登記簿謄本「乙区」の見方|権利者の優先順位・所有者の財務力を読み解く

投稿日 : 2019年10月29日

「権利部(乙区)」の記載内容

宅建業者が不動産取引を担当する際、物件調査の資料として「登記簿謄本」はとても有益です。今回は、その中の「権利部(乙区)」についてご説明します。

「権利部(乙区)」には、所有権以外の権利(抵当権・根抵当権・賃借権など)について記載されています。

宅建業者が「乙区」の記載を調査する場合、①権利関係者の優先順位、②現在の所有者の財務力(売却・資金運用の安全性など)を確認します。

 

「乙区」の各項目を読み解く

それでは、「乙区」の各項目の詳しい記載内容とその読み解き方をご説明します。

 

◇順位番号

登記申請の順に番号が付与されます。

 

◇登記の目的

「乙区」の登記の目的には次の3つがあります。

①抵当権設定 個人の住宅ローンなどの場合。

返済後、抵当権の抹消登記を行う。

「債権額」…抵当権設定時点での借入額。

②根抵当権設定 事業用資金などのように借入と返済を繰り返す場合。

極度額(借入上限額)が決められており、その範囲内で追加融資を受けられる状態。

→ 極度額のみの記載のため、実際の借入額は不明となる。

→ 債務がない状態でも、所有者から抹消の申し出がなければ、登記が残る。

③賃借権設定 特定優良賃貸住宅(中程度の所得者向け公共住宅)などの場合。

地方自治体による賃借権を設定。

 

◇権利者その他の事項

登記の目的の詳細内容が記載されます。

  • 設定年月日
  • 債権額または極度額
  • 損害金
  • 債務者の住所・氏名
  • 抵当権者または根抵当権者の住所・氏名 など

 

「乙区」の確認ポイント

「乙区」の記載内容から確認したいポイントは以下の通りです。

 

①「権利関係者の優先順位」… 順位番号・設定年月日などにより確認。

→ 税金や保険の滞納がある場合、法定納期限により自治体など債権者の順位が決まります。(国税徴収法第8条地方税法第14条)納付書や債権者へのヒアリングで確認しましょう。

 

②「現在の所有者の財務力」… 抵当権・根抵当権の設定内容・残債務額・借入可能額などにより、債務超過になっていないかなど、資金運用の安全性を確認。

→ 所有者(売主様)の返済予定表・残債務証明書などで、現在の債務額を確定します。

 

抵当権・根抵当権設定の物件を賃貸で貸す場合

抵当権・根抵当権が設定された不動産が競売などで処分された場合、賃借人は競落人(競売物件を買い受けた人)に対抗できませんので、物件を明け渡さなければなりません。

しかし、競落人の買受日から6か月間は退去を猶予されます。(民法395条

担当した宅建業者は、その旨を「重要事項説明」において賃借人にする必要があります。

万が一の場合のトラブルを避けるためにも、借り手であるお客様に必ず伝えるようにしましょう。