住宅の住み替えで使えるダブルローンとは|2つの住宅ローンを組むメリット・デメリット

投稿日 : 2022年07月28日/更新日 : 2023年06月05日

旧居のローンと合わせて新しいローンを組むダブルローン。すでに住居があるお客様が新居を購入する場合、ダブルローンという方法があることを知らないケースも少なくありません。不動産営業としてはダブルローンのメリット・デメリットを明確にお客様にお伝えしたいものです。

今回は初めてダブルローンについて学ぶ不動産営業の方に向けて、ダブルローンの特徴やメリット・デメリット、注意点を解説します。

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住宅ローンのダブルローンとは

ダブルローン

ダブルローンは文字通り、2つのローンを同時に利用することです。一般的に、住宅ローンが残っている自宅の買い替えに利用されます。

すでに返済中の旧居のローンに加えて新居のローンを組んで返済をしていき、旧居を売却できたらその代金で旧居のローンを完済します。

住宅ローンのダブルローンを組む条件

条件

ダブルローンは今の住宅のローンの完済を待たずに新しいローンを組めるので便利ですが、単に住宅ローンを組むのと比較して注意するべきポイントもあります。

今の住宅ローンは完済が必要

売却代金で旧居の残債を返済できなければ、ダブルローンを利用できません。売却代金だけで全額返済できない場合は預貯金などから補充して完済もできますが、いずれかの方法で完済が必要なことは変わりません。

2つのローンを組む前提で厳しい審査がある

ダブルローンはローン返済を二重で行うことになるので、両方の支払いが可能かという観点で年収等の審査が行われます。

2回目の住宅ローンは1回目よりも年齢が上がっているため返済期間が短く、毎月の返済額も高くなります。その条件でも完済できることが認められないと審査通過は難しいでしょう。

住宅ローンのダブルローンのメリット

メリット

旧居を売却してから新居を買う住み替えと比較して、ダブルローンには多くのメリットがあります。

■住宅ローンのダブルローンのメリット

  • 仮住まい費用が削減できる
  • 任意のタイミングで購入・売却ができる
  • 空き家の状態で売却できる

仮住まい費用が削減できる

先に自宅を売却する方法の場合、すぐに買主が現れることもあります。買い手が決まると期限までには家を出るために仮住まいを用意する必要があります。

賃貸アパートに一時的に住むにしても、敷金や礼金の支払いが必要です。家賃や駐車場代もかかります。

自宅から仮住まい、仮住まいから新居の2回にわたる引っ越し費用もかかるでしょう。

ダブルローンは自宅を処分するより前に新居が決まっているため、仮住まいを用意する手間もコストも削減できます。

任意のタイミングで購入・売却ができる

通常の住み替えの場合、現在所有する自宅を売却して得た売却益を新居の購入費用に充てることになります。

しかし、現在の自宅をスムーズに解約できるとは限りません。

売却益を新居の購入費用にする場合、売却できるまで新居を購入できません。良い物件があっても資金不足で手続きできず、先に買い手がついてしまう可能性があります。

ダブルローンなら売却益を元手にしないので、売却完了を待たずに気に入った物件が見つかればすぐに購入が可能です。

空き家の状態で売却できる

売却資金をあてにして新居を探す場合、購入希望者をつのることになります。ただ、居住中に売却活動を行うことになる場合が多いでしょう。

日常生活を送りながら、購入希望者の内覧とそのための準備が必要です。日常生活そのものが大変になるだけでなく、実生活をしている以上は内覧できる範囲にも限界があります。購入希望者が遠のく要因になりかねません。

ダブルローンであれば先に新居が手に入るので、空き家にした状態で内覧を進められます。

住宅ローンのダブルローンのデメリット

デメリット

売却資金を手元に用意しなくても新居を購入できるなどのメリットがあるダブルローンですが、通常のローンにはないデメリットもあります。

■住宅ローンのダブルローンのデメリット

  • ダブルローンの期間は返済額が高くなる
  • 住んでいない物件の住宅ローン控除は適用されない

ダブルローンの期間は返済額が高くなる

ダブルローンは旧居が売却されるまで、2本の住宅ローンの返済が続くことになります。毎月の返済額が一気に増え、毎月の収入で賄えない場合は貯金を取り崩さないといけません。

