準防火地域とは何か、意味や建築基準を解説|防火地域との制限の違いは?

投稿日 : 2020年05月11日

準防火地域に指定されているかどうか、これは家を建てるときの重要なポイントです。

準防火地域とは、火災を防ぐために指定されたエリアのことで、準防火地域の他に防火地域というエリアもあります。

準防火地域に家を建てる場合には建築制限があり、建材に防火性のある材料を使う必要があるため、顧客にはその点を十分に納得してもらわなければいけません。

この記事では、準防火地域とは何か、準防火地域に家を建てるには何が制限されるのか、そして建てたい場所が準防火地域かどうか調べる方法について解説します。

kobayashi

この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

防火地域・準防火地域・22条区域の違い

日本では火災を防止するために「防火地域」が設けられています。

防火地域の種類には、防火地域・準防火地域・22条区域の3つがあり、建築物は耐火性を担保するよう、それぞれ条件が指定されています。

指定条件が異なる3つの区域について、順に確認していきましょう。

防火地域

防火地域には、駅や繁華街などが指定されることが多いです。

防火エリアの中でも一番厳しい制限がある区域であり、この区域に建築する建物は耐火構造となっている必要があります。

延べ面積100㎡以上 延べ面積100㎡以下
3階建て以上 耐火建築物 耐火建築物
1~2階 耐火または準耐火建築物

引用元:建築基準法制度概要集-国土交通省

上記の基準が定められており、面積や階数に応じて耐火建築物または準耐火建築物のどちらかに該当しなければなりません。

そのため、木造の家を建てられないエリアであり、鉄筋コンクリートまたは鉄骨製の建物のみ建てられるということになります。

ただし、一部耐火性が認められた木造建材は使用可能です。

なお、防火地域の建物規制についてはこちらでもまとめております。

防火地域と準防火地域を確認する|建物の安全性をチェック

準防火地域

準防火地域には、住宅などが密集しているエリアが指定されます。

建物の階数や延べ面積によって、耐火建築物にする必要があるかどうか決められているのです。

延べ面積1500㎡以上 延べ面積500~1500㎡ 延べ面積500㎡以下
4階建て以上 耐火建築物 耐火建築物
3階建て 耐火または準耐火建築物 耐火建築物

準耐火建築物

技術的基準適合建築物

1~2階 耐火または準耐火建築物 規制なし

引用元:建築基準法制度概要集-国土交通省

また、隣地や道路から一定の距離までは、外壁と軒先を防火構造にしなければいけません。

隣地や道路から、1階は3m、2階は5mの範囲が対象です。

なお、防火地域・準防火地域にはそれぞれメリットとデメリットがあり、火災保険の割引や建ぺい率の緩和を受けられることがあります。

詳しくは「防火地域」の建築基準・制限を解説|耐火構造と適用すべき建物とはで解説しています。

22条区域

防火対策についての指定が最も厳しい地域が防火地域であり、その周辺が準防火地域です。

さらにその周辺が22条区域に指定されることがあります。

防火地域や準防火地域よりも防火性能の指定は緩くなっていますが、建築時の条件として以下の2つが定められてます。

  • 屋根を不燃材で作る
  • 外壁を燃えにくい建材で作る

屋根はコンクリート・アルミ・瓦などを使い、外壁には腐葉土などを用います。

