供託所等に関する説明とは|営業保証金と弁済業務保証金分担金の違いを知る

投稿日 : 2020年03月18日

不動産の売買契約をするときの重要事項説明では、必ず供託所等に関する説明を行います。

供託所等に関する説明とは、私たち宅建業者が信頼に足る会社であると証明する説明です。

今回は供託所と宅建業者の関係について、わかりやすく解説していきます。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

供託所とは

そもそも供託とは提供寄託の略称であり、寄託には「物品などを他人に預け、その処置や保管を頼む」という意味があります。

つまり供託所とは、金銭の寄託を提供された先の保管場所のことを指します。

不動産業界でいうと、法務局や地方法務局・支局などが最終的な供託所になります。

不動産業を始めるときに必要な保証金供託

供託所に供託金を預け入れるのは、宅建業をはじめとする不動産業者を開業するときです。

不動産業を始めるためには国土交通大臣か都道府県知事の免許を取得するとともに、所定の保証金を納める必要があります。これが供託金です。

供託金は納め方により営業保証金弁済業務保証金分担金の2種類に分かれます。どちらの場合でも、必要な営業保証金の金額は同じです。

営業保証金

営業保証金とは、不動産業者が直接法務局に供託する保証金です。

◎必要な営業保証金の額

主たる事務所(本店) 1,000万円
その他の事務所(支店等) 拠点数×500万円

弁済業務保証金分担金

弁済業務保証金分担金とは、保証協会の加入者が直接法務局に供託するのではなく、保証協会に納付する分担金です。保証協会は不動産業者の代わりに法務局へ供託金を納めます。保証協会については後ほど詳しくご説明します。

供託所等に供託金を預ける意味

営業保証金もしくは弁済業務保証金分担金は、一般消費者を守る目的で使われます。

業者の倒産などで直接弁済が受けられずお客様が泣き寝入りしてしまわないように、あらかじめ第三者が一定額を預かっておくシステムです。

不動産取引によりお客様に何らかの損害が発生したときには、供託された営業保証金や弁済業務保証金の範囲内で弁済を行います。

なお供託金による損害補償を受けられるのは一般消費者だけです。過去には宅建業者なども補償対象になっていましたが、現在では対象外になっています。

供託金は宅地建物取引業法の義務

宅建業者には供託金を預ける・預けないという選択権はありません。宅地建物取引業法

第25条により、全ての宅建業者には供託金の預け入れが義務付けられています。

第4章 営業保証金

第25条(営業保証金の供託等) 宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。

引用:電子政府の総合窓口e-Gov|宅地建物取引業法

逆に言えば、供託金をきちんと預け入れている宅建業者は正規の手続きを踏んで開業しているという証明になります。

供託金を預かる保証協会

先ほど保証金には営業保証金と弁済業務保証金分担金の2種類があると説明しました。

弁済業務保証金分担金を預かって宅建業者の代わりに供託所へ納付しているのが、各保証協会です。

日本には複数の不動産業界団体が存在しますが、ほとんどの宅建業者は全日(ぜんにち)もしくは全宅(ぜんたく)に所属していると考えられます。それぞれの業界団体に関連する保証協会を利用している宅建業者も多いでしょう。

各保証協会では弁済業務保証金分担金を預かり、実際に不動産トラブルが発生したときには、一般消費者との仲裁にもあたってくれます。

話し合いで解決できず、不動産業者側に過失があると認められたときには、不動産業者に代わり保証協会から弁済金を支払います。

以下では、2つの業界団体に関連する保証協会をご紹介します。

全日(全日本不動産協会)所属の場合

全日本不動産協会 、通称「全日(ぜんにち)」に所属している不動産業者の多くは、以下の保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を支払います。

公益社団法人不動産保証協会(旧名称:社団法人不動産保証協会)

全宅(全国宅地建物取引業協会連合会)所属の場合

全国宅地建物取引業協会連合会 、通称「全宅)ぜんたく)」全宅(ぜんたく)に所属している不動産業者の多くは、以下の保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を支払います。

全国宅地建物取引業保証協会

保証協会関連記事はコチラ

ウサギの「全日」、ハトの「全宅」とは| 不動産業者団体を紹介

「供託所等に関する説明」とは

冒頭で申し上げたとおり、不動産契約の重要事項説明では必ず供託所等に関する説明を行います。

これは省略してはいけません。なぜなら重要事項説明で話すべき内容は宅建業法で定められており、不動産契約時には全ての項目を口頭で説明する必要があるからです。

供託所と重要事項説明の関連性について確認しましょう。

重要事項説明書の必須項目

重要事項説明で供託所等に関する説明を行わなければいけないと定めているのは、宅地建物取引業法第35条の規定です。

この規定を理解することにより、お客様がこれから締結する不動産契約で万が一トラブルが発生しても金銭的な保障が受けられること、その際の請求先はどこになるかをお伝えすることができます。

重要事項説明書の記載例

実際の重要事項説明書には、以下の「Ⅲ その他の事項」に供託所等を記載する項目があります。


画像引用(部分):国土交通省|重要事項説明書(売買・交換)(第八面)

媒介等を行った不動産会社が納めているのが営業保証金なのか弁済業務保証金分担金なのかで、記載する個所が違います。

営業保証金の場合は上記項目の(1)に、弁済業務保証金分担金の場合は上記項目の(2)に記載します。

こちらも合わせて参照ください。

重要事項説明とは?宅建業者の役割と上手く説明するポイントを解説

まとめ

今回は供託所とは何か、供託金はどのように預け入れと支払いを行うのかについて解説しました。

高額な金銭を取り交わす不動産契約にこれから臨むお客様の多くは、内心不安な気持ちでいっぱいです。

供託所に関する説明を行ってお客様の不安を払拭して差し上げるとともに、自分の会社が信頼に足る宅建業者であると、誇りを持ってお伝えしましょう。