水域(水面の範囲)を表すのにも使用されます。

◆「区域」の使用例…都市計画区域、河川区域、浸水想定区域 など

「街区」とは

「街区」とは、市街地において街路や鉄道・河川などで区切られた一区画を意味します。市街地とは、住宅や店舗・ビルなどが立ち並ぶ、森林・農地を含まない領域のことです。

◆「街区」の使用例…特定街区、防災建築街区 など

「都市計画法」におけるエリア分け

都市計画法」は、土地の利用方法や市街地の開発などについての規制や整備方法を定めた法律です。都市の健全な発展と秩序ある整備、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進を目的としています。

都市計画法により、国土全体は細かく分けられ、用途制限や建築制限が定められています。その分類とそれぞれの規定をまとめました。

① 都市計画区域

国土全体はまず、市区町村を超えて「都市計画区域」「準都市計画区域」「都市計画区域外」に分けられます。これは、都道府県知事または国土交通大臣が決定します。

都市計画区域 人口・就業者数の多い中心市街地を含む広範囲のエリアで、都市として総合的に整備・開発する区域
準都市計画区域 積極的な整備・開発を行う必要はないものの、そのまま放置すれば国内の総合的な整備・開発および保全に支障をきたす恐れのある区域
都市計画区域外 法律や条令による制限が特にない区域

② 区域区分

「都市計画区域」をさらに細かく分け、市街化を進める区域と市街化を抑制する区域を設定したのが、「区域区分」です。区域区分には、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引区域」があります。

区域区分の設定は、都市計画区域と同じく都道府県知事または国土交通大臣が決定します。

市街化区域 すでに市街地を形成している区域、および今後約10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域 市街化を抑制すべきエリアで、農地や森林を保護することを優先するため、基本的に建物の建築が許可されない区域
非線引区域 「市街化区域」「市街化調整区域」以外のエリアで、現状では土地の利用または保全などの計画がなされていない区域

③ 地域地区

都道府県などにより「都市計画区域」「区域区分」で分けられた土地は、続いて市区町村によって「地域地区」で分けられます。「地域地区」とは、その土地をどのような用途でどの程度利用するかを定めた分類です。

用途地域 土地の用途制限によって13種類のエリアに分けた地域
特別用途地区 地方自治体がその地域の特性に合わせて、全国共通の用途地域とは別に、特別に建築制限の強化または緩和を定めた地区
特例容積率適用地区 容積率を最大に利用していない敷地の未利用容積率を、別の建物に移転し、容積率を緩和できる特例が認められる地区
特定用途制限地域 良好な住環境を目的として、用途地域がないエリアでも「特別用途地区」と同等の用途制限を設けることができる地域
高層住居誘導地区 職住近接の都市環境を形成する目的に、都心部における高層住宅の建設を誘導するために指定した地区
高度地区 環境維持または街の発展を目的として、建築物の高さ制限(最高限度または最低限度)を定める地区
高度利用地区 もともとは用途制限のある地域であっても、今後の発展を目的に、道路を整備したり高層ビル群を建てられるようにした地区
特定街区 優れた都市機能の形成・保全を目的に、1つの街区の都市計画を総合的に行い、容積率の緩和などを定める街区
都市再生特別地区 都市再生・土地の合理的かつ健全な高度利用を図る必要があるエリアで、あらゆる用途制限や建築規制を除外できる自由度の高い地区
防火地域 建物密集地など火災の被害が拡大しやすいエリアの防火を目的に建築制限を定めた地域
準防火地域 火災の拡大を予防する目的で、防火地域に準ずる一定の建築制限を定めた地域
特定防災街区整備地区 老朽化した木造建築物が密集したエリアに、防火機能をもたせるために建築制限を定めた地区
景観地区・準景観地区 市街地の良好な景観を維持するため、建築物の形態意匠(デザインや配色)に制限を設けた地区、またそれに準ずる地区
風致地区 都市において自然的景観に富んでいる区域や、良好な住環境を保つ区域、歴史的意義のある区域などを維持するために規制を定めた地区
駐車場整備地区 交通量が多い地域の混雑を解消する目的で、一定以上の割合の駐車場建設が必要とされる地区
臨港地区 港湾の管理運営を円滑に行うため、隣接する陸域を指定し、港湾区域と一体となった土地利用を図る地区
歴史的風土特別保存地区 古都の歴史的風土を後世まで適切に保存するため、国などが特別な措置を定めている区域
第1種歴史的風土保存地区・ 第2種歴史的風土保存地区 奈良県明日香村の飛鳥時代の遺跡を歴史的遺産として保存するために定められた2地区
特別緑地保存地区 都市における良好な自然的環境となる緑地において、現状をできるだけ保全する目的で、一定の建築制限を設けた地区
流通業務地区 流通業務施設を集約的に立地させることにより、流通をスムーズに行うことを目的として作られた地区
生産緑地地区 公害や災害の防止、農林漁業と調和した良好な都市環境の形成を図るために、農地の緑地機能を計画的に保全する地区
伝統的建造物群保存地区 城下町・宿場町・門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存を図る地区
航空機騒音障害防止地区・航空機騒音障害防止特別地区 特定空港の周辺について、用途規制や特別措置を定め、航空機の騒音による障害を防止し、適正かつ合理的な土地利用を図る地域

