不動産取引の決済当日の流れ|登記手続き・融資実行・決済金処理などを解説
決済の流れ 不動産売買の流れは、「売買契約書の締結」→「決済」→「引き渡し」の順に行われます。
土地をはじめとした不動産は、自分に買う意思がなくても相続によって所有権を得ることがあります。
手元にあっても運用の方法が分からず、土地のみを所有したまま放置してしまう人もいます。その場合は、割高な固定資産税を毎年払い続けることになるので注意が必要です。
今回は、土地のみで所有すると、どのような税金がかかってくるかを解説します。
買主様に適切なアドバイスが出来るよう、固定資産税についての理解を深めていきましょう。
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この記事の監修者: 小林 紀雄 住宅業界のプロフェッショナル 某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。 |
固定資産税とは、毎年1月1日の時点で土地・建物・事業用の償却資産といった固定資産を所有している人に課せられる税金です。
固定資産税評価額を基準に自治体が課税額を決定し、毎年4~6月頃に納税通知書が送付されます。
なお、課税されるのは4月1日から翌3月31日までの分です。
あわせて読みたい:初心者でも分かる固定資産税|基本の計算方法と減税措置をわかりやすく解説
固定資産税は、建物や土地をはじめとする不動産などの固定資産を所有している方に納税義務が発生します。
土地と建物は、計算式は課税標準額×1.4%で同じです。ただし、課税標準額の求め方が異なります。
建物の場合、固定資産税評価額という基準がそのまま課税標準額になります。新築時で請負工事代金の50~60%が固定資産税評価額の目安です。
一方、土地の場合は、路線価という基準を用いて固定資産税評価額を算出します。
土地の固定資産税評価額は、路線価×地積(土地の面積)です。
土地の固定資産税=課税標準×1.4% ⇒(路線価×土地の面積)×1.4%
固定資産税は、一定の条件を満たすと減税の特例を適用することができます。
建物の減税特例は、「床面積120㎡まで、課税標準が固定資産税評価額の1/2になる」というものです。
建物の種類(戸建て、マンション)や長期優良住宅かどうかで減税期間が異なり、短いと3年、最長で7年の減税措置があります。
一方、土地の場合は、1月1日時点でその土地に建物が建っているかどうかがポイントです。
1月1日時点で居住用の建物が建っている土地を住宅用地と呼び、以下のような減税特例の対象になります。
【住宅用地200平方メートルまでの部分】固定資産税評価額×1/6に軽減
【住宅用地200平方メートルを超える部分】固定資産税評価額×1/3に軽減
住宅用地のうち、200㎡までの部分を小規模住宅用地、それより大きい部分を一般住宅用地と呼び、それぞれ固定資産税評価額が1/6、1/3に軽減されます。
以上が「住宅用地の特例」です。
なお、住宅用地が300㎡だったとしても全てが一般住宅用地にはなりません。200㎡までは小規模住宅用地、残りが一般住宅用地になります。
解説した通り、居住用の建物が建っている土地は、住宅用地の特例が適用されて課税標準額が最大で1/6に減額されます。
それが、土地だけを所有していると減税措置がなくなり、本則通りの固定資産税を納税することになります。
「建物を手放すと固定資産税があがる」と言われる理由です。
また、建物を持っていることで減税されるのは固定資産税だけではありません。
相続税においても、建物を持っていれば減税に繋がります。
固定資産税を納めている方には、4~6月ごろに納税通知書が届きます。
課税対象と課税額を確認するには納税通知書に同封されている課税明細書をご確認ください。
課税明細書内の「地積」という項目が土地の面積を表しますが、これが200㎡以下の場合、住宅用地であれば特例により固定資産税が1/6になります。
つまり、その土地が住宅用地かどうかで、納税額が最大6倍にもなるということです。
現在の家主の方が亡くなって土地を相続した場合、土地の評価額に応じて相続税を納税します。
この時、居住用の土地であれば相続税を80%減額することが可能です。
この特例を「小規模宅地等の特例」といいます。
小規模宅地等の特例が適用できる土地は、以下の3種類があります。
一般的な住宅の相続であれば、特定居住用宅地が適用されます。
特定居住用宅地に指定される条件は以下の通りです。
条件に合致する土地であれば、330㎡の部分まで相続税が80%減額されます。
1億円の土地であっても2,000万円で評価できることから、節税効果が高いとされる減税特例の1つです。
更地で相続してしまうと小規模宅地等の特例が使えなくなり、1億円のままの評価で相続税を納めることになります。
住宅用地の特例を受けられるかどうかで、固定資産税が最大で6倍の開きがあると紹介しました。
ここで、実際にどのくらい納税額が変わってくるのかシミュレーションしてみましょう。
【計算例】
土地 | 建物 | |
面積 | 200㎡ | 120㎡ |
固定資産税評価額 | 3,000万円 | 1,000万円 |
土地は住宅用地の特例で1/6に、建物は新築住宅の特例で3年間1/2になるものとします。
合計:140,000円
合計:560,000円
今回の計算では特例を使わない場合、特例ありと比べて税金が【4倍】になりました。
空き家とは、以下のような建築物のことを指します。
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。 |
住宅用地の特例は、「土地の上に居住用の建物がある」ことが条件です。人が住んでいるかは条件に含まれないため、空き家であっても減税の適用があります。
画像引用:NPO法人香川県空家空地管理センター|特定空き家とは?
ただし、「特定空き家」に指定されてしまうと特例の適用は受けられません。
「特定空き家」とは、空き家の中でも以下のような状態のものを指します。
この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。 |
放置されたことで危険な状態の家屋や周囲を不安・不快にさせている空き家が特定空き家に指定されます。
空き家のまま放置していると、いずれは特定空き家の条件を満たしてしまう点に注意が必要です。そのため、こまめに管理・修繕をして、特定空き家にならないようにする必要があります。
それが難しいようであれば、「人に賃貸する・売却する」など人の管理の手が入る状態にする必要があります。
今回は、土地だけで所有しないほうが良い理由を中心に、固定資産税の計算方法を解説しました。
相続で急に所有することになった土地については、割高と知らずに固定資産税を納めている方もいます。お客様の負担を少しでも減らせる提案が出来るよう、固定資産税についての理解を深めましょう。