ガレージ車庫を作るときに知っておきたい建ぺい率|緩和や注意点も紹介
新しく家やアパートを建てる際に注意しなければいけないのが「建ぺい率」です。
条件によっては建ぺい率が緩和される場合がありますが、特に車庫の建築の際は注意しなければいけません。
車庫にはガレージのほかに種類がありますが、今回は車庫の種類やメリット・デメリット、建ぺい率の関係や注意点について説明していきます。
車庫の種類と特徴:ガレージ、カーポート、駐車場
車庫にもいくつか種類がありますが、建築基準法で定義があるわけではありません。屋根があれば、倉庫や車庫、さらには自転車置き場でさえ建築物とみなされます。
一般的にどのように区別されているのか、そのメリットとデメリットを説明します。
ガレージ
特徴 | メリット | デメリット |
・屋根と壁で三方が囲まれたもの。シャッターやドア
・壁で四方を囲んでいること。 |
・実用性が高い。
・シャッターを閉めてカギをかければセキュリティーの強化につながる。 ・近隣の駐車場代が高額だった場合は、多少建設コストがかかったとしても長い目でみれば節約につながるケースがある。 ・ビルトインガレージの場合、居住スペースよりも固定資産税の評価額が低くなるため、税金が安くなる。 ・悪天候でも車の乗り降り時に濡れない。 ・直射日光をさけることができ、夏の車内温度の上昇を防ぐ ・鳥の糞や雹(ひょう)などの被害を防ぐ。 ・フロントガラスやボンネットの積雪や霜を防ぐ。 |
・3方向、4方向が壁に囲まれているので、駐車が難しい。
・ビルドインガレージの場合、間取りの自由度が低くなる。 ・ビルドインガレージの場合、居住空間が削られる。 ・軽自動車に合わせてガレージを作った場合、大きな車へ乗り換えすることができない。 ・延べ床面積によっては税金が高くなる。 ・換気に注意が必要。 |
カーポート
特徴 | メリット | デメリット |
・柱と屋根のみの構造であるということ。 | ・車をだすとき、家の前の歩行者や横切る車など車の出し入れの際危険が多いが、ガレージより見通しが良いため車の出し入れが楽にできる。
・ガレージはそれなりに基礎工事と費用がかかるが、カーポートはガレージに比べ質素な造りであるため、素材にこだわらなければ比較的安い。 ・施工期間が短い。 |
・雨が吹き込む場合がある。
・防犯性は低い。 ・台風の時に対策が必要 ・柱が邪魔になることがある。 |
駐車場
特徴 | メリット | デメリット |
・屋根がないこと。青空駐車 | ・車の出し入れがスムーズ。
|
・天候の影響をうけやすい。
・防犯性が低い。 ・太陽の光を多くうけると塗装が剥がれやすく劣化も早くなる。 ・車内の温度が変わる。 |
車庫に必要な広さ
車庫を作る際必要な広さを把握しておくことが大切です。車一台を停めるのに必要な広さは、次のような広さを目安に考えられます。
- 天井高さ2.1m以上
- 青空駐車かカーポートなら幅2.5m×奥行5m
- ガレージなら幅3m×奥行6m
建ぺい率と容積率について
建ぺい率とは、自己の敷地面積に対して、建築する家屋の面積の割合のことを指します。
関連記事:イメージが湧きにくい建ぺい率を具体例も含めてわかりやすく解説
現在、日本全国の建物、ビル、病院、マンションなどは全て建ぺい率に基づいて建築しなければならないと法律で定められています。
建ぺい率の料率は地方自治体によって異なるため、それぞれの自治体へ確認が必要です。
建ぺい率とは?計算方法
建築基準法では、屋根と柱を有しているものを「建築物」の扱いとするため、カーポートもこの建ぺい率に含まれます。
この建ぺい率を守らない場合、建築確認申請が通らず、居住として使用することはできません。建ぺい率の計算式は次の通りです。
建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100
例:300平方の自己所有敷地に対し建ぺい率が60%の場合、300㎡×60%=180㎡の家を建てることができる。
ガレージの建ぺい率
外付けのガレージであっても、屋根と柱があるものは建築物として、建ぺい率に含まれます。
ただし、ガレージのような開放性のある建築物では、建築物の端から水平距離1mの部分を建築面積に算入しなくても良いことになっています。
例:300平方の自己所有敷地に対し建ぺい率が60%の場合
建てられる家の面積は最大で300㎡×60%=180㎡
150㎡を家に使った場合、ガレージのために使える面積は30㎡となる
※開放性がないガレージの場合、30㎡から水平距離1m分の面積がガレージ本体の面積から引かれてしまう。
カーポートの建ぺい率
カーポートも建ぺい率に含まれます。
ただし、ガレージ同様に高い開放性を有する建築物の条件を満たせば、建築物の端から水平距離1mの部分を建ぺい率に含めなくても良いことになっています。
