不動産(建物)登記とは|目的や費用・手順について解説

投稿日 : 2020年05月14日

不動産の売買や購入、贈与、相続があった際に必ず行うのが「登記(とうき)」です。

不動産登記は不動産の履歴書のようなもので、その不動産の所有者や土地・建物の状態を把握することができるようになっています。

しかし専門用語も多く使われているため、顧客にとっては複雑・面倒というイメージが持たれていることが多いです。

とはいえ、不動産に関する取引の際に不動産登記は避けて通れません。顧客にしっかり理解してもらう必要があります。

今回は不動産登記について、どのような内容の申請をどのような手順で行えば良いのか、必要になる費用や税金などを含めてご紹介します。

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この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

不動産(建物)登記とは

土地や建物などの不動産が今どのような状況なのか、誰が所有者なのかという権利について、法的な観点から記録して公開(公示)することを「不動産登記」と言います。

広さや用途の種類、構造、登記(記録)された時期のことなどを含め、さまざまな情報を知ることができます。

また、土地や建物の所有者が誰なのか(所有権)を示す他、抵当権や地役権といった所有権の他にさまざまな権利が登記されていないかを知ることができるので、土地・建物の売買の際には、不動産登記が非常に重要です。

法務局では不動産登記について以下のように説明しています。

「不動産登記とは,国民の大切な財産である不動産(土地や建物)の一つ一つについて,どこにあって,どれくらいの広さがあって,どなたが持っているのかといった情報を,法務局の職員(登記官)が専門的な見地から正しいのかを判断した上でコンピュータに記録することをいいます。

この登記をすることによって,不動産に関する情報が公示されることから,国民の権利の保全が図られ,また不動産登記の取引の安全のためにも役立っています。」

引用元:法務局

登記の種類

不動産における「登記(とうき)」は、以下の4つが挙げられます。

  • 建物表題登記(表示登記)
  • 所有権保存登記
  • 所有権移転登記
  • 抵当権設定登記

では、それぞれの登記がどのような意味を持つのか詳しく見てみましょう。

<建物表題登記(表示登記)>


画像引用:ファミリア土地家屋調査士法人

建物表題登記とは、一般的に「表示登記」と呼ばれる登記です。

不動産登記の「表題部」に行われる登記を指し、不動産が現在どのような状況なのかを示す内容、たとえば住所(所在)や種類、構造、床面積などが記録されます。

新しく建築された建築物の場合には、表示登記を新規に行う必要があるため、表示登記を申請する必要があります。

<所有権保存登記>


 

画像引用:有限会社向井建築設計事務所

所有権保存登記とは、所有権の登記がまだ行われていない不動産(土地・建物)に対して、最初に所有権を登記することを指します。

例えば、新築住宅が建てられたケースで見てみましょう。

最初の所有者となる人が表示陶器で「これはどのような建物か」を公示(登記)した後、「所有者が誰か」を記録することを所有権保存登記と言います。

なお、所有権保存登記は必ず行わなくてはならないものではありません。

<所有権移転登記>


出典元URL:南司法書士事務所

所有権移転登記とは、不動産を購入したときに、その所有権が相手から自分に移ったことを記録するための登記です。

登記をしないままでいると、後々に所有権についてトラブルになった際、持ち主だと主張することが難しくなります。

土地や建物の売買を行ったときは、こうしたトラブルを避けるためにも必ず行っておくべきです。

<抵当権設定登記>


出典元URL:三井住友トラスト不動産

抵当権設定登記とは、抵当権の設定を記録した登記のことを指します。

債務者が支払いできない(債務を履行できない)際、債権者が競売などを行って担保になっているものを売却し、債権を確保する権利が抵当権です。

つまり、不動産にどのような担保が付いているかを記録したものが、抵当権設定登記となります。

不動産売買において抵当権(担保)が付けられるのは、主にローンを組んで不動産を手に入れるときです。

内容としては、借り手(債務者)と貸し手(債権者)の他、金額や利息などさまざまな内容を記録します。

登記簿謄本(登記事項証明書)の見方

不動産に関するさまざまな情報が記録されているのが「登記簿謄本(とうきぼとうほん)」ですが、ここには主に3つのことが記載されています。

  1. 表題部
  2. 権利部(甲区)
  3. 権利部(乙区)

