固定資産税評価額の調べ方|評価額から課税金額や売却相場を知る方法

投稿日 : 2020年04月30日

固定資産税の額を算出するうえで基準となる固定資産税評価額は、固定資産税以外の不動産の所有や購入に関わる税金の計算にも使われています。

固定資産税評価額は、どのような方法で把握することができるのでしょうか。

固定資産税評価額が利用されている税金の種類や税額の計算方法、固定資産税評価額を確認する方法などについて解説していきます。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、固定資産税を算出するうえで基準となる土地や建物の評価額です。

固定資産税評価額は各市町村が個別に決定し、3年ごとに見直されています。固定資産税評価額は固定資産税のほか、以下の税金を算出するうえの基準としても用いられています。

それぞれの税金について、計算方法などを解説していきます。

固定資産税

固定資産税は、毎年、1月1日の土地や建物の所有者に対して、市町村が課税する地方税で、東京23区のみ東京都が徴収しています。固定資産税の計算式は

固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)

です。税率は市町村によって異なりますが、ほとんどの自治体で標準税率の1.4%が用いられています。

また、住居用の土地にかかる固定資産税は、特例によって200m2までの部分は小規模住宅用地として1/6、200m2超える部分は床面積の10倍までは一般住宅用地として1/3に減額されます。新築の建物に対する特例もあります。

<計算例>

土地:固定資産税評価額3,000万円、100m2の住宅用地

3,000万円 × 1.4% × 1/6 = 7万円

建物:固定資産税評価額1,000万円、築20年

1,000万円 × 1.4% = 14万円

都市計画税

都市計画税は、毎年、1月1日の都市計画法による市街化区域内にある土地と建物の所有者に対して、課税される地方税です。都市計画税の計算式は

固定資産税評価額 × 0.3%(制限税率)

です。制限税率は上限税率のことで、実際の税率は自治体によって異なり、0.3%よりも低い税率の自治体もあります。

また、住宅用の土地は特例により、200m2までの部分は小規模住宅用地として1/3、200m2超える部分は床面積の10倍までは一般住宅用地として2/3に減額されます。都市計画税は新築の建物に対する特例はありません。

<計算例>

土地:固定資産税評価額3,000万円、100m2の住宅用地

3,000万円 × 0.3% × 1/3 = 3万円

建物:固定資産税評価額1,000万円、築20年

1,000万円 × 0.3% = 3万円

登録免許税

登録免許税とは、売買や相続などによって土地や建物の所有権を取得した際に行う所有権移転登記など、登記の際に支払う国税です。

● 相続登記
相続登記(所有権移転登記)の登録免許税の計算式は、「固定資産税評価額 × 0.4%」です。

<計算例>
土地:固定資産税評価額3,000万円、建物:固定資産税評価額1,000万円

(3,000万円 + 1,000万円) × 0.4% = 16万円

● 所有権移転登記(売買・贈与)
売買や贈与による所有権移転登記の計算式は「固定資産税評価額 × 2%」です。売買による土地の所有権移転登記は2021年3月31日まで、軽減措置により税率は1.5%です。また、住宅用家屋は後述する軽減措置があります。

<計算例>
土地:固定資産税評価額3,000万円、売買による場合

3,000万円 × 1.5% = 45万円

● 住宅用家屋所有権保存登記
新築したときに行う建物の所有権保存登記のうち、一定の要件を満たした住居用家屋は2022年3月31日までは軽減措置があり、計算式は「固定資産税評価額 × 0.15%」になります。

<計算例>
建物:固定資産税評価額1,000万円の住宅用家屋

1,000万円 × 0.15% = 1万5,000円

● 住宅用家屋所有権移転登記
住宅用家屋の売買や競売による所有権移転登記は、2022年3月31日までは軽減措置により、計算式は「固定資産税評価額 × 0.3%」です。

<計算例>
建物:固定資産税評価額1,000万円の住宅用家屋

1,000万円 × 0.3% = 3万円

不動産取得税

不動産取得税は土地や建物を購入したときにかかる地方税で、都道府県に納付します。計算式は「固定資産税評価額 × 4%」ですが、新築住宅や中古住宅、およびそれぞれの敷地に特例による軽減措置が設けられています。