また、似ている言葉に23条区域もありますが、1つのエリアで重複することが多いので、特に区別して考える必要はありません。

耐火建築物・準耐火建築物・技術的基準適合建築物とは

<耐火建築物>

主要構造物に耐火性があり、延焼の危険のある窓やドアなどにも火災を遮る設備のある建築物です。

主要構造物とは屋根・壁・階段・床などを指すもので、火災時に一定時間燃えない建材を使用する必要があります。

その間に人が避難する時間を確保することが目的です。

<準耐火建築物>

主要構造物には一定の耐火性が必要とされ、火災時は指定の時間よりも早く倒壊することのない建材で作られた建築物が含まれます。

つまり、建材が燃えながらも、一定時間倒壊しないような建材で作られた建築物のことです。

<技術的基準適合建築物>

建物の構造物としては、準対価建築物とほぼ同じです。外壁と軒裏は耐火材ではなく、防火材を使えばよいと定められています。

準防火地域の建物の制限

準防災地域の建物は、防火の面からいくつかの制限が設けられています。

主に延焼ライン内での制限であり、延焼ラインとは、隣地や道路から1階は3m、2階は5mの範囲内のことです。

窓や外壁など、それぞれの部分で制限が設けられています。

窓・サッシ

延焼ラインにあるサッシは、防火仕様にしないといけません。20分以上遮炎機能のあるサッシが使われます。

同じく窓にも防火仕様のものを使用します。

窓ガラスであれば、網の入っているものが該当します。

網の入っていない、防火性のないガラスは使用することができません。

なお、どうしても網のないガラスを設置したい場合は、耐熱強化ガラスという火に強いガラスを使用します。

外壁

延焼ラインにある外壁は、防火構造にする必要があります。

材料には、国土交通省から防火性を認められた建材を使えば問題ありません。

なお、外壁に木を貼るときは、30mm以上の厚みがあれば準防火地域でも使用可能です。

軒裏

延焼ラインにある軒裏も、防火構造にしないといけません。

ただし、防火性のある軒裏の建造物は少なく、準防火地域に家を建てる場合には軒裏のコストが高くなりがちです。

なお、公園や川に隣接している家であれば、条件が緩和される場合があります。

シャッター

準防火地域では、シャッターにも防火性が求められます。

窓に防火シャッターを取り付けた場合は、サッシと窓ガラスには防火性がなくても構いません。

また、電動シャッター、手動シャッターどちらであっても、防火性があれば問題ありません。

カーポート

カーポートにも防火性を持たせる必要があります。

30平米未満の土地内であればポリカーボネート製のカーポートを使用できます。

一方、30平米以上の場合は防火性のあるスチールやアルミなどの素材を使用したカーポートを使用しなければいけません。

根・軒天

準防火地域での屋根は、不燃材を使用します。

火が燃え移っても飛び火しないこと、火災で燃え落ちないような材料を屋根に使うのです。

火災で燃え落ちない屋根というのは、瓦・コンクリート・金属などの素材が使用された屋根であり、その他にも燃えにくい加工がされた材料を屋根に使用します。

玄関ドア

延焼ラインにある玄関ドアにも、防火性を持たせないとなりません。このため、木製のドアは使用できません。

また、防火ドアは通常のドアよりも高価なので、その分コストは高くなります。

ただし、家の奥に玄関を設置すれば、準防火地域でも木製ドアを使うことは可能です。

準防火地域に木造住宅は建設可能?