一つ目の表題部には、その不動産の情報が記録されています。

たとえば、土地であれば面積や住所、畑や宅地、山林など土地がどのような用途で利用されるのかを表示します。

建物であれば、住宅や店舗、事務所など建物の種類の他、木造や鉄筋コンクリート造などの構造、床面積といった情報の確認が可能です。

売買を行う不動産が現在どのような状況なのかをクリアにし、顧客に伝えるために欠かせない情報と言えます。

次は、権利部(甲区)です。

この部分には、不動産の過去から現在までの所有者が記載されています。

これまでに所有権登記された順番がわかる他、どのような目的で所有権登記が行われたか、日付や氏名などの詳細も記録されるため、どのような経緯で所有者が代わり、現在に至るのかが確認できます。

そして最後に、権利部(乙区)です。

ここには、所有権以外のさまざまな権利について記載されています。

例えば、不動産に抵当権や地役権が設定されている場合には、この部分に記載されるため、所有権の他にどのような権利が不動産に付いているかをチェックするのに必要です。

出典元:法務省

不動産(建物)登記にかかる費用

続いて、不動産登記にかかる費用(登録免許税)について見てみましょう。

不動産登記を行う際には登録の手数料の他、登録免許税という税金がかかり、以下の登記の種類によってその税率は異なります。

  1. 建物を新築したとき
  2. 建物を購入・売却・贈与・相続したとき
  3. 住宅ローンの場合

まず、建物を新築した際には、所有権保存登記を行うため
不動産価額 × 4/1,000(不動産価額の0.4%)
がかかりますが、2020年3月31日までは軽減税率の適用で
不動産価額 × 1.5/1,000(不動産価額の0.15%)
となります。

中古の建物を売買する場合、所有権移転登記を行うため
不動産価額 × 20/1,000(不動産価額の 2%)
がかかります。

建物の相続が行われた際には
不動産価額 ×4 /1,000(不動産価額の 0.4%)
がかかり、遺贈や贈与が行われると
不動産価額 × 20/1,000(不動産価額の2%)
がかかることになります。

また、住宅ローンを組む場合は抵当権の設定を行い、
債権金額 × 4/1,000(債権金額の0.4%)
がかかりますが、2020年3月31日までは軽減税率の適用で
債権金額 × 1/1,000(債権金額の0.1%)
となっています。

不動産(建物)登記の申請方法

不動産登記にいくつかの種類があることがわかったところで、各登記の申請方法についてご紹介します。

不動産登記の申請方法は、以下の3パターンがあります。

  • 自社で申請を行う
  • 司法書士に依頼する
  • 土地家屋調査士に依頼する

不動産登記は登記の専門家に依頼しなくても申請できますが、申請のために用意する書類が多く、申請の手続きが煩雑であることから、司法書士や土地家屋調査士に依頼することが多いです。

それでも自社で不動産登記を申請するという場合は、注意点も多いため、どのような方法で手続きを行うのか、注意点を含めて解説します。

登記申請に必要な書類

不動産登記申請を行う上で必要な書類は非常に複雑で、売買や贈与など目的によっても用意する書類が異なります。

例えば売買を行った際には、所有権を移す登記である所有権移転登記を行います。

必要なのは、売買契約書のように登記を行うきっかけとなったことを証明できる書類の他、不動産の登記済証、買主の住民票です。

贈与による不動産登記(所有権移転登記)申請の場合は、登記申請書の他に贈与することがわかる書面や、贈与を行う人(登記義務者)が持っている不動産の登記済証、印鑑証明書、贈与を受ける人の住民票の写しなどが必要になります。

相続の場合は、登記申請書の他、被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人(相続を受ける人)の戸籍謄本、さらに相続人全員の住民票の写しが必要になります。

登記申請手続きの流れ

続いて、登記申請の手続きの流れについて見ていきましょう。

不動産登記申請の手続きは、法務局(登記所)で行います。書面を作成して登記所の窓口に提出する方法と、オンライン申請の方法があります。

オンライン申請は不動産登記を含めてさまざまな登記申請ができ、月曜日から金曜日までの8時30分から21時まで利用可能です。

ここでは、法務局の登記所窓口へ直接申請を行う方法の流れについて、不動産売買が行われた例を挙げて説明します。

不動産売買の場合は売主から買主への所有権移転登記を行う必要があります。

  1. 登記申請書の作成を行う(自社で作成・司法書士や土地家屋調査士に依頼)
  2. 印鑑証明書や登記済証などの必要書類を揃える
  3. 登記を申請する不動産をどこの法務局が管轄しているのか確認する
  4. 法務局の登記所窓口で申請書を提出して申請する
  5. 登記所が申請内容をもとに確認・審査を行う
  6. 内容に不備があれば訂正し、なければ登記記録や地図に必要な内容が記入される
  7. ここまでの処理がきちんと行われたかどうか、登記官が確認して完了。当日はここまでで終了。
  8. 登記所が登記識別情報及び登記完了証の準備をする
  9. 後日、再度登記所に行って登記識別情報通知書及び登記完了証を受け取る

