イメージが湧きにくい建ぺい率を具体例も含めてわかりやすく解説

投稿日 : 2020年03月25日

住宅を建築するときに必ず必要となってくる「建ぺい率」ですが、その意味を聞かれてすぐに答えることができる人はあまり多くないのではないでしょうか。

今回の学習を機に建ぺい率を理解し、より住宅建築への知識を深めていきましょう。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

建ぺい率とは

建ぺい率とは建物自体の面積(建築面積)と建物を建築する土地の面積(敷地面積)との割合をパーセンテージで表したもので、その土地に対してどれだけの規模の建物が建築できるかを示す基準になります。

わかりやすく言い換えると、建ぺい率とは建物の面積と土地の面積の割合を表し「この土地で建築できる建物はこの大きさまでなら大丈夫ですよ」といった感じになります。

建物を建築するための基準としてはもう1つ別に容積率というものがあります。

建築面積

敷地面積はその名の通り建物を建築する土地そのものの面積を指します。

対して建築面積は主として建物の面積のことを指しますが、建物の凹凸まで含めた測定ではなく、建物を真上から俯瞰し凹凸なども水平とみなして測定を行います。これを水平投影面積ともいいます。

例えば、ガレージの屋根や2階の突出部(ベランダやひさしなど)も建築面積として計算されることで、建ぺい率をオーバーしてしまうケースがあります。この場合、該当建物は違反建築物というだけでなく、買主様から指摘を受けた場合には別途撤去費用を負担する必要性が生じます。

よって建築面積は建物の面積だけではないということに注意が必要です。

 

建ぺい率の制限と制限の緩和

 

 

土地の権利を持っている所有者が各自勝手に建物を建築すると、街の景観が損なわれるだけでなく、日照や通風などの生活上におけるさまざまな問題が発生します。

建築の乱立による生活環境の悪化を防ぐためにも、建ぺい率は非常に大きな役割を担っています。

また街の景観を損ねないという点でも、各用途地域ごとに数値を定めて制限を課すことで整然とした街並みを保つようにしています。

その反面、防火地域内における耐火建築物などには、制限の緩和を行うことで建築促進を促すといった側面もあります。

 

建ぺい率の計算方法

建ぺい率は建築面積と敷地面積との割合をパーセンテージで表したものですが、これを算式に表すと以下のようになります。

 

建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

 

この算式から弾き出された建ぺい率が各用途地域で定めた数値を上回ると違法建築物になります。よって当該する用途地域に建築を行う場合は、建ぺい率がその数値を下回らなければなりません。

 

建ぺい率の計算例

例:建築面積50㎡ 敷地面積100㎡ 一般住居の場合

 

建ぺい率50% = 建築面積50㎡ ÷ 敷地面積100㎡ × 100

 

建ぺい率の調べ方

建ぺい率は下記の3つの方法で自分自身で調べることができます。

  1. 不動産事業者のチラシやインターネットなどから調べる
  2. 各役所などで建ぺい率が記された都市計画図がネット上で公開されている場合がある
  3. 市役所などといった各役所の都市計画課に問い合わせる

3の問い合わせの場合は電話だけでなく、建ぺい率を知りたい当該場所を地図などでマーキングを行い、FAX送信でやりとりを行うことでしっかりとした確認ができます。

 

引用:名古屋市都市計画情報提供サービス | 都市計画情報

 

名古屋市ではネット上でこのような感じで公開されています。

建ぺい率は画面中央付近の丸の中に「近隣・80」と書かれているのがわかります。

 

用途地域による制限

建ぺい率はそれぞれの用途地域で数値が定められ各地域ごとに数値の上限が異なります。そして、その数値を上限の範囲内に納める必要があります。

用途地域とはその用途の目的のために定められた地域のことを指し、全部で13種類の用途地域があります。例えば工業地域には住宅を建築してはいけないといった建物自体の制限の他に建ぺい率や容積率の上限も制限されます。

 

