建築計画概要書を読み解くポイントについてわかりやすく解説

投稿日 : 2020年06月03日

建物を建てるときは、工事が行われる前に建築基準法にきちんと適合していることを確認するための「建築確認」という審査が行われます。

今回は、建築確認を申請する際に提出される書類の1つである「建築計画概要書」について詳しく解説していきます。

これを機に、建築計画概要書への理解を深めて有効に活用していきましょう。

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この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

建築計画概要書とは

建築計画概要書は、建築確認申請の際に建築確認申請書と共に提出される書類です。概要書とも呼ばれ、審査終了後には一般に公開されます。

建築審査の流れ

建物を建築する際には当該建物が建築基準法などに則っているかをチェックするために、工事を着工するまでの段階で建築確認を行う必要があります。また工事完了後にも同様の理由で完了検査が行われます。

因みに、建築確認における建築の対象は新築だけでなく移転や増改築も含まれます。

建築確認から完了検査までの流れはおおよそ以下の通りです。場合によっては工事中に中間検査が行われることもあります。

  1. 建築予定建物の基本計画(建築主が立案)
  2. 役所との相談・交渉
  3. 建築確認申請
  4. 確認済証の交付
  5. 工事の着工~完了
  6. 完了検査申請
  7. 検査済証の交付

建築計画概要書は3.建築確認申請の段階で建築確認申請書と一緒に提出され、4.確認済証の交付を受けた後に一般へ公開されます。

 

建築確認申請

建築確認申請とは、建築確認を受けるために行う申請のことを指し、設計図面などを提出します。

以前は、役所でしか申請を行っていませんでしたが、1999年(平成11年)5月以降からは民間の指定確認検査機関でも建築確認申請を取り扱うことができるようになりました。

 

建築確認申請書

画像引用:ソニー損保HP | 建築確認申請書第四面

 

建築確認申請書は、設計図や建物の概要などを記載した書類のことで、建築計画概要書と一緒に提出します。

 

建築計画概要書に記載される内容

建築計画概要書には以下のような内容が記載されます。

  1. 建築主・代表者・設計者・工事監理者・工事施工者などの氏名及び住所
  2. 敷地面積や床面積
  3. 建物自体の大きさ・高さ
  4. 建物自体の概要及び見取り図
  5. 配置図

5の配置図には、敷地の形状や境界線・建物や道路の位置・道路の種類などが記載されています。

 

建築計画概要書の記載例

次に、建築計画概要書の具体的な記載内容について解説します。

 

1枚目

画像引用:門真市HP | 建築計画概要書について

 

門真市の場合、左側には建築主・代表者・設計者・工事監理者・工事施工者などの住所と氏名が記載されており、右側には建物自体の情報や各面積、都市計画区域、工事の着工及び完了予定日が記されています。

 

2枚目

画像引用:門真市HP | 建築計画概要書について

 

左側には受付番号や受付年月日、見取り図、配置図が記載され、右側には建築確認から完了検査までにおける概要が記載されています。

建築計画概要書の提出が義務付けられたのは1971年ですが、閲覧できる概要書の多くは1977年以降のものになります。これは法制定から施行までの準備期間があったためです。

また、建築計画概要書は年代によって書式が若干異なりますが、後の年代になるほど内容は詳細になっています。更に各自治体によっても書式が若干異なりますが、建築計画概要書の記載内容自体は決められているため内容は同じです。

 

建築計画概要書を閲覧するときのポイント

建築計画概要書は審査に合格し、確認済証が発行された後に一般へ公開されます。

具体的には市役所など各自治体の建築指導課で取得することができます。

ただし、取得においては有料で交付される場合がほとんどのため、前もって交付に必要な金額を確認しておくとよいでしょう。

建築計画概要書を入手したら、まず記載内容が建築基準法に適合しているかを確認します。続いて、建築計画概要書の記載内容が実際の建物と一致しているかを確認するために、現地を訪れ確認作業を行います。