1日で全てが終了するわけではなく、後日改めて登記所に行く必要があるので日数がかかります。

登記申請手続きにかかる期間

登記申請を行っても、その場ですぐに登記が完了するわけではありません。

法務局の登記所が、書類に不備がないかどうかのチェック、不動産の内容について正しいかどうかの確認をします。

最初に申請を行ってから実際に登記申請が完了するまでは、登記所によってまちまちですが、おおむね1週間から2週間ほどかかります。

各法務局の公式サイトからおおよそのスケジュールを確認できます。

法務局によっては、登記完了予定日の午前・午後まで記載されているところもあるので、チェックしてから手続きを進め、進捗状況を顧客に説明しておきましょう。

また、登記完了予定日には「補正日」というものがあります。

書類を窓口に提出した際に確認できる日のことですが、その日までに法務局から補正(内容の修正)について連絡がなければ、登記が済んだことになり、登記完了を確認できます。

もしこの日までに連絡があった場合は、内容について補正(修正)を行わなくてはなりません。

登記申請の内容に不備があった場合や、不動産に関する実地調査をしないといけない場合などは、さらに時間がかかることになるのでその点も含めて顧客に説明する必要があります。

登記を自社で申請する方法

不動産登記は司法書士や土地家屋調査士に依頼する方法の他、自社でも申請が可能です。

その難易度は申請内容によりますが、用意する書類が多いことや方法が煩雑であることから、事前準備は綿密に行う必要があります。

また、不動産売買における所有権移転登記の場合は、登録免許税がかかります。

さらに、登記簿謄本の発行で600円の手数料の他、印鑑証明書は450円、住民票は300円がかかりますが、自社で申請を行えばそれ以上の費用は必要ありません。

ただし、売買による所有権移転登記にはスピードが求められます。

契約上、代金のやり取りが行われた時点で所有権が移ると考えられるため、所有店移転の登記は原則的にその日に行うことが望ましいので、司法書士などのプロに依頼するとより安心です。

自社で登記申請を行うメリットは、登記を自社で行えば司法書士などへの報酬を支払う必要がないため、大きくコストを削減できることです。

その金額は、依頼する司法書士・土地家屋調査士によりますが、およそ10万円前後になるので、自社で登記を行うメリットとなります。

また、表題登記であればそもそも登録免許税もかからないため、特に費用はかかりません。

不動産(建物)登記は義務ではない

ここまで不動産登記についてご紹介しましたが、実はこれらの登記は義務ではありません。

ただ、ひとつだけ「表題登記」については申請が義務付けられています。

不動産登記において、その他の登記は記録されていなくても表題登記は必ず内容が記されています。

もし、新築してから1ヶ月以内に表題登記を行わなかった場合には、10万円以下の過料を支払わなくてはなりません。

もし登記を行っていない場合には不動産の所有権について権利を主張できなくなります。

法的な観点から見てもリスクが高く、売却ができなくなったりその後の登記が複雑になったりと、デメリットが多くなってしまいます。

不動産登記は義務ではないとは言え、顧客には以上の理由から、表題登記をはじめとする各種登記は早めに済ませる必要があるという告知を怠らないでください。

まとめ

不動産登記は、その土地・建物がどのような状態なのか、誰が所有しているのかを表すものです。

登記をきちんと行うことにより、所有者がわからないという状態や、売買・相続・贈与時のトラブルを避けることができ、ローンを組む際にも抵当権の設定がスムーズにできるようになります。

基本的には自社で登記を行えますが、手続きの煩雑さや登記所の開設時間などを考慮して司法書士・土地家屋調査士に依頼する場合には、顧客にその旨と手数料などについて丁寧に説明しておきましょう。

また、スムーズな手続きができるよう、事前に情報収集や書類収集を顧客とともに積極的に行い、不備がないか確認することをおすすめします。