重要事項説明とは?宅建業者の役割と上手く説明するポイントを解説

投稿日 : 2019年09月16日/更新日 : 2023年06月03日

「重要事項説明」とは

「重要事項説明」とは、宅建業者から不動産購入が決まった買主様へ、契約締結前に契約上重要な事項について説明することです。買主様が契約内容・条件・関連法令について充分に理解した上で契約手続きに進めるよう、このような業務が義務づけられているのです。

そして、説明した内容は書面にして交付します(重要事項説明書)。重要事項説明は、「宅地建物取引士」の有資格者のみが行える業務です。

 

「重要事項説明」を行うときの注意点

必ず売買契約締結前に行う

重要事項説明は、買主様が契約内容・条件などをしっかり理解した上で契約締結に進めるように行うものです。そのため、必ず売買契約締結前に行うのが義務となっています。

ただし、契約締結日と同じ日に行うことも可能です。

 

契約内容・目的に応じてポイントを整理する

不動産売買についてのルールは、法令で細かく決められているため、重要事項説明でお客様に説明する項目は、膨大な量になることがほとんどです。

そのため、本当に重要なポイントをお客様が見落とさないよう、宅建業者は説明内容を整理して伝える必要があります。契約内容や契約目的に応じて、より重要な項目を強調することが大切です。

 

買主様の理解度に合わせて説明の仕方を変える

重要事項説明には、不動産業界の専門用語が数多く登場します。それを一般人であるお客様にそのまま伝えていると、きちんと理解してもらえません。

どんなお客様でも内容を理解できるように、お客様の理解度に合わせて説明を変えることが大切です。

 

重要事項説明の確認ポイント

膨大な項目のある重要事項説明でできるだけ説明漏れがないように、お客様に確認いただくポイントを整理しましょう。

 

①取引にかかわる宅地建物取引業者について

  • 宅地建物取引士の資格証を提示する
  • 宅地建物取引業者(不動産会社)
  • 取引の態様(売主・貸主・代理・媒介のどれか)
  • 供託所

 

②物件の基本情報について

  • 取引対象不動産の表示(登記記録など)
  • 売主様に関する内容
  • 占有者(賃貸入居者)の有無

 

③法令上の制限について(都市計画法、建築基準法など)

  • 買主様が予定している建物を建築することができるか
  • 再建築は可能か(建物規模・用途など確認)
  • 都市計画の有無(都市計画道路など)

 

④敷地と道路の関係について

  • 建築基準法上の接道要件を満たしているか
  • 道路種別、幅員、接面、道路後退の有無など
  • 私道の権利(持ち分の有無、掘削・通行承諾の有無など)
  • 私道にかかわる費用負担の有無

⑤インフラについて

  • 電気、ガス、上下水道の整備状況
  • 管理者(私設管か公設管か)
  • 特別な費用負担はないか

 

⑥建物調査結果の記録について

  • 既存住宅状況調査実施の概要
  • 石綿使用調査・耐震診断の有無

 

⑦集合住宅・マンションについて

  • 共用部分・専有部分の利用や管理ルール
  • 管理費・修繕積立金等の費用
  • 管理の委託先

 

⑧契約条件について

  • 無理のある契約内容になっていないか(期日、引渡し条件)
  • 代金以外に授受される金銭(公租公課等の日割清算金)
  • 契約の解除に関する内容(手付解除、違約解除など)
  • 特約条項
  • 契約条件をすべて理解できたか

特に入念な説明・確認が必要な事項は、案件ごとに異なります。その案件でより重要なのはどこか、その都度よく考慮して、重要事項説明の準備をしましょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。