④「用途地域」

「地域地区」のうち、住宅地や商業地域、工業地域など、都市生活の基礎的な用途で使用する地域を定めたのが、「用途地域」です。騒音や振動、排気などで生活環境が悪化しないよう計画的に配置されます。

用途地域は、13種類に分類されています。

エリア用語の規模感が逆転する理由

前章でご紹介しましたが、エリアを表す用語の規模感は、おおむね「地域>地区>区域>街区」というニュアンスで使用されるのが一般的です。しかし、都市計画法においては、「区域区分>地域地区」となります。

この逆転は、管轄行政の規模によるものです。区域区分を管轄する都道府県・国土交通省の方が、地域地区を管轄する市区町村より大規模であるため、区域区分は相対的に小規模な扱いとなります。

区域区分・地域地区は「重要事項説明」の義務がある

宅建業者が不動産取引や仲介をする際には、買主様に対して必ず事前の「重要事項説明」を行う義務があります。

その項目の中に「法令に基づく制限」もあります。対象不動産が、都市計画法による区域区分・地域地区のどのエリアに含まれるか、そのエリアには建築基準法上どんな建築制限があるかを、説明する必要があります。

また、エリアによっては、関係する法令が都市計画法・建築基準法だけではありません。用途制限・建築制限に関わる法令は、50以上もあります。

すべてを詳細までお客様に説明するのは難しいかもしれません。そのため、用途制限・建物の規模に関わる制限・行政の許可が必要な利用方法など、個別のケースに合わせて要点を見極めることが大切です。

自治体のWebサイトで「都市計画図」を確認できる

宅建業者は、担当不動産がどの区域区分・地域地区に含まれるか調べる必要があります。その際に便利なのが、自治体が公開している「都市計画図」です。

「都市計画図」の閲覧・取得方法は、自治体ごとに異なります。都市計画課などの担当窓口で取得できる場合や、公式サイトで閲覧・ダウンロードできる場合などがあります。自治体によっては発行手数料を支払う必要がありますので、問い合わせてみるといいでしょう。

地域地区への理解は宅建業に必須

都市計画法による区域区分・地域地区をきちんと理解することは、宅建業者にとってとても大切です。エリア分けがどのようになされているか知っていれば、煩雑な個々の用途・建築制限を理解しやすくなります。

重要事項説明の際にも、お客様に物件の条件を説明しやすくなります。また、建物を建築・増改築する場合にも、法令の調査やお客様への提案にも役立つでしょう。

質の高い不動産業務を提供するためにも業務効率化は必須といえます。「いえーるダンドリ」なら住宅ローンに関する業務を代行することができ、業務効率化を図ることができるので、ぜひご活用ください。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。
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