「閉鎖登記簿」で物件の過去から重要情報を読み解く|活用と取得方法

投稿日 : 2020年01月31日

不動産の現況や履歴を知るのに有用な「登記簿」。その中に「閉鎖登記簿」という種類の登記簿があります。

この閉鎖登記簿は、不動産に関する過去の情報を調査するのに大変役立つものです。宅建業者にとっては、お客様が取引する不動産の詳細で確実な情報を得る手がかりになるため、とても重要な資料となります。

では、「閉鎖登記簿」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。今回は、「閉鎖登記簿」の概要と取得方法をご紹介します。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

不動産の「閉鎖登記簿」とは

「閉鎖登記簿」とは、何らかの理由で、登記簿としての機能・役割を終え、閉鎖されたものを言います。閉鎖登記簿は、現状を記録する資料としての機能はありませんが、過去の履歴として保存されます。

閉鎖登記簿として保存されるとき

①建物が滅失したとき

建物を取り壊したり、火災や災害、事件・事故などの理由で焼失・全壊すると、建物が滅失したことになります。その場合には、滅失登記を行い、登記簿を閉鎖します。

②土地を合筆したとき

複数の土地を1つの土地として統合することを、「合筆」と言います。合筆をすると、地番が首位の地番(番号の若い方)に統一され、下位の地番は消滅=閉鎖されます。

【例】「2番2」と「3番1」を合筆する場合。

2番1 2番2 3番1
2番1 2番2

「3番1」の土地は「2番2」に統合されたため、「3番1」の登記簿は閉鎖される。

③登記簿をデジタルデータ化したとき

登記簿はかつて紙による帳簿でしたが、1988年にコンピューターが導入され、登記簿のデジタルデータ化が開始されました。このコンピューター化は、2008年までに一般的な土地・建物の分を完了し、それまで使用していた紙による登記簿は役目を終え、閉鎖登記簿として保存されました。

閉鎖登記簿の保存期間

閉鎖登記簿には保存期間が設けられています。保存期間を過ぎた閉鎖登記簿やデータは、法務局長の許可のもと廃棄または削除される可能性があります。

実際に、閉鎖登記簿謄本の取得請求をしたにもかかわらず、目的のものがすでに廃棄された後で取得できなかったという事案が起こっています。

◆閉鎖登記簿の保存期間

  • 土地の閉鎖登記簿…50年間
  • 建物の閉鎖登記簿…30年間
  • コンピューター化する前(1988年7月1日以前)の閉鎖登記簿…20年間

「閉鎖登記簿」の調査ポイント

閉鎖登記簿を閲覧・取得すると、過去の不動産の状況や所有者について知ることができます。売買を検討する不動産があるときには閉鎖登記簿を調べ、そこから不動産の特質や不安要素の有無を探る手がかりを得られるのです。

閉鎖登記簿を調査するポイントは、主に2つです。

地目(使用目的)

過去の地目から、地盤の強度や地質の安全性について調査することができます。

【例①】過去に沼地だった場所→地盤の弱さが懸念される。

【例②】過去に化学工場や産業廃棄場だった→土壌汚染が懸念される。

権利部

担当する不動産に権利上の問題があり、取引きを開始できない場合などには、過去の権利部を調査する必要があります。権利部からは、過去の所有者や債権者、権利関係の遷移経過を知ることができるのです。

過去からの履歴を辿ることで、現況を明確に把握する手がかりとなり、解決策を検討するのに役立ちます。

「閉鎖登記簿謄本」の取得方法

閉鎖登記簿謄本を取得するには、通常の登記簿謄本と同様、法務局の窓口か郵送、オンラインで申請します。

法務局の窓口で取得申請する場合

法務局にて不動産用の「登記簿謄本交付申請書」に必要事項を記入し、窓口に提出します。その際、手数料(600円)を支払います。

郵送で取得申請する場合

法務局のホームページにて申請書をダウンロードしプリントアウトするか、法務局の窓口にて不動産用の「登記簿謄本交付申請書」を取得します。申請書に必要事項を記入し、手数料(600円)分の収入印紙と返信用封筒(切手を貼付)とともに管轄法務局へ郵送します。

オンラインで取得申請する場合

登記・供託オンライン申請システムホームページ」の「申請者情報登録」から利用者登録をし、「かんたん証明書請求」ページより請求します。手数料(500円)をインターネットバンキングかATMにて支払います。また、窓口交付を選択すると、手数料が480円となります。

◆取得申請の必要事項

  • 取得者の住所・氏名
  • 謄本が必要な不動産の所在地
  • 所要事項(「合筆、滅失などによる閉鎖登記記録」または「コンピューター化に伴う閉鎖登記記録」にチェック)

↓登記簿謄本交付申請書の記入例

画像引用:法務局|不動産登記事項証明書等の交付請求書の様式

「閉鎖登記簿」はネットでも閲覧可能

「登記情報提供サービス」について

「登記情報提供サービス」は、オンライン上で登記情報を閲覧したり、パソコンに取得できたりするサービスです。このサービスでは、デジタルデータ化済みの閉鎖登記簿情報も閲覧・取得できます。

「登記情報提供サービス」の利用方法

登記情報提供サービスで閉鎖登記簿の情報を取得する場合は、公式サイトの「申込み方法」ページへアクセスし、以下の手順で行います。

  1. 利用形態を選択する(一時利用・個人利用・法人利用より選択)。
  2. 各利用形態ごとの登録ページから「利用者登録」をする。
  3. 登録車専用の「マイページ」へログインする。
  4. 「不動産請求」を選択する。
  5. 「請求方法」を選択する(所在指定・不動産番号指定・土地からの建物検索指定より選択)。
  6. 「閉鎖登記簿請求」の欄をクリックし、チェックを入力する。
  7. 請求方法に合わせて、所在や地番・家屋番号・不動産番号などを入力し、請求ボタンをクリックする。

※閉鎖登記簿の場合は、全部事項のみ請求可能です。

「登記情報提供サービス」の注意点

①利用者登録料と利用料がかかる

「登記情報提供サービス」は有料のサービスです。利用者登録をする際には登録料、サービス利用時には利用料がそれぞれかかります。

また、1つの登録者アカウントによって同時に複数のパソコンでサービスを利用することはできません。その場合は、利用者ごとに別途登録する必要があります。

◆利用者登録料

  • 個人…300円
  • 法人…740円
  • 公共団体等…560円

◆利用料金

  • 不動産登記情報(全部事項)…334円/1件当たり

②地番・家屋番号一覧を利用できない

「登記情報提供サービス」では、請求不動産の情報を入力する際、地番・家屋番号の一覧を表示し、そこから選択することが可能です。

しかし、閉鎖登記簿の請求の場合には、地番・家屋番号一覧を表示することができません。そのため、利用時には不動産を特定する情報を用意しておく必要があります。

③コンピューター化以前の閉鎖登記簿は利用できない

「登記情報提供サービス」では、デジタルデータ化されたものであれば閉鎖登記簿も閲覧・取得できます。しかし、コンピューター化する前の閉鎖登記簿については、デジタルデータ化されていないためオンラインで閲覧・取得することはできません。

過去の調査でトラブルを未然に防ぐ

閉鎖登記簿は過去の履歴ですが、現況を読み解く重要な手がかりになります。そのため、担当物件の現在の登記簿だけでなく、必要であれば関連する閉鎖登記簿も丁寧に調査することが大切です。過去にも目を向けることで、重大な危険性や瑕疵に気づくことにつながるのです。

お客様の取引で起こりうるトラブルを未然に防ぐことになるため、面倒でもしっかりと対応しましょう。

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