各用途地域における建ぺい率の制限は以下のようになります。

用途地域 建築できる建物の内容 建ぺい率(%)
第一種低層住居専用地域 低層住宅と住居を兼ねた50㎡までの店舗や事務所など 30・40・50・60
第二種低層住居専用地域 低層住宅と150㎡までの店舗など
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅と500㎡までの店舗など
第二種中高層住居専用地域 中高層住宅と1500㎡までの店舗や事務所など
第一種住居地域 住居と3000㎡までの店舗・ホテル・事務所など 60
第二種住居地域 住居と10000㎡までの店舗・ホテル・事務所・パチンコ店・カラオケボックスなど
田園住居地域 農業利用が中心 30・40・50・60
準住居地域 道路上の自動車関連施設など 60
工業専用地域 工場のみ(住居が建てられない唯一の用途地域) 30・40・50・60
工業地域 工場と住居や店舗(学校・病院・ホテルなどは不可) 60
準工業地域 軽工業の工場と住居や小規模な店舗 60
近隣商業地域 商業施設と住居や小さな工場 80
商業地域 ほとんどの商業施設と住居や小さな工場・高層ビル 80

 

先程の計算を例にとると建ぺい率は50%だったので、上記の表から低層住居専用地域や中高層住居専用地域及び田園住居地域の一部では建物を建築できないことがわかります。

また工業専用地域でも建物の性質上建築を行うことはできません。

 

建ぺい率・容積率の主な緩和の特例

 

建ぺい率は用途地域による制限が課せられる反面、一定の条件を備えていれば建ぺい率の割合が緩和されることがあります。

また条件内容は異なりますが、容積率に関しても同様の特例があります。

 

建ぺい率緩和の特例

建ぺい率の緩和の特例に関しては大きく分けて2つの種類があります。

  1. 建ぺい率の制限を受けない特例
    用途地域において定めれている建ぺい率が80%の地域(商業地域など)でかつ防火地域内における耐火建築物に関しては建ぺい率が100%になります。建ぺい率100%はとは制限を受けていないことと同等の意味になります。
  2. 建ぺい率が割増される特例
    ・用途地域において定められた建ぺい率が80%以外の地域でかつ防火地域内における耐火建築物
    角地にある建物(ただし特定行政庁が指定したもの)

 

容積率緩和の特例

引き続いて容積率緩和の特例に関しては主に以下の7つケースがあります。

  1. 建物に地下室を組み込んだ場合
  2. ベランダ・バルコニーなど外壁から突出した部分
  3. ロフト・屋根裏収納を設けた場合
  4. 吹き抜けを設置した場合
  5. 建物内にガレージを設置した場合
  6. 特定道路における緩和
  7. マンションにおける共用部分

 

建ぺい率と容積率をオーバーしたら

各用途地域によって制限されている建ぺい率や容積率の基準をオーバーすると以下のようなペナルティが課せられることになります。

 

➀違反建築物

建ぺい率と容積率の基準をオーバーすると、まずその建物自体が違反建築物として取り扱われることになります。

違反建築物となった建物は売買時において重要事項説明書に記載及び説明を行う必要があり、また買主様から指摘を受けた場合は別途撤去費用を負担しなければばりません。

 

②住宅ローンや銀行の担保が組めない

違反建築物となった建物に対しては住宅ローンを組むことや、銀行からの融資としての担保にすることができなくなります。

これは違反建築物の時点で不動産として流通ができず、建物の資産価値が大幅に下落しているために貸し倒れのリスクが非常に高くなることが理由です。

建ぺい率や容積率の基準をオーバーするだけでこれだけのペナルティが生じます。建築または購入する建物が基準内に納まっていることを前もって確認するように心掛けましょう。

 

その他の建築制限

今回は建ぺい率をメインに建物における建築制限を紹介してきましたが、それ以外にも容積率をはじめ建物を建築することに関してはたくさんの制限があります。

建ぺい率以外の制限についてはこちらを参考にしてください。

商業地域エリアを徹底解説|メリットデメリット・建築制限・その他用途地域

 

まとめ

土地や建物に限らず自らが所有しているものに対しては、自分の意思でそれを自由に使用することができます。しかしそのことで他人に迷惑をかけるのはあっていけません。

お客様の理想を叶えながらも、法律に乗っ取った家づくりのアドバイスができるように、建ぺい率について理解を深めておきましょう。