固定資産税の優遇・減税|一戸建てとマンションの特例の違いとは

投稿日 : 2020年04月15日

固定資産税は、土地や不動産を持っている限り、ずっと払い続けないといけない税金です。買主様の多くは、できるだけ固定資産税を安くしたいと考えています。減税・優遇の措置を分かりやすく説明して、商談に活かすようにしていきましょう。

今回は、固定資産税にスポットを当てて、優遇・減税の制度を紹介していきます。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

固定資産税とは

固定資産税とは、不動産を所有している全員に納税義務がある税金です。毎年5月頃に、市町村(東京都23区の場合は区)から納税通知書が届きます。

納税義務があるのは、「1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている者」です。

仮に、3月1日にAさんからBさんに不動産を売却したとしても、その年の固定資産税はAさんが支払います。ただし、すでにAさんが死亡している場合は、現在の所有者であるBさんに支払い義務が発生します。

 

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固定資産税の計算方法

固定資産税の計算式は以下の通りです。

『固定資産税評価額×税率』

固定資産税の税率は1.4%(標準税率)です。固定資産税評価額が1,000万円であれば、14万円が固定資産税になります。

ただし、自治体が必要と認めた時は税率を変更することが可能です。よって、同じ不動産であっても自治体によって固定資産税が異なる場合があります。

 

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、固定資産税の金額を算定する際の基準になるものです。そのほか、都市計画税や不動産取得税、登録免許税の金額を決める際にも利用されます。

固定資産税評価額は市町村ごとで個別に決定されるため、地域によって固定資産税に差が生じます。

土地・建物の評価額は以下の計算式で求められます。

  • 土地=地積(土地の面積)×路線価
  • 建物=1点あたりの価額×床面積×単位面積当たりの単位面積費評点×経年減点補正率

土地の計算式はシンプルです。路線に面した住宅の1平方メートルあたりの評価額【路線価】に土地の面積をかけて算出します。

建物の場合は、「同じ土地に同じ建物を建てたらいくらになるか」という金額から、経年劣化分の価値を引いた金額で評価します。

 

一戸建て・マンション所有者が受けられる減税措置

固定資産税は、一定の条件を満たすと減税措置の適用があります。一般住宅でもマンションでも適用されますが、減税の内容に違いがあります。

まず、マンションに関する減税措置の内容を見ていきましょう。

 

土地部分の減税措置

画像引用:空き家サポート愛媛|空き家の固定資産税と都市計画税

 

土地に関しては、「居住用の建物が建っている土地」=住宅用地に対して減税の適用があります。これが住宅用地の特例です。

床面積が200平方メートル以下の部分を「小規模住宅用地」、それより広い部分を「一般住宅用地」と呼び、減税の割合が異なります。

なお、マンションは一般住宅と床面積の求め方が違う点に注意してください。

一般住宅が単純に床面積の合計を計算するのに対し、マンションの場合は、持ち分に関係なく敷地全体の面積を戸数で割って計算します。

そのため、多くのマンションで床面積は200平方メートル以下になります。

 

小規模住宅用

【床面積200平方メートルまでの部分】課税標準額を固定資産税評価額×1/6に減額

 

一般住宅用地

【床面積200平方メートルを超える部分】課税標準額を固定資産税評価額×1/3に減額

 

建物部分の減税措置

建物部分の減税措置を受けるには、「新築住宅であること」が必要です。中古のマンションを購入しても、減税の対象になりません。

減税内容は「床面積120㎡までの部分について、税額が1/2になる」というものです。

 

優遇を受けるための条件

建物の減税を受けるためには、新築であること以外に以下の条件を満たすことが必要です。

  • 居住用部分の床面積が50~280㎡であること
  • 居住用部分が1/2以上を占めていること

なお、一戸建て以外の賃貸住宅の場合は、床面積40~280㎡が条件です。

 

建物によって減税期間が異なる

土地部分の減税は、住宅用地を持っている限り減税措置が適用されます。一方で建物の減税は、新築してから一定期間のみ減税される有限の措置です。

また、現状では2020年3月31日までに新築した建物に対する特例です。2019年には与党が特例を2年延長する方針を決定していますが、常に最新の法令を確認するようにしてください。

