弁済の場所と代物弁済の条件を学ぶ|弁済による代位の“任意・法定”の違い

投稿日 : 2020年03月09日

契約を締結した当事者の双方は、それぞれ債務を弁済する義務を負います。

この弁済をするときには、何処で弁済しなければいけないという場所の決まりはあるのでしょうか。また両者の合意があればどんなモノで弁済しても構わないのでしょうか。

今回は弁済に関するいくつの決まり事である「弁済の場所」と「代物弁済」、そして第三者が債務者の代わりに弁済したときの「弁済による代位」について解説します。

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この記事の監修者:
平山 和歌奈
宅建スペシャリスト

不動産会社や金融機関にて、ローンの審査業務、金消・実行業務などに従事。その過程で、キャリアアップのため自主的に宅建の取得を決意。試験の6ヶ月前には出勤前と退勤後に毎日カフェで勉強、3ヶ月前からはさらに休日も朝から閉館まで図書館にこもって勉強。当日は37℃の熱が出てしまったが、見事1発で合格した。現在はiYell株式会社の社長室に所属。

 

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「弁済」の試験科目

権利関係

「弁済の場所」「代物弁済」「弁済による代位」が含まれる試験分野

弁済

「弁済の場所」「代物弁済」「弁済による代位」の重要度

★ ☆ ☆ ☆ ☆ 軽く押さえておけば十分です

「弁済の場所」「代物弁済」「弁済による代位」過去10年の出題率

3%

 

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弁済に関する出題分野の中では、「弁済の場所」「代物弁済」「弁済による代位」は出題される可能性が比較的低い項目です。

しかし「弁済による代位」は、第三者弁済と合わせて出題される可能性がありますので、全く知識を必要としないわけではありません。出題率が低いからといって無視してしまわないように注意しましょう。

 

「弁済の場所」の解説

 

弁済の場所をどこにするかは、契約もしくは特約で場所を定めているかどうかによって異なります。

 

場所を定めている場合

契約時に定められた場所が弁済の場所となります。

 

場所を定めていない場合

原則として債権者の現在の住所が弁済の場所になります。

 

場所を定めていない場合の例外(特定物の引渡し)

弁済の場所の定めがない契約でも、その弁済が「特定物の引渡し」の場合には、弁済の場所は債権が発生した当時にその物が存在していた場所となります。

不動産の場合、中古物件の売買契約で売買の対象となる建物が建っている場所がそれに該当します。

 

「代物弁済」の解説

代物弁済とは債務者が、本来支払うべき物(金銭の給付等)に代えて、代替の物(土地や財物等)で弁済することです。

代物弁済は債権者の同意があれば有効です。債権者が代替物を債務と同等の価値があると認めて受け取れば、代物弁済により弁済者の債務は消滅します。

ただし代物弁済されたモノの権利を第三者に侵害されないようにするためには対抗要件を備える必要があります。代物弁済のモノが土地建物であれば登記が完了していることが対抗要件となります。

 

「弁済による代位」の解説

 

債務者以外の第三者が何らかの理由で債務者の代わりに弁済を行ったときには、債権が債権者から代位者(第三者)に移行されます。これを弁済による代位と言います。

弁済により代位した代位者(第三者)は、弁済分の返還を債務者に請求することができます。この権利を求償権(きょうしょうけん)と言います。

代位は、代理弁済による利益の有無で「法定代位」と「任意代位」に分かれます。

 

法定代位

債務者の代わりに弁済したことにより「正当な利益を有する者」に移行する代位を法定代位と言います。具体的には保証人・連帯保証人・物上保証人・抵当不動産の第三取得者などです。

 

任意代位

債務者の代わりに弁済したことにより「正当な利益が生じない者」に移行する代位を任意代位と言います。例えば親や兄弟、友人などが債務者に頼まれて弁済した場合、代理弁済した親・兄弟等は任意代位の求償権を得ます。

 

任意代位における債務者・第三者への対抗

弁済による代位においては、原則として元の債権者の承諾は必要ありません。

しかし任意代位の場合には、求償権を債務者本人や第三者に侵害されないために、債権者への通知もしくは債務者の承諾が必要です。

 

「弁済の場所」「代物弁済」「弁済による代位」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

民法 (令和2年3月1日時点)
第484条(弁済の場所)

弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。

【改正後】

第484条(弁済の場所及び時間)

弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。

2 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。

 

第482条(代物弁済)

債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

【改正後】
第482条(代物弁済)

弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

 

第499条(任意代位)

債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。

 

第500条(法定代位)

弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。

【改正後】

第499条(弁済による代位の要件)

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。

 

第500条

第四百六十七条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。

 

 

「弁済の場所」「代物弁済」「弁済による代位」ポイントのまとめ

この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 弁済の場所は契約で定めているかどうかで決まる
  2. 債権者の同意が得られた場合には代物弁済が可能
  3. 第三者が債務者の代わりに弁済するとその第三者は弁済による代位で求償権を得る

 

最後に

 

今回は弁済の場所・代物弁済・弁済による代位について解説しました。

宅建試験の勉強において、弁済の場所・代物弁済・弁済による代位については出題の確率は低いですが、宅建業界の実務を行う上では、知っておく必要があります。

宅建試験は何のための勉強なのかをいつも忘れずに、どの項目も怠らずにしっかり学ぶようにしましょう。