宅建免許とは?不動産開業の流れや宅建免許が不要のケースを解説

投稿日 : 2021年06月02日

宅建免許とは?不動産開業の流れや宅建免許が不要のケースを解説
宅建免許宅地建物取引業免許(以下、宅建免許)は、不動産事業の開業に欠かせない免許です。

宅建免許の取得には期間も費用もかかるため、よく調べた上で申請する必要があります。

また、開業予定の事務所の所在地によって申請する免許の種類が異なります。

大切な時間とお金を無駄にしないために、宅建免許についての正しい知識を身につけておきましょう。

宅建免許だけでなく、不動産事業を開業するまでの流れも把握して、健全な事業スタートに役立ててくださいね。

宅建免許とは?

宅建免許とは宅地建物取引業免許の略で、土地や建物など宅地建物の売買、仲介を継続して行う際に必要な免許です。

宅建免許を取得するには細かい条件があるため、申請前に条件を満たしているか確認する必要があります。

また、事務所の所在地によって免許を受ける先も異なるため、注意が必要です。まずは、宅建免許の種類について解説します。

宅建免許は2種類ある?知事免許・大臣免許

宅建免許には、知事免許と大臣免許の2種類あります。宅建免許は、開業予定の事務所の所在地によって受ける免許が変わるため、注意しましょう。

知事免許と大臣免許の違いは以下の通りです。

知事免許

事務所が1つの都道府県内のみにある場合に、都道府県知事から免許を受けます。

免許の取得期間の目安は約1ヶ月です。

大臣免許

事務所が2つ以上の都道府県にまたがる場合に、国土交通大臣から免許を受けます。

免許の取得期間の目安は約3ヶ月です。

知事免許を受けるか大臣免許を受けるかは、あくまでも事務所の所在地がどこにあるかです。

事務所の数は関係ありません。

また、将来的に複数の都道府県に事業を展開したい場合も、初めは知事免許の取得がおすすめです。

理由は、大臣免許は取得期間が長く、審査も厳しくなる可能性があるためです。

大臣免許の取得までは約3ヶ月かかります。

その間は営業できませんが、事務所の家賃などの費用が発生し続けます。

開業までの無駄な費用を抑えるためにも、まずは知事免許を取得して、事業が軌道に乗ったタイミングで大臣免許へ書き換えましょう。

不動産事業開業までの流れ

不動産事業開業までの流れ
宅建免許取得の流れを解説する前に、不動産事業開業まで全体的な流れを解説します。

不動産事業開業までの流れの解説が不要の人は、次の章の「宅建免許取得の流れ」をご確認ください。

不動産事業開業までの流れは、以下のとおりです。

  • 開業準備
  • 宅地建物取引士の設置
  • 宅建免許の申請・保証協会への加入
  • 免許証の交付・開業

スムーズに開業できるように、不動産事業開業までの全体の流れを掴んで、事前準備をしっかりしておきましょう。

1.開業準備

不動産事業の開業前は、以下の準備が必要です。

  • 経営形態、業務形態を考える
  • 事務所を設置する
  • 営業保証金など開業に必要な資金を準備する

それでは順番に解説していきますね。

経営形態、業務形態を考える

経営形態は、個人または法人が選択可能です。一般的な業務形態は以下のとおりです。

  • 売買
  • 売買仲介
  • 賃貸仲介
  • 賃貸管理

経営形態や業務形態をどれにするかで、開業に必要な費用や金融機関からの融資の制限も変わります。

個人経営の場合は、開業時の経費は法人よりも抑えられますが、信用度が低いため銀行の融資が制限される可能性があります。

それに対して、法人の場合、開業時の登記費用など個人よりも費用がかかります。

しかし、社会的な信用度が高いため、金融機関からの融資を制限される可能性が少ないです。

経営形態・事業形態は、開業後の事業計画をしっかり立てた上で選びましょう。

事務所を設置する

事務所の立地や構え方は、不動産事業を開業した後の客づけにも影響します。

また、客づけのためだけでなく、不動産事業にふさわしい事務所を設置することは、宅建免許取得の必須条件です。

  • 事務所スペースを独立させる
  • 専用の出入り口を作る

など、宅建免許取得の条件を満たす必要があります。

営業保証金など開業に必要な費用を準備する

不動産事業を開業するためには、営業保証金1,000万円や備品購入費用などの資金が必要です。

営業保証金とは、不動産事業を開業する人が開業前に供託所に供託するお金です。

営業保証金の供託は宅地建物取引業法(以下、宅建業法)で義務付けられていて、宅建免許の取得から3ヶ月以内に手続きを完了して、免許庁へ届け出が必要です。届出を完了させない場合、宅建免許が取り消されるケースもあるため、注意が必要です。

