固定資産税の起算日は1月と4月の2通り|不動産の売買における税金の精算方法

投稿日 : 2020年05月03日

土地や建物を所有していると、固定資産税の支払いが発生します。

固定資産税は1年単位で納税義務者が決められているため、不動産の売買の際には精算を行い、引き渡し日以降の分は買主が負担するのが一般的です。

固定資産税の精算の方法や、精算金の算出のもととなる起算日の考え方などについて解説していきます。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

固定資産税とは

固定資産税とは、1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して課税される税金で、不動産を所有している限り、毎年支払いが発生します。

土地補充課税台帳や家屋補充課税台帳などの固定資産課税台帳、あるいは、登記記録に所有者として登録されている個人・法人が納税義務者になります。

固定資産税の対象になるのは、原則としてすべての土地と建物です。

土地の借地権を持っている人は課税されず、所有者である地主が固定資産税を納めます。

また、固定資産税は地方税であり、市町村税として徴収されていますが、東京23区のみ都税となっています。

 

固定資産税の税額を計算するうえで基礎となる課税標準は固定資産評価額で、固定資産課税台帳に登録されています。

固定資産税評価額は市町村が独自に決定するもので、一般的に土地は時価の約70%、建物は新築時の工事請負価格の約50~60%が目安とされています。

ただし、実際のところは、土地は接道状況や面積、形状、建物は構造や規模、築年数といった条件などによって、評価額は異なってきます。

また、建物は固定資産税評価額がそのまま課税標準額になりますが、土地は住宅用地に対する特例や価格の上昇や下落による負担調整措置が反映されたものが課税標準額となっています。

 

固定資産税の税率は市町村によって異なりますが、標準税率の1.4%を適用している自治体が多くを占めています。

 

固定資産税の計算方法などについては、『不動産所有にかかる税金|固定資産税の計算と住宅ローン控除・増税支援措置』でも触れています。

 

 

都市計画税とは

都市計画税も、毎年、1月1日の土地や建物の所有者に対して課税される税金で、1月1日の所有者が納税義務者になります。

ただし、すべての土地と建物が対象ではなく、都市計画法による市街化区域内にある土地と建物を所有している人に対して課税される税金です。

非線引き地域がある場合は全域、または条例で定められた一部のエリアが対象になります。

都市計画税は、道路の建設や下水道の整備といった都市計画事業・土地区間整理事業に充てることを目的とした地方税になります。

 

都市計画税も課税標準となるのは固定資産税評価額です。

ただし、固定資産税と同様に住宅用地に対する特例はありますが、軽減される割合は異なります。

また、固定資産税には新築住宅の建物の特例が設けられていますが、都市計画税には設けられていません。

ただし、自治体によっては都市計画税にも独自の新築住宅の建物に対する特例を設けている場合もあります。

都市計画税の税率は上限となる制限税率が0.3%に定められ、市町村によって異なります。

 

 

公租公課の精算とは

公租公課とは、公の目的のために国や地方自治体に納める負担金の総称です。

公租は国税や地方税などの税金を指し、公課は公租以外の負担金になります。

不動産売買の契約書での公租公課とは、固定資産税と都市計画税を指し、公租公課の精算とは固定資産税と都市計画税を所有期間で期間按分して精算することをいいます。

固定資産税や都市計画税は1月1日の土地や建物の所有者に対して課税され、年の途中で売買などで所有者が変わっても、納税義務者は変更されません。

そこで、商習慣として、売主と買主の間で日割計算による精算が行われているのです。

 

買主は固定資産税の精算金を負担する公的な義務はありません。

しかし、商習慣として固定資産税の精算をするのが一般であるため、通常、売買契約書に固定資産税等の精算に関する条項が盛り込まれています。

締結した売買契約に固定資産税等の精算に関する条項が設けられている場合には、費用を支払わなければ、債務不履行となります。

買主が固定資産税の精算金の支払いを拒絶すると、取引が円滑に進まない可能性があることを認識しておきましょう。

 

また、固定資産税精算金は売買代金の一部に含まれるとみなされ、消費税の課税対象となることがあります。

土地の売買は非課税のため、建物部分の固定資産税の精算金は課税対象となるケースもみられます。

 

 

固定資産税における起算日

土地や建物の売買を行うと、固定資産税や都市計画税は起算日をもとに日割り計算を行うのが一般的です。

固定資産税などの精算の起算日の基準について解説していきます。

 

起算日は1/1と4/1のどちらが適用される?