一定の要件を満たす新築住宅は「(固定資産税評価額 − 1,200万円) × 3%」、一定の要件を満たす中古住宅は「(固定資産税評価額 − 新築日によって定められた控除額) × 3%」です。

また、一定の要件を満たす新築住宅や中古住宅の敷地は、「(固定資産税評価額 × 1/2  × 3%) − 控除額(aとbの多い方)」に軽減され、aは4万5,000円、bは「(土地1m2当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200m2を限度)) × 3%」です。

一部の特例は2021年3月までとなっています。

<計算例>

土地:固定資産税評価額3,000万円、敷地面積100m2

建物:固定資産税評価額1,000万円、課税床面積100m2、新築

土地:

控除額b:(3,000万円/100 × 1/2) × (100 × 2) × 3% = 90万円

(控除額a) 4万5,000円  <  (控除額b)90万円

(3,000万円 × 1/2 × 3%) − 90万円 ≒ 0円

建物:(1,000万円 − 1,200万円) × 3% ≒ 0円

固定資産税評価額の調べ方

様々な税金の計算のもととなる固定資産税評価額は、どのような方法で確認することができるのでしょうか。固定資産税評価額を知りたいときには、次に挙げる調べ方があります。

納税通知書の確認

土地や建物の所有者には、毎年、固定資産税納税通知書とともに課税明細書が送付されてきます。課税明細書の「価格」の欄に記載されているのが、固定資産税評価額です。課税標準額は固定資産税の税額の算出にあたって、特例などによる調整がされた金額になります。

固定資産税評価証明書の取得

固定資産税評価証明書とは、固定資産課税台帳に登録された土地や建物の固定資産評価額を証明する書類です。固定資産税評価証明書は市区町村の役所で取得することができます。固定資産税評価証明書が請求できるのは、本人と同居の家族、相続人、委任状を持つ代理人、民事訴訟などの申立人、法人に限られます。

固定資産課税台帳の閲覧

固定資産課税台帳とは、土地課税台帳と家屋課税台帳、土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳の総称です。

固定資産課税台帳には、土地や建物などの固定資産の所在地や所有者、固定資産評価額などが記載されています。

固定資産課税台帳は納税義務者や同居の家族、借地人や借家人、1月1日の基準日の翌日以降に所有した人、管理人や破産管財人などや、委任状を持つ代理人に限り、市区町村の役所で閲覧することが可能です。

固定資産税評価額の調べ方などについては、『固定資産税評価額の調べ方と関連する税金について理解しよう』でも紹介しています。

購入する住宅の固定資産税評価額の調べ方

前述した固定資産税評価額を調べる方法は、主にすでに土地や建物を所有している人向けのものです。不動産の購入前に固定資産税評価額がわかれば、購入にあたってかかる登録免許税や不動産取得税、購入後に発生する固定資産税が把握できます。

固定資産税評価額を調べる方法は下記3つです。

(1)課税明細書
課税明細書は、不動産を1月1日の時点で所有している人が受け取ります。毎年4月頃に各市町村から納税通知書とともにに送付されます。

(2)固定資産税評価証明書を確認
東京23区では都税事務所で入手が可能で、市町村の場合は不動産を管轄する役所で入手が可能です。

(3)固定資産課税台帳を確認
固定資産税台帳は、各市町村が課税対象となる固定資産税の不動産情報を記したものです。その台帳でも確認が可能です。

固定資産税評価額はどう決まるのか

固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づいて、実際に自治体の担当者が一軒ずつ訪問して調査し、市町村長が決定しています。土地と、住宅や店舗、事務所、工場などの建物などの家屋に分けて、評価方法を解説していきます。

<土地>

土地は、当事者間の特殊な事情を排除した、正常売買価格を基準に評価が行われています。土地の評価では土地は田や畑、山林、宅地といった地目や、土地の面積である地積の認定を行うほか、地目ごとに評価方法が設けられています。

宅地の評価方法には、市街地宅地評価法(路線価方式)、そしてその他の宅地評価法(標準地批准方式)があります。

市街地宅地評価法は、道路に面した標準的な宅地の1m2あたりの評価額である路線価を基準とし、土地の奥行や間口、形状によって補正を行う方法です。

その他の宅地評価法では、周辺状況が類似している状況類似地区ごとに標準的な宅地を選定して補正を行います。

<家屋>

建物は、評価の時点で新築した場合にかかる建築費、再建築費による評価が行われます。建物の評価方法は、部分別の再建築費評点数をもとに建物の再建築費評点数を算出し、評点一点あたりの価額を乗じて、損耗などによる補正を行うのがおおまかな流れです。