ただし、保証協会へ加入した場合は営業保証金を免除され、弁済業務保証金分担金60万円の納付となります。

不動産事業を開業する際は、以下2つの選択肢があることを覚えておきましょう。

  • 保証協会へ加入せずに営業保証金1,000万円を供託する
  • 保証協会へ加入して弁済業務保証金分担金60万円を納付する

また、営業保証金や弁済業務保証金分担金だけでなく、以下の営業に必要な各備品などの資金準備も必要になります。

  • 事務所の賃料
  • 電話
  • インターネット環境
  • 接客用のテーブルなど

このように、不動産事業は開業前に大きな資金が必要となるため、計画的な資金計画も大切です。

2.宅地建物取引士の設置

不動産事業の開業には、事務所に専任の宅地建物取引士が必要です。

宅地建物取引士の人数要件は従業員5人に対して1人以上のため、開業前に人材の確保をしておきましょう。

宅地建物取引士の設置は、顧客からの信頼にも影響します。

また、重要事項説明、契約書への記名・押印など、国家資格である宅地建物取引士にしかできない業務もあります。

ご自身が宅地建物取引士の資格を持っていない場合、ご自身で取得するか人材を確保しておいてくださいね。

3.宅建免許の申請・保証協会への加入

開業の準備ができたら、宅建免許の申請を行います。

宅建免許取得の流れは、次の章の「宅建免許取得の流れ」で詳しく解説するので、気になる方は次の章を参考にしてください。

保証協会は、国土交通省から指定を受けた公益法人で、全日本不動産協会、不動産保証協会の2種類あります。

保証協会は、加入している不動産事業者に対して

  • 顧客とのトラブル解決
  • 従業員への研修
  • 取引で顧客に発生した損害の弁済

などを行っています。

また、保証協会へ加入すると、営業保証金1,000万円の供託が免除され、弁済業務分担保証金60万円の納付になるなど、不動産事業者にとってのメリットが大きいです。

4.免許証の交付・開業

宅建免許の免許証が都道府県庁などから交付されたら、ようやく不動産事業の開業です。

多くのお客様に来店していただけるように、営業活動をしていきましょう。

宅建免許取得の流れ

前章では、全体の流れを掴むために不動産事業開業までの流れを解説しました。

ここでは、宅建免許取得の流れに焦点を当てて解説します。

宅建免許取得の流れは、以下の通りです。

  • 申請準備
  • 申請書類を作成・申請
  • 審査・免許証の交付

それでは順番に解説していきます

1.申請準備

宅建免許を申請する前に、要件を満たすための準備をしましょう。

前章の「不動産事業開業前の流れ」と少し重複しますが、宅建免許の取得条件は以下の5つです。

取得条件はそれぞれの条件が細かく決められているため、次の章で詳しく解説します。

  • 専任の宅地建物取引士を設置すること
  • 不動産事業にふさわしい事務所を設置すること
  • 営業保証金または弁済業務保証金分担金の準備
  • 欠格要件に該当していないこと
  • 代表者及び政令で定められた使用人の常駐させること

上記は数日で準備できるようなものではないため、計画的に準備していきましょう。

2.申請書類を作成・申請

宅建免許の取得条件を満たしたら、申請書類を作成します。

申請書類は、下記の国土交通省の公式サイトからダウンロードできます。

必要書類や記入例も掲載されているので、確認してみてください。

国土交通省 様式ダウンロード

また、不明点や相談したいことがあれば、各地域の担当窓口へ相談しましょう。

担当窓口一覧は、下記の国土交通省の公式サイトから確認可能です。

知事免許:国土交通省 宅地建物取引業免許に関する窓口一覧
大臣免許:国土交通省 宅地建物取引業免許に関する窓口一覧

書類が揃ったら、上記の担当窓口へ申請します。

3.審査・免許証の交付

担当窓口へ申請したら、事務所が宅建免許の要件を満たしているかなどの審査になり、審査が無事に通れば、申請者の事務所へ通知のハガキが届きます。

宅建免許取得の期間は、知事免許の場合は1ヶ月程度、大臣免許の場合は3ヶ月程度です。

また、手続き内容は都道府県で異なる可能性もあるため、各窓口へ事前に確認しましょう。

宅建免許の取得条件5つ

宅建免許の取得条件5つ
宅建免許を取得できる条件は、以下5つです。

  • 専任の宅地建物取引士を設置すること
  • 不動産事業にふさわしい事務所を設置すること
  • 営業保証金の供託または保証協会へ加入すること
  • 欠格要件に該当していないこと
  • 代表者及び政令で定められた使用人の常駐させること