建物ごとの減税期間の違いは以下の通りです。

 

3階建て以上の耐火・準耐火建築物

減税期間:5年

一方、一戸建ての場合は3年です。耐火・準耐火構造のマンションであれば、2年長く特例が受けられます。

 

長期優良住宅

長期優良住宅に認定されても、1/2が減税という部分に変わりはありませんが、減税期間が2年間延長されます。

一戸建てなら本来の3年が5年、マンションなら5年が7年になります。

 

その他の減税特例

ここまで紹介したのは、「新築住宅の減税」「住宅用地の特例」の2つです。

それ以外にも、条件に合致した場合に適用できる特例があります。

  • 省エネ改修促進税制
  • バリアフリー改修促進税制
  • 耐震改修促進税制

いずれの特例も、新築住宅の特例と併用できない点に注意が必要です。

また、どの特例も2020年3月31日までに改修が完了している必要があります。

 

省エネ改修促進税制

新築ではなく、リフォームをした際に適用される減税の1つです。「省エネ」を目的にリフォームした場合に適用されます。

新築住宅の特例・耐震改修の特例と併用することはできません。

 

条件

  • 平成20年1月1日以前から住宅を所有していること
  • 工事後の床面積が50~280㎡であること
  • 床面積の1/2以上が居住用であること
  • 工事に要した費用が50万円を超えていること

 

軽減内容

課税床面積120㎡まで、固定資産税評価額の1/3が減額(長期優良住宅なら2/3減額)

 

軽減期間

工事を行った翌年1年に限る

 

バリアフリー改修促進税制

バリアフリーを目的にした場合にも、同様に減税特例があります。こちらは工事完了後3ヶ月以内に、自治体に対して申請を行う必要があります。

新築住宅の特例や耐震改修の特例との併用はできません。

 

条件

  • 築10年以上の住宅(賃貸住宅は不可)
  • 65歳以上の者、要介護又は要支援の認定を受けた者、障がい者のいずれかが居住していること
  • 工事後の床面積が50~280平方メートルであること
  • 床面積の1/2以上が居住用であること
  • 工事に要した費用が50万円を超えていること

 

軽減内容

課税床面積100㎡まで、固定資産税評価額の1/3が減額

 

軽減期間

工事を行った翌年1年に限る

 

耐震改修促進税制

同じく、耐震リフォームを行った場合にも減税があります。省エネ、バリアフリーと違い、減税内容が「固定資産税の1/2に減額」である点が異なります。

新築住宅の特例・バリアフリー改修の特例と併用することはできません。

 

条件

  • 耐震基準を満たした耐震リフォームであること
  • 昭和57年1月1日以前から住宅があること
  • 工事費用が50万円を超えていること

 

軽減内容

課税床面積120㎡まで、固定資産税評価額の1/2が減額(長期優良住宅なら2/3減額)

 

軽減期間

工事を行った翌年の1年に限る

 

固定資産税の免税

固定資産税は、一定の条件では全く支払う必要がない(免税になる)場合があります。

その条件は土地であれば課税標準が30万円、建物は20万円に満たないことです。

この金額のことを免税点といいます。

 

固定資産税の還付

固定資産税は、自治体の担当部署が計算・処理を行っています。機械がやっているわけではないため、どうしても人為的なミスが発生することがあります。

減税が適用されずに、高額な固定資産税が記載された納税通知書が届く可能性もあります。

この時、固定資産税の金額が間違っていることに気づけるかが大切です。間違いに気づいて自治体に申請すれば、過払いの税金を還付してもらえます。

間違いに気づくために、あらかじめ固定資産税の金額を計算しておくことをおすすめします。

多少の報酬が発生しても正確に固定資産税を把握したいなら、税理士に計算を依頼する方法もあります。還付があった際は還付金の一部を報酬として支払うことになりますが、減免の制度について丁寧に教えてもらえるというメリットもあります。

 

まとめ

今回は、固定資産税の減税特例と、建物ごとの優遇措置の違いを解説しました。制度を理解して土地・建物を運用すれば、固定資産税を大幅に節約することが可能です。

固定資産税の優遇制度は該当していても、自分から申告しないと適用されないことを買主様に伝えるようにしてください。