宅建の合格点はいくつ?過去の推移と今後の予想
これから宅地建物取引士(宅建士)の資格取得を狙う方にとっては、宅建の合格点・合格率は最も気になる情報ではないでしょうか?
宅建は国家資格の1つであり、不動産業界で働くのに有利に働きます。合格率は決して高くはありません。資格を取得するためには、具体的な合格ラインを知っておく必要があります。
そこで今回は宅建の合格点・合格率の推移について解説します。
宅建の合格点・合格ラインはどのくらい?
宅建試験の合格点・合格ラインはどのように推移するのでしょうか?
まずは宅建試験の合格点の決まり方について解説します。
宅建の合格点は毎年変動する
ひとくちに資格試験といっても、採点の方式はそれぞれ異なります。大きく分けると以下の2つです。
- 合格点が変わらない「絶対評価方式」
- 合格点数が受験回ごとに変化する「相対評価方式」
宅建の試験は後者の「相対評価方式」です。毎年の受験者数に応じて合格点数が変化すると、合格点が毎回変わります。
ほかにも「司法書士」も相対評価方式です。基準点を超えた方の中から相対評価で合格点が算出されます。
一方、絶対評価方式を採用する国家資格もあります。1級ファイナンシャル・プランニング技能士は学科試験と実技試験でそれぞれ6割の正解率を取れば合格できます。行政書士も、300点中180点を取れば合格の絶対評価方式です。
宅建は相対評価ですから、仮に7割の得点率でも合格点を上回らない限りは合格できません。絶対評価の国家資格と比較すると、周囲の出来によって合格が左右される難しさがあります。
合格率はおおむね15~17%
近年の宅建の合格率は、おおむね15~17%です。不動産事業者で5人に1人の割合で設置が義務付けられている宅建士ですが、現在は弁護士や司法書士と同じ「士業」の仲間入りを果たしています。
高度な専門性が求められる資格として、難易度は徐々に上がっている傾向が見て取れます。
宅建の合格点・合格率はどのように推移している?
過去の宅建の受験者数と合格点・合格率の推移は以下のとおりです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点(一般受験者) | 合格点(登録講習修了者) |
---|---|---|---|---|---|
令和3年度
(10月試験) |
209,749人 | 37,579人 | 17.9% | 50問中34点 | 45問中29点 |
令和2年度
(12月試験) |
35,261人 | 4,610人 | 13.1% | 50問中36点 | 45問中31点 |
令和2年度
(10月試験) |
168,989人 | 29,728人 | 17.6% | 50問中38点 | 45問中33点 |
令和元年度 | 220,797人 | 37,481人 | 17.0% | 50問中35点 | 45問中30点 |
平成30年度 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% | 50問中37点 | 45問中32点 |
平成29年度 | 209,354人 | 32,644人 | 15.6% | 50問中35点 | 45問中30点 |
平成28年度 | 198,463人 | 30,589人 | 15.4% | 50問中35点 | 45問中30点 |
平成27年度 | 194,926人 | 30,028人 | 15.4% | 50問中31点 | 45問中26点 |
平成26年度 | 192,029人 | 33,670人 | 17.5% | 50問中32点 | 45問中27点 |
平成25年度 | 186,304人 | 28,470人 | 15.3% | 50問中33点 | 45問中28点 |
平成24年度 | 191,169人 | 32,000人 | 16.7% | 50問中33点 | 45問中28点 |
平成23年度 | 188,572人 | 30,391人 | 16.1% | 50問中36点 | 45問中31点 |
出典:一般財団法人不動産適正取引推進機構|試験実施状況(過去10年間)
宅建は受験資格がないので、受験者数が非常に多いのが特徴です。受験者数の多さが合格率を引き下げているともいえます。
どの試験にも言えますが、記念受験組を外して本気で勉強している方だけを集計すれば合格率はもっと高くなります。
合格率はあまり気にしなくても良いでしょう。
問題は、合格点が受験回ごとに乱高下していることです。一般受験なら35~38点、登録講習の修了者なら30~33点の合格点をクリアすることを意識して勉強を進めていきましょう。
合格点は登録講習の修了者と一般受験者で異なる
宅建は難易度の高い試験ですが、登録講習の修了者は試験の一部(5問)が免除されます。
登録講習とは宅地建物取引業に従事している方を対象にした講習です。宅地建物取引業に関する実用的な知識及び紛争の防止に関して必要な知識の習得を目的にしています。
5点分の差は非常に大きく、合格率も変わります。2020年度の合格率で見ると、登録講習修了者の方が一般受験者より3.4%高いというデータもあります。
宅建試験が絶対評価から競争試験になった理由
昭和以前の宅建は合格点が明確に決まっている絶対評価の試験でした。あくまでも自分との闘いですから、合格点に達すれば全員が合格します。
ところが平成に入ってから合格率をある程度一定にすることが望まれるようになり、合格点が変動するようになりました。
単に合格点をクリアすれば終わりではなく、競争を勝ち抜かないと合格できないことで難易度が上がったのです。
宅建資格を簡単に取得できてしまうと顧客との取引でさまざまなトラブルが発生します。不動産業界の質向上のために宅建士のレベルアップが図られたことで、現在では対策が必須の資格の1つに数えられています。
2022年宅建試験の合格率は低くなる?
これから受験を志す方が気になるのは、過去よりも今後の合格率ではないでしょうか。
もちろん、未来のことは誰にも分かりません。ただ、士業化したこともあって「簡単になる」ということは考えにくいです。
受験者のレベルが上がると難易度は高くなる
相対評価の難しいところは、受験者のレベルが高まるほど合格点が高い位置に設定される点です。合格率を一定に保つためには合格点を操作するしかありません。
平成24年から27年の合格点は50点中31~33点でしたが、平成28年以降の合格率は35点を下回っていません。それだけ受験生のレベルが上がっている可能性があります。
宅建に合格するには受験者のレベルについていき、かつ上位15%~17%以内に入る必要があります。
再受験組は民法改正に注意
宅建の科目の中でも難易度が高い権利関係(民法など)は、2020年4月1日から改正民法が施行されたことで出題内容が変わっています。2020年4月1日以降の受験者から、改正民法に関する出題が行われています。
2019年度まで合格しておらず 2020年度以降に再受験する場合は改正点に注意が必要です。
過去問題に似せる形で改正点に関する内容が出題される可能性もあります。これまでの知識と混同して間違った答えを出してしまう方もいるかもしれません。
過去に出版されたテキストを使いまわすと不合格のもとです。最新版のテキストを買い直しましょう。改正民法について集中的に解説しているテキストの購入もおすすめします。
まとめ
今回は宅建士の合格点・合格率の推移について解説しました。
宅建試験の合格点は33~35点あたりで推移しているものの、時には37点、38点など高めの合格点が設定されることもあります。宅建の試験は相対評価ですから、合格率が一定である以上は合格点が毎回変わります。
最新の法改正に対応したテキストをやりこみ、上位15~17%に食い込めるように学習を進めましょう。
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