不動産の売買による固定資産税の精算で、起算日は1月1日と4月1日のいずれかにするのが一般的です。

1月1日を起算日とする場合は、売主の負担は1月1日から引き渡し日までの分、買主の負担は引き渡し日から12月31日までの分です。

4月1日を起算日とする場合は、売主の負担は4月1日から引き渡し日まで、買主の負担は引き渡し日から翌年の3月31日までの分になります。

 

1月1日を起算日とする理由は、固定資産税は毎年、1月1日の所有者に対して課税されるためです。

一方で、4月1日を起算日とする考え方は、1月1日の所有者に対して発生する税金は、4月1日から始まる年度分の税金となることによるものです。

起算日は地域による違いがあり、関東では1月1日を起算日、関西では4月1日を起算日とする傾向が見受けられますが、最近では1月1日を起算日とするケースが目立つようです。

 

また、引き渡し日当日の分の固定資産税の取り扱いは、買主の負担とするケースが多いです。

 

そもそも固定資産税の精算は商習慣として行われているもので、法的な根拠はありません。

そのため、起算日は1月1日と4月1日のどちらがよいとは一概にはいえないものがあります。

 

起算日の確認方法

こうした起算日に関する決定は、実際には不動産仲介会社ごとの決まりに従うことが多く、買主や売主の意向が反映されることは少ないです。

また、買主と売主の起算日の考え方が異なる場合、会社の規模などのパワーバランスよって決まることもありますが、通常は契約書類作成業務を担当する側の会社のやり方が採用されます。

契約前に売買契約書の内容を確認しておくことが大切ですが、起案日は不明な場合は契約書を確認するようにしましょう。

 

 

固定資産税の日割り計算の仕方と起算日による違い

不動産の売買における固定資産税の精算のための日割り計算額は、起算日によって変わります。

起算日が1月1日のケースと、4月1日のケースのそれぞれについて、計算方法を見ていきましょう。

 

起算日が1/1の場合

固定資産税の精算で起算日が1月1日の場合について、引き渡し日が11月1日のケースと5月1日のケースを算出しました。

 

<固定資産税:10万円/11月1日引き渡し日のケース>

売主の負担分:10万円 × 304日/365日 = 8万3,288円

買主の負担分:10万円 × 61日/365日 = 1万6,712円

 

<固定資産税:10万円/2月1日引き渡し日のケース>

売主の負担分:10万円 × 31日/365日 = 8,493円

買主の負担分:10万円 × 59日/365日 = 9万1,507円

 

起算日が1月1日の場合、引き渡し日が12月に近づく方が買主の負担分は少なくなります。

 

起算日が4/1の場合

固定資産税の精算で起算日が4月1日の場合について、引き渡し日が11月1日のケースと5月1日のケースを算出しました。

 

<固定資産税:10万円/11月1日引き渡し日のケース>

売主の負担分:10万円 × 214日/365日 = 5万8,630円

買主の負担分:10万円 × 151日/365日 = 4万1,730円

 

<固定資産税:10万円/2月1日引き渡し日のケース>

売主の負担分:10万円 × 306日/365日 = 8万3,836円

買主の負担分:10万円 × 59日/365日 = 1万6, 164円

 

起算日が4月1日の場合、引き渡し日が3月に近づく方が買主の負担分は少なくなります。

 

 

納税のタイミング

固定資産税は毎年、4~6月頃に届く納税通知書で納税額がわかります。

固定資産税は年4回に分けて支払うことになっていますが、納期は市町村によって異なります。

東京23区の場合の納税のタイミングは、6月、9月、12月、翌年2月で、同様の自治体が多いです。

一括で支払うこともできますが、国民年金のような割引制度はなく、支払い総額は4回に分けて支払った場合と変わりません。

一方、支払いが遅れた場合には、年14.6%の延滞金が発生することに注意が必要です。

固定資産税の納期限(支払期日)は、納税通知書に記載されています。

 