準防火地域では、延べ面積500㎡以下で2階以下の建物であれば特に条件は指定されていないので、木造住宅も建てられます。

しかし、これを超える面積の建物の場合は、耐火性または準耐火性を建物に持たせなければなりません。

最近は木材でも防火性のある木材サッシのような建材も出てきているので、家の外壁や床に防火性のある木材を用いて家を建てることは可能です。

ただし無垢材は防火性がないため、準防火地域では使えません。

なお、準防火地域でも延焼ラインを外れれば、防火性のない木材も使用可能です。

例えば、家の玄関を奥に設置して、延焼ラインから外せば木製のドアも設置できるのです。

準防火地域では階数が高くなるほど、延べ面積が広くなるほど、要求される防火条件は高くなります。

そのため、広々とした家や3階建て以上の家などでは、ほとんどの建材で防火性が求められるので、木造住宅を建てることは難しいです。

木造にしたい、無垢材を使いたいという要望がある場合は、防火地域・準防火地域・22条区域以外を勧めることになります。

「木造3階建ては準防火地域に建てられるのか?」といったご相談を受けるケースもあるかと思いますので、こちらで事前に確認しておきましょう。

準耐火建築物で木造3階建ては可能か|準防火地域の概要と建築条件を確認

延焼ラインとは

延焼ラインとは、自分の家の隣地や接する道路で火災が発生したときに、火が燃え移る可能性のあるラインです。

隣地や接する道路から、1階は3m、2階は5mまでの範囲が延焼ラインとなります。

例えば、道路から3m以内にある玄関ドアや窓は延焼ライン内に含まれますが、公園や川など、空き地・水場に接した部分であれば、延焼ラインは緩和されます。

延焼ラインにある建築構造物には、すべて防火性を持たせなければなりません。

火災があると、延焼ラインにある家の建物に火が燃え移る可能性があるため、防火性を持たせて火災を広げにくくするのです。

火災があっても飛び火せず、崩れ落ちないような材料を使って建築物を建てる必要があるので、延焼ラインでの構造物には木材は使えないことが多いです。

準耐火建築物の建ぺい率緩和とは

敷地面積に対する建築面積の割合が建ぺい率です。

2018年の建築基準法正によって「準防火地域の耐火建築物、準耐火建築物の建ぺい率を10%緩和する」とされています。

ただし、耐火建築物を建てる場合にのみ建ぺい率は緩和されるので、耐火性がなければ建ぺい率緩和は適用されません。

この建ぺい率10%緩和によって、例えば今まで30坪の建物までしか建てられなかった場所に33坪の建物を建てられるようになります。

広い建物を建てることができるので使える建材が増え、これまで使いたい建材が使えないと諦めていたものも使えるようになる可能性があります。

準防火地域の内装制限

準防火地域では、建築物の内装について以下のような制限があります。

  • ガスを使うキッチンなど火気使用室は壁や天井を石膏ボードなどの準不燃材料で仕上げる
  • LDKかつリビングに木材を使用している場合は、不燃の垂れ壁などでキッチンを区切る
  • 部屋には火災報知器の設置が義務づけられている

このように、準防火地域にはさまざまな制限があり、使用する材料や設備が指定されています。

また、床材については特に指定がないためフローリングにすることは問題ありません。

準防火地域の建物の建築費用

準防災地域での建築費用は、1坪あたり90万円~120万円かかります。

これは準防災地域に該当しない地域の建築費用と比べると、1.2倍~1.6倍の費用です。

100坪の家を建てるとなれば、6,000万円ぐらいになる場合もあります。

また、2階以下の建物の場合は準防災地域でも防火制限が少々緩和されますが、3階以上の建物ではすべて防火性のある建材を使用しないといけません。

特に家の中の部分では、窓とサッシに制限がありコストがかかることは、顧客にしっかり説明すべきポイントです。

丸窓も出窓もつけることはできず、網の入った防火性のあるガラスを使います。

サッシにも防火性が求められるため、サッシだけで100万円ほどかかることもあり得るのです。

また、防火性のある建材は扱える職人が限られるため、建築コストも高くなる傾向にあります。

どれぐらいの広さで、何階の家を建てるのか、内装をどうするかによって建築費用はかなり変わること、コストが高くなる傾向があることを、十分に説明しなければいけません。

耐火建築物や準耐火建築物は火災保険を適用できる

準防火地域では建築コストは高くなりますが、その分火災保険の費用は軽減されます。

防火性のある家で安全性が高いため、火災保険が安くなるのです。

一般的な木造住宅と準防火地域にある戸建てを比べると、10年保険一括払いであれば30万円程度保険料が安くなることもあります。

土地が防火地域かどうかの調べ方

これから家を建てたい土地が防火地域かどうかを調べるには、役所に出向き都市計画図を確認したり、インターネットで公開されている都市計画図をチェックしたりする方法があります。

インターネットで調べる場合は「市町村名 防災地域」や「市町村名 都市計画図」のキーワードで検索してみましょう。

東京都などでは、都市開発によって防災地区の見直しをすることもあり、以前は該当しなくとも、現在では防災地区になっているエリアもあるため、最新の都市計画図を確認する必要があります。

また、駅前や繁華街周辺は防災地区になっていることが多いです。

土地が準防火地域とそれ以外の地域にまたがる場合

防火地域には、防火地域・準防火地域・22条区域の3つの区分があります。

土地が2つの区分にまたがる場所にある場合は、最も高い防火基準に合わせて建物を建てます。

例えば、土地が防火地域と準防火地域にまたがっているならば、建物は防火地域の基準で建築することになるのです。

しかし、建物を分断するように防火扉を設置すれば、それぞれの地域の基準で建物を建てることが可能です。

まとめ

防火地域には、防火地域・準防火地域・22条区域があります。

該当する地域にある土地に家を建てる場合は、定められた条件のもとに防火性のある建材の使用が義務付けられるため、建築コストが高くなることが特徴です。

また、地域によっては木造や無垢材での建築はできません。

さまざまな規制があるため、地域内の土地に家を建てるときには、どんな建材を使えばいいのかなど、具体的に顧客に説明できるよう心がけましょう。