ここからは建築計画概要書を閲覧するときに注意すべき内容について解説します。

 

➀敷地

 

建築計画概要書において、敷地に関する情報は配置図部分に記載があります。

特に、敷地自体の形状や境界線の明示方法については注意が必要です。

検査済証発行後に変更が行われるケースとして、敷地の分断があります。敷地が分断されてしまうとその土地を一体化して活用することができなくなります。

また、隣地からの越境物(軒など)にも注意が必要です。仮に自己所有地であっても越境物がある部分に関しては、原則敷地として認められないからです。

 

②建物の位置

配置図は敷地だけでなく建物の位置に関しても記載があり、配置図に記載の建物の位置と実際に建っている建物の位置とが、きちんと一致しているかの確認が必要です。

また、実際の測定に際しては、配置図に記載の寸法が柱芯か壁芯かで測定の基準が異なるため、どちらを採用しているかを前もって確認しておく必要があります。

 

③道路

道路に関する注意点としては大きく3つあります。

 

・道路幅員

まず、道路幅員を実際に測定し、建築計画概要書記載の内容と同じ幅なのかを確認します。

次に、いわゆる2項道路の場合は道路の中心から2m道路後退(セットバック)して4mになるかを確認します。もし4mに届かない場合は役所等で道路の中心線を確認する必要があります。

ただし、建築計画概要書上ではセットバックが未完了であっても道路の幅員は4mと記載されています。

 

画像引用:鴻巣市HP | 2項道路とは

 

・接道の長さ

建物を建てる敷地は道路に2m以上接する必要があります。

しかし、検査済証が発行された後に敷地境界線が変わることによって、接道の長さが変わることがあります。

因みに、敷地と道路の間に水路がある場合は、水路を跨ぐ橋の幅員が2m以上あれば接道しているとみなされます。ただし、新規に所有する場合は別途水路占用許可を取得しなければなりません。

 

・位置指定道路

位置指定道路とは、「42条1項5号道路」とも言い、民間が申請を行い、行政から位置の指定を受けて作られた道路です。

 

あわせて読みたい:家を建てる前に知っておきたい|位置指定道路と私道の違いと規制内容

画像引用:千曲市HP | 位置指定道路とは

 

注意が必要なのは、現地での見た目では位置指定道路に接しているにも関わらず、建築計画概要書上ではその記載がされていない場合です。

この原因については次の2つのケースが考えられます。

  1. 検査済証発行後新たに位置指定道路が造られたケース
  2. 剃刀文筆によって該当敷地と接道していないケース

剃刀文筆とは幅約5㎝程で土地の文筆を行い、敷地と道路が接しないようにすることです。

2は位置指定道路を造る際、その土地の所有者から同意を得られなかった場合に発生することがあります。

このようなケースに遭遇した場合は役所で位置指定図の交付を行い、法務局の公図と照合して確認します。

 

④容積率

 

現行の建築計画概要書の記載では、項目が細分化されているためほとんどありませんが、以前の概要書では記載されている数値通りに計算を行うと容積率がオーバーすることがあります。

これは、延べ床面積に容積率として含まれない部分の数値が足されているために起こるもので、最も多いのが駐車場における容積率計算対象外の面積が加わっているケースです。

因みに、駐車場は延べ床面積の内5分の1が容積率の計算から除外されます。

もし、他の用途に転用している場合は違反建築物となるため、やはりこの件に関しても現地できちんと確認する必要があります。

 

まとめ

建築確認を申請する際に必要な「建築計画概要書」に記載される内容や、既に審査に合格済で公開されている「建築計画概要書」の閲覧ポイントなどをご紹介しました。

建築計画概要書を閲覧することによって、建物全体がどのような条件や配置で建てられているのかが把握できます。

不動産営業マンとして、これらの資料を元に、適切な対応を心がけることが重要です。