建築規制への理解を深める|特定用途制限地域の概要を解説
不動産の販売においては、自治体ごとに定められた建築制限の内容を正確に理解することが必要です。
建物を建築する際に特別に許可を得る必要のある「市街化調整区域」とは、どのような区域なのでしょうか。
また、お客様がこの区域で不動産を取得・建築したい場合には、どのように手続きすればいいのでしょうか。
今回は、この「市街化調整区域」についてご説明します。
「市街化調整区域」とは、都市計画法に定められた分類で、これとは別に「市街化区域」も設けられています。
「市街化区域」とは、すでに市街地を形成している区域に加えて、今後約10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域と定められています。
一方「市街化調整区域」はその逆で、無秩序な市街化を防止し、計画的に調整すべき区域のことです。
この区域では、新たな宅地整備工事=開発行為や建物の建築が、基本的に許可されていません。開発・建築する場合には、都道府県知事から許可を得る必要があります。
「市街化調整区域」においては、新築だけでなく既存宅地の増改築にも許可が必要となります。建築許可の取得条件は、都市計画法第43条などに定められています。
ただし、上記の都市計画法における条件だけでなく、各市区町村で独自に制定した基準を設けている場合もあります。「市街化調整区域」内の不動産取引を取り扱う際には、個別の確認が必要です。
「市街化調整区域」内での開発・建築の許可を取得する場合には、許可申請手続きを行います。
まずは、地方自治体にて事前に相談を行い、相談票を提出します。その際、案内図や公図の写し、土地・建物の登記事項証明書などの資料を提示し、建築計画の内容を説明します。
その後、正式に申請手続きをし、許可を得ます。開発審査会での検討が必要な場合は、説明資料の提出を求められる場合もあるので、対応が必要となります。
「市街化調整区域」は、建築・開発するのにクリアしなければいけない条件が多々設けられています。しかし、条件をクリアし建築・居住することになれば、のどかで住みやすい上に、不動産価値が割安であるという利点もあります。
宅建業者としてこのような幅広い案件に対応するには、「市街化調整区域」の取り扱い方もマスターしたいものです。