隅切り(すみきり)とは|角地を選ぶ際に押さえておきたいルールなどをわかりやすく解説

投稿日 : 2020年02月10日/更新日 : 2023年04月10日

一般的に角地の土地は日当たりも良く条件がいいとされています。

しかし、住宅の購入を検討するときは、「隅切り」があることも忘れてはいけません。「隅切り」にはどのような規定があり、何に注意するべきなのでしょうか。

今回は隅切りの特徴、角敷地における建築制限、注意点について説明していきます。

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隅切りとは

隅切り(すみ切り)とは、角地である土地の角を切り取って道路にすることをいいます。隅切り(すみきり)は、すみ切り、角きりなどとも書かれます。

画像引用:大田区ホームページ

 

上の図の角が切り取られた部分を「隅切り」と言います。

隅切りには、以下のメリットがあります。

  • 見通しの確保ができる。
  • 大きく膨らむことなく曲がることができる。
  • 進行方向の視認性があがり、対向車などの障害物がみえやすくなる。
  • 角地であるため一面しかない土地と比べると開放感があり日当たりが良い。
  • 角地の場合建ぺい率が+10%になる角地緩和という特例を受けられる場合がある。

隅切りは都道府県などの公道だけでなく、開発道路や位置指定道路にみられる私道でも必要とされています。そのため、道路を新設する場合は既存の道路への接続部に隅切りを設ける必要があります。

 

角敷地における建築制限

各自治体の条例または指導によって実施され、そのような制限を「角敷地の建築制限」といいます。門や塀など、交通の妨げになり得る工作物の築造も禁止されています。ただし、4.5m以上の空間に限り、建物を突き出しても良いというような例外も地域によってはあります。

隅切りは大きくわけて以下の2つに分かれます。

  • 位置指定道路(建築基準法による制限)
  • 各自治体の条例

2つは似ていますが、その根拠となる法律が異なります。

 

角敷地の定義

角地とは、交差する2つの道路に接する、角の区画の土地のことです。

角敷地とは、特定行政庁(原則として25万人以上の市の長)が指定する形態の土地で、道路交差点や道路と公園、道路と河川等に、敷地の2辺以上が一定以上の割合で接している敷地を指します。特定行政庁が角敷地として指定する基準に適合した場合には、すべての用途地で建ぺい率が10%上乗せになるため、1つの道路に接する敷地よりも広い建物が建てられます。

 

各自治体の隅切りの対応について

多くの自治体

隅切りが必要な場合および形状は、各自治体の条例または指導によって定められています。条例に長さの規定がなかったり、罰則規定もないところもあったり、隅切りの規定は各自治体によって対応が異なります。

 

多くの自治体は以下のように定めています。

一定の道路幅員(6mが多いが合計10mや12mもある)未満の道路が交わる角(120度未満が多い)に接する敷地(角地)では、空地(一辺を2mとする二等辺三角形の部分が多い)にしなければならない。

 

また、各自治体で角地における「建ぺい率の緩和規定(10%増)」については、隅切りを設けることが条件となっているところも多くあります。

 

東京都の場合

東京都の場合を例にみていきます。

東京都は、「幅員各6m未満の道路が交わる角敷地(120度未満)は、底辺2mの二等辺三角形の部分を道路上に整備しなければならない。また、この部分には建築物を突出させたり工作物は築造できない。道路状の面からの高さが4.5mを超える部分はこの限りではない」

(角敷地の建築制限(隅切)[条文 東京都安全条例第二条]より引用)

 

出典:江戸川区ホームページ

 

自治体ごとの「建築基準条例」などによって内容が異なるため一般向けの建築関連書籍などでは「隅切り」について触れていないことも多いです。角地を購入するときのチェックポイントとして見落としやすい制限なので注意しましょう。役所に聞くときは、「建築指導課」に問い合わせてみましょう。

 

公図と現況が異なる場合

不動産を調査していると、公図と現況が異なるという場合がよくあります。

例えば、現状は隅切りされているのに、公図上は長方形で隅切りがされていないことになっているなどです。このような場合、まず現状と公図が異なっているということを正確に把握し、各自治体に確認するようにしましょう。

自治体によっては、敷地後退部分や隅切り部分の買い取り制度や寄付制度、助成金が用意されていることがあります。

また、固定資産税などの課税免除については、なんらかの規定を設けてる自治体が多いため確認しましょう。

 

隅切り部分の整備や処分について

隅切り部分の整備や処分についての規定も、各自治体によって扱いが異なるので確認が必要です。道路上に整備することを義務付けている自治体もあれば、空地にすることだけしか求めていない自治体も少なくありません。

また、接する道路は公道の場合の買い取り制度や寄付制度、舗装整備の際の助成制度、補助制度なども各自治体によって対応が異なります。

 

隅切り部分の管理

隅切りした土地は、隅切りの基準が各自治体で異なるため、管理する人もそれぞれ異なります。ですが基本は、隅切りをしたとしても所有権は敷地の所有者となっている場合が多いです。

土地売買での隅切り部分の取り扱い

自治体の規定にそった隅切りをまだしていない土地の場合は、その「隅切り予定地」部分も一体の土地として売買対象に含まれることがほとんどです。このような土地を売買する際には不動産重要事項説明書で隅切り部分について説明を行う必要があります。

すでに隅切りを行った土地の売買については、分筆登記をしているかが焦点になります。隅切りをして隅切り部分がすでに自治体の名義となっていれば、それは売買対象には含まれません。隅切りせず宅地と一体になっているとき、あるいは隅切りしたものの宅地の名義が同一名義のままになっているときは隅切り部分も売買対象になるため注意が必要です。

さらに、道路が私道の場合、隅切り予定部分に関しては私道の一部として扱われることもあるので注意が必要です。道路が私道の場合は、売買の前に隅切り部分の扱いについて確認することでスムーズに話を進めやすくなります。

 

 

隅切り部分の建築基準法の取り扱い

 

隅切り部分が分筆されて道路の管理者の所有になっている場合は別ですが、現況隅切りでも所有が一体となっている場合は建築の確認においては敷地面積に隅切り部分を含めることができます。

隅切り部分は実際に利用していなくても、建ぺい率、容積率の計算では隅切り部分面積を含めて計算することができるということです。そうすることで、その分だけ大きな建物を建築することができます。

 

注意点

もし隅切り部分を自治体などに買収してもらった場合、敷地面積に含まれないため建ぺい率・容積率の上限まで家を建ててしまうと、既存不適格建物になってしまう可能性があります。

その結果、適格建物になるように手を入れる必要がでてくるため余計な費用がかかってしまうため注意が必要です。

 

まとめ:隅切りとは角地である土地の角を切り取って道路にすること

角地には日当たりが良い、開放感があるなどメリットがあり、住宅を購入したい方から人気があります。

しかし、その土地でどの程度隅切りしなければならないのか、管理や整備についてか各自治体で規定が異なるため注意が必要です。

隅切りの必要がある場合は、事前に規定をしっかり確認しそれを考慮しながら計画をたてていきましょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。