不動産取引の決済当日の流れ|登記手続き・融資実行・決済金処理などを解説

投稿日 : 2019年10月26日/更新日 : 2023年02月07日

決済の流れ

不動産売買の流れは、「売買契約書の締結」→「決済」→「引き渡し」の順に行われます。この記事では、「決済日当日」の流れについてご説明します。

決済までに行う準備

売買契約を締結してから決済までの期間に、当事者・関係者によって行う準備について確認しておきましょう。

◇決済までに必要な準備

①買主による住宅ローンの正式申込み(商品説明・金融機関への持ち込みは、宅建業者が代行)

②決済日の調整・確定

③買主による金銭消費貸借契約

④売主による抵当権抹消準備(金融機関に必要書類の準備を依頼、書類の受け取り方法を調整)

⑤当事者による決済前最終チェック(決済金の金種確認・売主の未払い金の確認など)

決済当日の流れ

決済は、買主が融資を受ける金融機関の店舗で行なうことが多いですが、最近ではネット銀行やモーゲージバンクの住宅ローンを利用する買主が増えてきており、その場合には、売主・買主協議の上、決済を行なう場所を決めます。

例えば、売主への売買残代金等の振り込みは手元のPCでできるかもしれませんが、仲介手数料や登記費用など、比較的金額が大きく、当日現金出金が必要になる場合などは、買主がそれらのお金を引き出す金融機関の支店に集まる、といった具合です。

決済当日の手続きは、次のような流れで進めていきます。

①登記関係書類の作成

②融資実行(買主)

③引き渡しに向けた確認作業

④決済金の受け渡し

⑤売主側の金融機関の抵当権抹消手続き

①売主・買主それぞれの登記手続き

決済日当日に行う最初の手続きは、司法書士による登記手続きです。

まず、当事者の登記必要書類の確認をし、次に売主・買主それぞれの手続きを行います。

◇売主の登記手続き

  • 売渡証書への署名押印
  • 抵当権抹消
  • 住所変更登記の申請(登記上の住所から住民票の移動がある場合)

◇買主の登記手続き

  • 所有権移転登記の申請
  • 抵当権設定登記の申請

②買主の融資実行

登記手続きが完了したら、金融機関の担当者が「融資実行(買主の口座へ入金)」「売主への決済金の送金」「現金支払い分の出金手続き」を行います。

送金出金は、事前に取り決めておいた金種内訳に基づいて行われます。

この手続きの所要時間は、おおよそ1時間程度です。月末は混雑することもあり、もっと時間がかかることもありますので、余裕を持った前後のスケジュールを組むようにしましょう。

③引き渡しに向けた宅建業者の確認業務

融資の送金・出金手続きが完了するまでの待ち時間に、宅建業者は引き渡しに向けた業務を行います。

◇待ち時間に宅建業者が行う確認業務

  1. 不動産の引き渡しに関する確認書の内容を、両当事者に説明する。
  2. 売主から買主に引き渡す書類、鍵の本数を確認し、受取書を作成する。
  3. マンションの場合は、組合員変更届など、マンション管理会社に提出する書類を作成する。
  4. その他、引き継ぎ事項・確認事項など、最終チェックを行う。

④決済金の受け渡し

融資実行、決済金の送金、現金の出金が完了すると、金融機関担当者が振込明細と現金を持って戻ってきます。

その後、買主が出金内容を確認し、現金による支払いを行います。

領収書・鍵の受け渡しをすれば、決済は完了します。

⑤売主側の金融機関による抵当権抹消手続き

この後、売主が融資を受けている金融機関に「着金確認」の連絡をし、合わせて「抹消書類」の受け取りに向かう旨を伝えます。

書類の受け取りは通常、司法書士が行いますが、金融機関によっては契約者本人も同席が必要になることがあるので、事前に確認しておきましょう。

抵当権抹消書類を受け取ると、司法書士が管轄の法務局で登記申請をします。(登記申請の手続きは、売主・買主ともに同行する必要はありません。)

それが受理されると、決済当日の手続きはすべて完了となります。

決済当日に売主・買主が用意するもの

売主が用意するもの

  1. 登記済権利証書(登記識別情報)
  2. 住民票または戸籍附票(住所変更登記が必要な場合)
  3. 実印、印鑑証明書
  4. 決済金受け取り用口座の情報
  5. 融資返済用口座の情報
  6. 本人確認書類
  7. その他、鍵など

買主が用意するもの

  1. 住民票
  2. 実印、印鑑証明書
  3. 融資返済用口座の情報、銀行届出印
  4. 本人確認資料 など

決済直前の名義人変更

買主が住宅ローンを利用する場合には、金消契約までに名義人が確定していますが、現金購入の場合は、決済直前になって「名義人を変更したい」と買主から相談されるケースがあります。

よくあるのは、企業代表者を法人に変更する場合、あるいは、同一代表者の別法人へ変更する場合です。

または、共有名義への変更を希望される場合もあります。

宅建業者はそれぞれのケースで、次のように対応します。

名義変更における業務

「地位譲渡契約書(買主としてのすべての地位を譲渡する契約書)」を取り交わします。

この契約書には、次のことを明記する必要があります。

◇地位譲渡契約書に明記する項目

  • 買主の地位譲渡について、売主の承諾を得ている旨
  • 契約時に売主との間で授受された金銭(手付金、印紙代など)の清算内容
  • 媒介契約書における依頼者としての地位の譲渡

共有名義への変更における業務

共有名義へ変更する場合は、次のような業務を行います。

  1. 買主の意向を確認。
  2. 贈与税の課税を考慮し、妥当な「持分割合(各名義人の所有割合)」を決定する。
  3. 契約書の修正、覚書の作成。

名義人の変更には、法務上・税務上さまざまな影響が伴います。

司法書士や税理士など、専門家と充分に相談しながら対応するといいでしょう。

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