「マンション建替え円滑化法」を解説|特徴と事業の流れ・改正のポイント

投稿日 : 2019年11月29日/更新日 : 2022年12月21日

近年、巨大地震への懸念から、老朽化したマンションや耐震性に問題のあるマンションの建替えが求められています。

しかし、マンションの建替えは非常に手間のかかる大事業です。

マンションの所有者が多人数のため合意形成の段階で難航しやすく、建替え工事から再入居までの権利移転も煩雑で、なかなか事業が進みませんでした。

そこで創設されたのが、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」です。

今回は、この「マンション建替え円滑化法」の概要と建替え事業の流れ、2014年の改正点を解説します。

 

「マンション建替え円滑化法」の特徴を解説

「マンション建替え組合」が法人として事業を進める

マンション建替え円滑化法」による建替え事業では、マンションの区分所有者のうち建替え賛成者で集まり、法人格を持つ「マンション建替え組合」を設立します。

この「建替え組合」は、建替え反対者の所有権を買取ることができます。逆に、反対者がマンション建替え組合に対して、買取りを請求することも可能です。

また、「マンション建替え組合」は法人として、建替え工事の契約締結や融資の借入れなども行うことができます。

 

工事中も区分所有権を移転しなくていい

「マンション建替え円滑化法」を適用せずに建替え事業を行う場合、工事期間中の区分所有権は、一旦所有者から開発業者へと渡ります。

再入居の際に区分所有権は戻りますが、登記手続きが煩雑になりますし、一度権利を手放すことに抵抗を感じる所有者も少なくありません。

一方、「マンション建替え円滑化法」においては、法人である「マンション建替え組合」が組合員(区分所有者)の区分所有権を一括で管理し、登記手続きを行うことが可能です。

 

円滑化法によるマンション建替えの流れを解説

「マンション建替え円滑化法」による建替え事業は、以下の流れで行います。

  1. 「建替え決議」にて可決に必要な割合の賛成を得る。
  2. 建替え賛成者の3/4以上の合意を得て、「マンション建替え組合」設立の申請をする(事業計画などの提出)。
  3. 都道府県知事の認可を得て、法人格を持つ「マンション建替え組合」を設立する。
  4. 建替え反対者の区分所有権を、組合で買取る。
  5. 建替えに必要な登記を「マンション建替え組合」が一括で行う。
  6. 建替え工事を行う。
  7. 組合によって新しい建物の登記をする。
  8. 「マンション建て替え組合」を解散する。

 

2014年「マンション建替え円滑化法」の改正点を解説

マンション建替え事業のより円滑な運用を目的として、2014年に円滑化法の一部が改正されました。

 

4/5以上の賛成で敷地売却も可能に

資金面などの理由から建替え事業が困難な場合には、敷地売却という選択肢も選べます。

これまでマンションの解体・敷地売却には、区分所有者全員の合意が必要でした。

しかし、それでは建替え事業が円滑に進まないため、区分所有者のうち4/5以上が賛成すれば可能とする法改正が行われたのです。

この場合も建替え事業と同様に「マンション敷地売却組合」を設立し、合意形成や売却手続き・売却利益の分配などを行います。

 

建替え後の容積率を緩和

建替え資金の調達方法として、建物の容積率を増やして新たに設けた住戸(保留床)を売却する方法が一般的です。しかし、容積率に余裕がない場合は、新たに保留床を確保できず、資金調達が難航します。

そこで、耐震性不足で建替えが求められるマンションに限り、一定の条件を満たせば容積率が緩和されるよう改正されました。

関連記事:「容積率」とは何かわかりやすく解説|調べ方・緩和特例・緩和要件なども紹介

 

ニーズの変化や法改正にアンテナを張る

マンションの建替え事業は、耐震性(安全性)の確保だけでなく、不動産市場の活性化にも寄与するとして、近年ますます期待されています。

不動産市場は流動的で、日々ニーズが変化しています。

また、ニーズの変化に合わせて、法整備もアップデートされていきます。

これからどんな事業やサービスが求められるか、不動産業に関する法改正はないか、常にアンテナを張っておきましょう。

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