相続人と相続分の規定|2020年度宅建試験で相続を重視すべき理由とは

投稿日 : 2020年03月09日

相続の発生は、お客様が不動産を売却する理由としても比較的割合が多いタイミングのひとつです。

宅建業界で働く営業マンは、相続に関する知識も十分に得ておかないと、お客様のさまざまなご相談にお応えすることができません。

もちろん宅建試験でも、相続に関する問題は重要なウェイトを占めます。

今回は不動産売買に大きく関連してくる相続について学びましょう。

kobayashi

この記事の監修者:
平山 和歌奈
宅建スペシャリスト

不動産会社や金融機関にて、ローンの審査業務、金消・実行業務などに従事。その過程で、キャリアアップのため自主的に宅建の取得を決意。試験の6ヶ月前には出勤前と退勤後に毎日カフェで勉強、3ヶ月前からはさらに休日も朝から閉館まで図書館にこもって勉強。当日は37℃の熱が出てしまったが、見事1発で合格した。現在はiYell株式会社の社長室に所属。

 

宅建受験者はここをチェック!

 

「相続」の試験科目

権利関係

「相続人」「相続分」が含まれる試験分野

相続

「相続人」「相続分」の重要度

★ ★ ★ ★ ★ セットで理解しましょう

「相続人」「相続分」過去10年の出題率

50%

 

2020年宅建試験のヤマ張り予想

これまでの宅建試験でも相続に関する問題は多く出題されてきましたが、2020年度の宅建試験ではほぼ確実に出題されると思われます。平成31年(2019年)の相続法改正により、相続に関する新たな知識が必要になったからです。

また「相続人」と「相続分」はセットで出題されるケースが多いので、どちらも理解を深めておきましょう。

 

「相続」の解説

 

まず基本的な知識として「相続」とは何かを理解しましょう。

相続とは、死亡した人の財産を特定の人に引き継がせる制度のことです。死亡した人を被相続人、財産を引き継ぐ人を相続人と呼びます。

 

相続が開始される時期

相続が始めることを「相続の発生」と言います。そして相続が発生するのは「被相続人が死亡したとき」です。

被相続人が死亡する前に相続が発生することは決してありません。また同じように、生存している人が被相続人になることもありません。

 

死亡 ⇒ 相続の発生=被相続人の誕生

 

相続人

 

法律により相続人と見なされる法定相続人は被相続人の家族です。被相続人との関わり方により、それぞれ順番に相続人が指定されます。

第一順位として必ず相続人に指定されるのは以下の家族です。

 

〇第一順位

配偶者
子(実子・嫡出子・非嫡出子・養子)

 

子の中には、産まれていない子(胎児)も相続対象に含みます。胎児は既に生まれているものと見なされるからです。

子が死亡していても孫がいる場合には、子の代わりに孫が相続人として指定されます。これを代襲相続と言います。

第一順位の配偶者もしくは子・孫が存在しない場合には、相続の順番は第二順位になります。

 

〇第二順位

直系尊属(父母または祖父母)

 

第一順位と第二順位の相続人が存在しない場合には、相続の順番は第三順位になります。

 

〇第三順位

兄弟姉妹

 

第一順位から第三順位までの全ての相続人がいない場合には、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の介護等を担ってきた特別縁故者が相続人となります。

 

相続人になれない人

上記の法定相続人に該当する人でも、その人に欠落事由がある場合は相続することができません。欠落事由は後述する「「相続人」「相続分」に関連する法律」で確認してください。

《参考》

欠落事由があるために相続人から除外された人でも、その子供(被相続人の孫)は代襲相続することができます。

しかし、もし相続人として指定された人が財産を相続したら、その子供(被相続人の孫)は代襲相続の対象にはなりません。

 

相続分

法律で相続人が決まっているように、相続する割合=相続分についても決まりがあります。

相続が発生した時点では、被相続人の財産は相続人になる予定の人たちの共有財産として扱われます。相続人が決定した後、下記表の割合で遺産分割がされます。

 

画像引用:SMBC日興証券|法定相続分 (ほうていそうぞくぶん)

 

子が被相続人の実子であるか養子等であるか、または代襲相続による孫への相続であるかどうかは、相続分の計算には関係ありません。

また、兄弟姉妹についても、年上か年下かの区別や、男女差はありません。

 

「相続人」「相続分」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

民法 (令和2年3月1日時点)

第896条(相続の一般的効力)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 

第891条(相続人の欠格事由)

次に掲げる者は、相続人となることができない。一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 

第900条(法定相続分)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。二配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。三配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。四子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

 

実際に過去問を解いてみよう

問題:

1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aには、配偶者はなく、子B、C、Dがおり、Bには子Eが、Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また、Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため、相続人となることができない。この場合における法定相続人と法定相続分を述べよ。

(平成29年度本試験 問9より改題)

答え:Dに6,000万円、Fに6,000万円

 

解説

Bは相続放棄しているため相続権がなくなります。Bの子Eは代襲相続の対象にはなりません。CはAへの強迫により欠格事由に該当し、相続人となることができません。しかし欠格事由と廃除は一代限りなので、Cの子Fは代襲相続の対象になります。

よって相続人はDとFの2名となり、2分の1ずつ6,000万円を相続します。

 

「相続」ポイントのまとめ

この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 相続とは故人の財産を引き継ぐこと
  2. 相続人は配偶者と子→直系尊属→兄弟姉妹→特別縁故者の順で指定される
  3. 欠落事由があると相続できない(代襲相続は可)
  4. 相続分の計算は相続人が誰であるかにより決定する

 

最後に

 

今回は相続とは何か、相続人の順位の決まりと遺産分割による相続分の決め方について解説しました。

不動産売買と相続とは、深く関わりがあります。
これから一人前の不動産営業マンになろうという人は、不動産のプロであるだけでなく、相続のプロも目指しましょう。