なぜ路地状敷地(旗竿地・袋地・敷地延長)は安いのか?定義やメリット・デメリットについて説明
住宅購入を検討するとき、路地状敷地は安いと聞いたことはありますか?
住宅購入をするのであればコストを抑えたいところですが、路地状敷地にはメリットもあれば注意しなければならないデメリットも多く存在します。
ではどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。今回は路地状敷地の定義やメリット・デメリットについて説明します。
路地状敷地とは
路地状敷地の呼び方
路地状敷地(ろじじょうしきち)、旗竿地(はたざおち)、袋地(ふくろち)、敷地延長の土地、敷延(しきえん)はどれも同じの土地の形状のことを指します。
ただ、袋地は不動産鑑定評価の用語で、民法上は無道路地のことを意味します。
不動産業界では、エンシキ、シキエンと呼ばれる方が一般的です。
路地状敷地の定義
道路から奥まったところに位置し、細長い路地状部分(敷地延長、専用通路)で道路に接する土地で、土地の形状が旗竿(はたざお)の形をしていることから旗竿地(旗竿地)と呼ばれます。
路地状敷地は、家を建てることができる有効宅地部分と、有効宅地部分と道路をつなぐ路地状部分から成り立ちます。路地状部分は敷地の通路であって、道路や私道ではないので注意が必要です。
なぜ路地状敷地ができるのか
例えば、90坪の土地を不動産会社に売却します。
都心であった場合、90坪は十分広い土地であるため一般の消費者が購入するには資金が必要であるため、なかなか売ることができません。そこで、土地を割って販売しようと考える場合があります。90坪の土地よりも、45坪の土地のほうが需要があるため、利益を上乗せして売却できることもあるためです。
土地を分割するとき、間口が広ければ綺麗に分割できますが、間口が狭い長方形の土地の場合綺麗に分割できません。そこで、形状を旗竿地にして販売します。前面の綺麗な土地の方が価格は高くなります。
近年は、住宅地はどんどん細分化されている傾向にあるので、路地状敷地は増えていくことが考えられます。
路地状部分の注意点
幅員
土地は、建築基準法上の道路に「2m以上接道」していれば、建物を建築することができるという接道義務があります。接道義務を満たすためには、最低でも2mの幅が必要ですが、車の出し入れを考えると3mから4m程度が理想です。
車の駐車を有効宅地部分に設けるか、路地状部分に設けるかで必要な幅員が変わってきます。様々なケースを想定して幅員を調べましょう。
長さ(延長)
各自治体により路地状部分の条件に違いがありますが、路地状部分の長さと幅員の関係により、住宅が建てられない場合があります。
東京都建築安全条例では、建物の敷地が路地状部分のみによって道路に接する場合は、次の条件を満たすよう定められています。
敷地の路地状部分の長さ | 幅員 |
20m以下のもの | 2m |
20m以上のもの | 3m |
舗装の有無
路地状部分の舗装が砂利道となっているか、土やアスファルトとなっているか確認しましょう。アスファルト舗装の場合、下水に接続するなどの理由で路地状部分を堀削する必要がでてきた場合工事費が高額になる可能性があります。
自分の計画にあった路地状部分の舗装を選んでいきましょう。
土地の計算方法
路地状敷地の場合、路地状部分は通路という外観になりますが、原則的に敷地であるため、建ぺい率・容積率の算定上も敷地として扱って計算します。
有効宅地部分と路地状部分の2つの面積をそれぞ計算し、どのように減価が生ずるか考えて路地状敷地の価格を出していきます。減価率を計算する際は、地価調査研究会が出している土地価格比準表が参考になります。
有効宅地部分
有効宅地部分の減価率の観点は、路地がどれだけの長さなのか、周囲の建物により日照りや風通しに影響があるかということです。路地の長さが有効宅地部分の価格に影響してきます。
以下の表で路地状部分の長さから減価率をだしていきます。
路地状部分の延長 | 最高減価率 |
10m未満 | △10% |
10m以上 20m未満 | △15% |
20m以上 | △20% |
路地状部分
路地状部分の減価率の観点は、幅員が駐車場として利用不可能なのか、その他の利用は可能なのかということです。
路地状部分の減価率は、土地価格比準表で△30%~△50%とされています。地方では路地状部分は価値なしとして売られている場合もあるため、地域の事情など反映して減価率を判断していきます。
路地状敷地のデメリットと安い理由
路地状敷地にはデメリットがいくつかあり、そのことが安くなる理由となっていることが多いです。
以下がデメリットです。
- 周りが建物であるため日当たりが悪い。
- 周りが建物であるため風通しが悪い。
- 路地状部分の用途は、ほぼ駐車場に限られてしまう。
- 路地状部分は隣地の一階部分と接しており、丸見えになることがある。隣の家のプライバシーに気を遣わなくてはならない。
- 路地状部分が狭いと、車を置くと通行が難しくなる。
- 商業地であった場合、顧客の誘引が難しくなり集客に差が出る。
- 路地状部分の幅が2m確保できないと建築基準法の接道義務を満たせないため、建築不可能な土地となる。
- 大規模な建築物や特殊建築物を建てる場合、建築上の制限で建築や増築が不可能な場合がある。
- 建築、取り壊しの際に重機が敷地に入ることが困難な場合、コストが増大してしまうことがある。
路地状敷地のメリット
デメリットの多いように感じますが、路地状敷地にはメリットもあります。
路地状敷地のメリットは以下の2つです。
比較的安く土地を購入できる
路地状敷地は、相場よりも安い値段で土地を購入することができます。路地状部分があることにより減価率が変わり、結果安くなるためです。
比較的静かな環境
幹線道路沿いの土地などは車両交通量が多いため住宅地としては人気がありません。
しかし、路地状敷地は中に入っていることから比較的静かで車の通行をそれほど気にしなくてもよく、プライバシーという点からもプラスになります。
行政の取り扱いの確認が重要
路地状敷地の規定は、各自治体のルールに基づいています。細かく条件が定義されている自治体もありますが、自治体によっては路地状ではないと判断される場合もあります。
そのため、各自治体に規定を確認していくことが大切です。
まとめ
路地状敷地にはメリットもありますが、デメリットも多くあることを説明しました。住宅購入を検討する際はメリット・デメリットを理解することが大切です。
また、通常の土地購入と路地状敷地を含めた土地の購入では、土地の計算方法も規定も変わってきます。各自治体で規定も違うため、しっかり確認し住宅購入を検討していきましょう。
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