木造家屋の場合の評価対象は以下の11の区分です。

  • 屋根
  • 基礎
  • 外壁
  • 柱・壁体
  • 内壁
  • 天井
  • 建具
  • 建築設備
  • 仮設工事
  • その他工事

固定資産縦覧帳簿で評価額を比較することも可能

固定資産税縦覧制度は、土地や建物を所有している納税者が各市町村で、同一市町村内にある土地や家屋の固定資産税評価額を確認できる制度です。

縦覧できる期間は毎年4月1日から4月20日、あるいは当該年度の固定資産税の最初の納期限までとなっています。

他の納税者の土地や家屋の評価額と比較して高いと感じた場合には、納税通知書の交付を受けた日の60日後まで、不服審査を申し出ることができることが可能です。

固定資産税評価額から売却相場を知る方法

土地の固定資産評価額は実勢価格の7割程度とされています。そのため、固定資産評価額をもとに売却相場を求めるには、「固定資産税評価額÷0.7」という計算式で算出できます。

ただし、実際のところは固定資産評価額を大幅に上回る価格で売買されていることもあれば、固定資産評価額を下回っているケースも見られるため、あくまでも目安として考えましょう。

<計算例>

固定資産評価額3,000万円の土地の場合

3,000万円 ÷ 0.7 = 約4,285万円

課税標準額とは

課税標準額とは税金を計算する基礎となる額をいい、固定資産税課税標準額は固定資産税を算出する基礎となる額のことです。

建物の固定資産税評価額と固定資産税課税標準額は同じ額ですが、土地の場合は固定資産税評価額と固定資産税課税標準額は異なります。

土地は固定資産税評価額から2つの調整を行って、固定資産税課税標準額を出していることが理由です。

1つ目は住宅用地に係る課税標準額の特例で、固定資産税評価額を小規模住宅用地は1/6、一般住宅用地は1/3に軽減しています。

また、固定資産税評価額の3年ごとの評価替えで急激に納税者の負担が大きくなるのを防ぐため、わずかな上昇となるように固定資産税評価額に負担調整率を乗じています。

土地の価格の種類

土地の価格は固定資産税評価額の他にも、次に挙げる種類があります。

● 時価(実勢価格)

時価や実勢価格は実際に売主と買主が売買取引をした価格です。

● 公示価格

公示価格は国土交通省が算出しているもので、地価公示価格が正式名称です。毎年1月1月が評価基準日で3月下旬に公示されています。全国の都市計画区域内の標準地を1地点について2名以上の不動産鑑定士が調査を行い、取引事情や収益性も踏まえて評価をしています。

● 基準地価

基準地価は各都道府県が調査を行って公表しているもので、毎年7月1日が評価基準日で9月頃に発表されています。都市計画区域内だけではなく、都市計画区域外も含んで調査を行っているのが特徴で、基準地の1地点につき1名以上の不動産鑑定士によって評価が実施されています。

公示地価と基準地価の違いに関しては、『公示価格を調べて土地の標準価格を知る|公示地価と基準地価の違いは何か』でも取り上げています。

● 相続税評価額(路線価)

相続税評価額の路線価は国税庁によるもので、相続税や贈与税、地価税の算出に用いられています。毎年1月1日が評価時点とされ、7月頃に発表されます。道路(路線)に面した標準地の価格を評価するもので、公示価格や売買の実例のほか、不動産鑑定士の評価をもとに決定されます。相続税評価額は時価の8割程度です。

相続税評価額(路線価)に関しては、『路線価を用いて不動産を評価する|調べ方・計算方法・利用方法など』でも取り上げています。

まとめ

固定資産税評価額がわかると、土地や建物の所有に関わる固定資産税や都市計画税のほか、不動産を購入したときなどに発生する登録免許税や不動産取得税も把握することができます。

また、固定資産税評価額をもとに売却相場の確認も可能です。そのため、固定資産税評価額は個人でも調べることが出来るため、不動産購入を検討しているお客様は事前に知っているケースもあります。