条件を満たしていない場合は申請が通らない可能性があるため、事前準備が重要です。

専任の宅地建物取引士の設置

宅地建物取引士は事務所専任と一般に分かれますが、宅建免許の取得には、事務所専任の宅地建物取引士が従業員5人に対して1人以上必要です。

事務所が本店と支店に分かれている場合は、それぞれに専任の宅地建物取引士を設置しましょう。

万が一宅地建物取引士が不足した場合、2週間以内に人材を確保できない場合、罰則を受ける可能性もあるため注意が必要です。

不動産事業にふさわしい事務所の設置

宅建免許の取得において、事務所の設置は非常に大切なポイントです。

不動産事業にふさわしい事務所とは、以下を満たすものになります。

  • 継続的に業務を行うことができる施設
  • 他法人や個人の住居部分から独立している

初期費用を抑えるために自宅を事務所として利用したり、他法人が利用している事務所の一角を利用したりすることも可能です。

しかし、その際は下記3点の工夫をしておきましょう。

  • 自宅の場合はプライベート空間と事務所を完全に分ける
  • 他法人の一角を利用する場合は間仕切りをする
  • 事務所専用の出入り口を作る

居室部分と事務所が分けられていない、事務所に直接出入りできる出入り口がない場合は宅建免許の取得ができないため、注意してくださいね。

事務所設置条件の詳細は、各都道府県の担当窓口へ確認しておきましょう。

営業保証金の供託または保証協会への加入

営業保証金の供託または保証協会への加入をしなければ、不動産事業の営業は開始できません。

資金の準備も忘れずにしておいてくださいね。

営業保証金を供託する場合は、宅建免許を取得した3ヶ月以内に供託金を供託しましょう。

また、保証協会に加入する場合も、営業保証金の供託は免除されますが、弁済業務保証分担金の納付が必要です。

欠格要件に該当していない

欠格要件とは、以下のようなケースです。

  • 宅建業法で違反をして、宅建免許取り消しとなってから5年以内
  • 宅建業法で違反をした疑いがあり、廃業してから5年以内
  • 禁固刑以上の刑や宅建業法違反による罰金刑に処されてから5年以内

代表者だけでなく、法人の役員や支店長などが上記に該当する場合も、宅建免許を取得できないため、注意しましょう。

代表者及び政令で定められた使用人の常駐

宅建免許を申請する場合、原則、事務所に代表者が常駐する必要があります。

代表者が何らかの理由で常駐できない場合は、支店長や支配人などの常駐が必要です。

従業員のみでの常駐はNGです。

宅建免許が必要なケース・不要なケースがある?

不動産事業を営むには宅建免許が必要ですが、取引によっては不要のケースがあります。

まず、宅建免許が必要なケースは以下を継続的に行う場合です。

  • 自社で所有する不動産の売買
  • 他社が所有する不動産の売買仲介
  • 賃貸仲介
  • 賃貸管理

続いて、宅建免許が不要なケースは以下の宅地建物取引業に該当しない場合です。

  • 自分の所有している物件を不特定多数の人に賃貸する
  • 継続して行わない(一度のみ)

例えば、以下は宅建免許が不要のケースです。

  • 自分が大家のアパートを第三者に賃貸する
  • 自分が所有している戸建てを知人に売却する

自分が所有しているものを貸し借りする場合や、一度だけの取引の場合は宅地建物取引業に該当しないため、宅建免許は不要です。

無免許で宅地建物取引業をした場合はどうなる?

宅建免許が必要なのに無免許で宅地建物取引業の営業をした場合、宅建業法第12条「無免許営業の禁止」に違反したことになります。

無免許で宅地建物取引業を行った場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金などの罰則があります。

不動産事業を始める前には必ず宅建免許を取得しましょう。

まとめ

不動産事業を開業するには、宅建免許の取得が必要です。

しかし、宅建免許の取得には期間も費用もかかります。

事務所の所在地によって申請する免許が異なるため、時間とお金を無駄にしないように、事前にしっかり確認してください。

開業前にしっかりと宅建免許を取得して、健全な不動産事業をスタートさせましょう。