 

固定資産税の払い方

固定資産税の支払い方について、売主、買主それぞれについて解説していきます。

 

売主

毎年、1月1日の土地や建物の所有者が固定資産税の納税義務者であり、年の途中で売却しても納税義務者ということに変わりません。

そのため、土地や建物を売却した年の固定資産税は、自治体に対して売主が全額の支払いを行い、売買代金の決済時に精算金を買主から受け取る形になります。

 

固定資産税の支払い方法は納付書で、銀行や郵便局など金融機関や市区町村の窓口による現金払いが基本で、コンビニでの支払いに対応している自治体もあります。

納付書は4~6月に送られてきますが、一括払い用1枚と4回払い用のもの4枚ですので、いずれかを使用します。

納付書を紛失した場合は市町村の役所に連絡をすると、再発行してもらうことが可能です。

このほか、金融機関の口座からの引き落としに対応している自治体が多いです。

また、自治体によってはクレジットカードや電子マネーでの支払いに対応していますが、決済手数料が発生することが多いため、手数料を確認しましょう。

 

買主

固定資産税の納税義務者は1月1日の土地や建物の所有者であり、年の途中で購入しても変わらないため、買主は固定資産税の精算金は売主に対して支払います。

支払いのタイミングは、購入代金を決済するときに、まとめて支払うことが一般的です。

 

購入した翌年からは固定資産税の納税通知書や納付書は、通常、新しい所有者である買主に届きますが、年内に所有移転登記を行わないと、元の所有者である売主のところに届いてしまうため、注意が必要です。

 

 

起算日を定めなかった場合

売買契約で固定資産税は引き渡し日以降は買主負担と盛り込んでいても、起算日を取り決めていない場合、1月1日と4月1日で買主と売主がそれぞれに優位な方を主張する恐れがあります。

しかし、法的な根拠がないため、1月1日と4月1日のいずれかが妥当とする判断するのは難しいです。

そこで、不動産仲介会社の仲介のもとで話し合いを行い、問題となる期間は折半とするなど、解決に向けた着地点を見出していくのが望ましいといえます。

 

 

起算日に関するトラブルを避ける方法

固定資産税の精算金は法的な根拠がないため、起算日や日割り計算の方法について、詳細に売買契約書に盛り込んでおかなければ、トラブルになる可能性があります。

起算日は1月1日と4月1日のいずれにするのか、また、引き渡し日の分は買主と売主のいずれの負担にするのか、取り決めておくことが必要です。

また、起算日をもとに日割り計算をする際には割り切れないことが多いため、四捨五入をする、10円単位、あるいは100円単位までとするなど、端数の処理についても取り決めをしておきましょう。

売買契約書の中で固定資産税の精算についても盛り込んでおき、後からでも確認できるようにしておくことが大切です。

 

 

また、起算日を1月1日にする場合も、4月1日にする場合も、引き渡しのタイミングによっては、トラブルが起こる可能性があります。

1月1日を起算日とする場合は、1月~3月に引き渡しをするケースでは当該年の固定資産税額がわかりません。

そのため、前年の金額をもとに精算するなどの取り決めをしておく必要があります。

また、4月1日を起算日とする場合は、1月2日~3月31日に引き渡しをするケースでは、固定資産税の精算をしていても、翌年度の納税通知書などが売主に届いてしまいます。

そのため、買主はすぐに翌年1年分の固定資産税の送金をしなければならないことを踏まえておくことが必要です。

 

 

まとめ

不動産の売買では法的な根拠はないものの、固定資産税の精算をするのが商習慣として一般的です。

しかし、起算日など詳細な内容まで契約で決めておかなければ、売主と買主の認識の違いから、トラブルに発展する恐れがあります。

起算日や端数の処理などについても、売買契約書にきちんと盛り込んでおきましょう。