旧居の売却が進まないと家計への負担が大きくなる点に注意が必要です。あまりの家計負担に耐えかねて、割引して自宅を早く売却してしまうことも考えられます。

住んでいない物件の住宅ローン控除は適用されない

住宅ローンを利用して住宅を購入すると、年末のローン残高に応じて所得税が控除される住宅ローン控除が受けられます。

ただし、住宅ローン控除は現在住んでいる住宅のローンに対するものなので、旧居のローンには適用されません。

旧居で住宅ローン控除の適用期間だったとしても、新居に引越しした時点で適用されなくなってしまいます。

住宅ローン控除はさまざまなルールがあるため、知識を都度ブラッシュアップしていきましょう。たとえばふるさと納税との併用について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

あわせて読みたい:住宅ローン控除とふるさと納税の併用|手続き方法と注意点を解説

住宅ローンのダブルローンで住み替えする際のポイント

ポイント・ヒント

最後に、実際にダブルローンを組む際に知っておきたいポイント・注意点を紹介します。

■住宅ローンのダブルローンで住み替えする際のポイント

  • 不動産価格が高いときを狙う
  • 金利が低い時を狙う
  • ダブルローンがダメなら「住み替えローン」も検討する

不動産価格が高いときを狙う

不動産の価値はいつでも一緒ではなく、景気の良い時期や不動産の需要が高い時期など、不動産を高く売りやすいタイミングがあります。不動産営業なら当たり前のことでも、この点について知らないお客様も少なくありません。

高く売却できればダブルローンを組む金額を減らせるため、制度利用が容易になります。相談を受けた際は、できるだけ高く売れる条件やタイミングまで解説できるようにしましょう。

金利が低い時を狙う

高額な融資を受ける住宅ローンでは、金利の違いで返済額が大きく変わります。ダブルローンは2つのローンを返していくので、金利の影響は大きいといえます。

住宅ローンの金利は常に変動しているので、できるだけ金利が低いタイミングでローンを組むことが重要です。

住宅ローンで最適な金利を出してくれる金融機関探しについて、以下の記事に記載があるので参考にしてみて下さい。

あわせて読みたい:【動画】住宅ローンで最適な金利を出してくれる金融機関の選び方とは?

ダブルローンがダメなら「住み替えローン」も検討する

ローンを二重に支払うダブルローンの負担が重すぎるなら、「住み替えローン」も検討しましょう。

住み替えローンとは売却代金では返しきれないローンの残債分もまとめて借りられるローンのことです。売るタイミングと買うタイミングが同じになるため、二重ローンよりも負担を少なくできる可能性があります。

旧居のローン完済と新居の購入費用に必要な資金をまとめて借りられ、1つのローンで自己資金なしの買い替えが可能です。

ただ、旧居のローン返済を先送りにするため借入額が大きくなり、その分だけ審査が厳しくなります。また、あくまで残債を補うローンなので、旧居の売却が決まらないと融資限度額が決まらないというデメリットもあります。

まとめ

ダブルローンは旧居の売却前に新居を購入できるため、好きなタイミングで好きな住居を購入しやすいメリットがあります。ただし、「ダブルローン期間中の返済負担が大きい」「旧居の住宅ローン控除がなくなる」といったデメリットもあります。

お客様からローンの相談を受けた際、ダブルローンのメリット・デメリットを説明できるように知識として身に着けておきましょう。

住宅ローンに関連する知識を深めるなら、以下の記事もあわせて読み進めてみて下さい。

あわせて読みたい:住宅ローンがあると離婚できない?|離婚の際の住宅ローンの問題点と解決策について説明

あわせて読みたい:住宅ローンにおけるオーバーローン|代替え案のフラット35も解説【営業マン必見】

住宅ローンの金利は今後どうなる?金利が変動するポイントも解説

住宅ローン金利の相場はいくら?2022年の最新動向も解説

この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。