具体的な条件は、後述の車庫における建ぺい率の緩和措置のところで解説しております。
一般的なカーポートであれば、カーポートの一部を建ぺい率に含めなくてよいとされる可能性が高いでしょう。
例:300平方の自己所有敷地に対し建ぺい率が60%の場合
建てられる家の面積は最大で300㎡×60%=180㎡
150㎡を家に使った場合、カーポートのために使える面積は30㎡となる
※開放性がないカーポートの場合、30㎡から水平距離1m分の面積がカーポート本体の面積から引かれてしまう。
駐車場の建ぺい率
駐車場は建物ではないため、土地の建ぺい率は関係ありません。
建築面積(水平投影面積)の求め方
建築面積は、水平投影面積のことをいいます。
水平投影面積とは、建物を真上からみたときの面積で、凹凸や斜面があっても水平に見なして測定することを言います。
建築面積は次の条件で求めることができます。
- 最も大きな1階部分が建築面積となる
- 2階の突出している面積も建築面積となる
- ひさしやベランダ、軒(のき)の長さが1m以上の場合、その先端から1m下がった部分までを建築面積とする。
容積率とは?計算方法
家やアパートを建てる時に建ぺい率と同じくらい注意しなければいけないのが「容積率」です。容積率とは、建物の延べ床面積(建築物の各階の床面積の合計)の敷地に対する割合を表したものです。希望する土地にどれくらいの大きさの建物を建てることができるのかわかります。
計算式は次の通りです。
容積率(%)=各階床面積の合計÷敷地面積×100
容積率も建ぺい率と同じように、その土地ごとに割合が決められています。車庫の容積率ですが、建築面積の5分の1を上限として容積率が緩和されます。
建ぺい率と異なる点は、車庫の構造に関わらず、容積率が緩和されるということです。
設置するときの注意点・ポイント
ここでは車庫や駐車場を設置する際の注意点やポイントについて解説していきます!
車庫における建ぺい率の緩和措置
建築物の「建築確認申請」は法律によって定められています。
建ぺい率は土地ごとに定められていますが、ある一定の条件の土地ではその規制が緩和されます。また、車庫も条件によっては緩和対象になり、建ぺい率には算入されません。緩和条件は次の通りです。
◆緩和条件◆
- 外壁のない部分が連続して4㎡以上あること
- 柱の間隔が2㎡であること
- 天井の高さが2.1㎡以上であること
- 地階を除く階数が1であること
簡単に言えば、「平屋で柱間隔が2m以上のそれほど低くないカーポート」であれば建築面積の不算入措置が取られるということです。
駐車場の広さを把握する
所有している車の大きさや台数によって車庫の大きさも変わってきます。1台につきどのくらいのスペースが必要なのか把握しておきましょう。
役所申請の前に設置しておく
屋根付き駐車場や物置も建ぺい率に算入されますが、新築の際建ぺい率を抑えるため役所の検査が終わったあとにカーポートや物置を設置するケースがあります。
その場合建ぺい率オーバーしていることが多く、売却する際には「違反建築物」として不動産重要事項説明書に記載が必要になります。
また、買主から指摘された場合撤去費用が必要になります。
防火地域・準防火地域での車庫
防火地域や準防火地域での車庫にはどのような特徴や制限があるのでしょうか。
防火地域・準防火地域とは
防火地域・準防火地域はいずれも建築基準法で定められており、建物が密集した地域で火災を広がるのを防ぐために、建築物に一定の耐火性能や防火性能を求めたものです。
防火地域では一般的な木造住宅は建てることができず、準防火地域でも様々制限があります。
防火地域・準防火地域での車庫の制限
防火地域・準防火地域では車庫の外装にも制限があります。
万が一、火災の際にできるだけ延焼を防ぐように、建築物は外壁・軒天などが防災性能を備えていなければならないなど決められています。車庫も建築物であるため、この規則に従う必要があります。
これらの地域で住宅を建て、車庫を検討する場合は、屋根や外壁も材料にも注意してすすめていくことが大切です。
まとめ:車庫(ガレージ・駐車場・カーポート)の建ぺい率
車庫にはいくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットがあることをご紹介しました。
また、車庫は建築面積に含まれるため建ぺい率や容積率が関係し、建てる地域によっては外装にも注意が必要です。建ぺい率や容積率を超えた建物を建てることはできませんので、制限を守りながらアパートや家を建てるようにしましょう。
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