区分建物の決まりを確認|規約・集会・管理・復旧及び建替えの条件とは

投稿日 : 2020年04月26日

さまざまな立場の人が1棟の建物で暮らすマンションでは、住民トラブルを避けるためにもあらかじめルールを制定しておかなければいけません。

また、分譲マンションなどの区分建物では、所有者の資産価値を維持するために適切な管理をする必要があり、それには管理業務を行う人または法人などの管理者が必要になります。

区分建物ではどのような規約を設けているのでしょうか。また、管理すべき区分建物が火災等により滅失した場合にはどうなるのでしょうか。

今回は区分建物のさまざまな規約について解説します。

kobayashi

この記事の監修者:
平山 和歌奈
宅建スペシャリスト

不動産会社や金融機関にて、ローンの審査業務、金消・実行業務などに従事。その過程で、キャリアアップのため自主的に宅建の取得を決意。試験の6ヶ月前には出勤前と退勤後に毎日カフェで勉強、3ヶ月前からはさらに休日も朝から閉館まで図書館にこもって勉強。当日は37℃の熱が出てしまったが、見事1発で合格した。現在はiYell株式会社の社長室に所属。

 

宅建受験者はここをチェック!

「区分建物の規約等の決まり」の試験科目

権利関係

「区分建物の規約等の決まり」が含まれる試験分野

建物区分所有法

「区分建物の規約等の決まり」の重要度

★ ★ ★ ★ ★ 多くの事柄を覚える必要があります

「区分建物の規約等の決まり」過去10年の出題率

100%

 

2020年宅建試験のヤマ張り予想

建物区分所有法に関する分野では毎年さまざまな事例が出題されており、本記事でご説明する管理組合・集会・規約のうち、どれかは毎年必ず出題されます。

管理組合・集会・規約の中では集会に関する問題が最頻出ですが、他の項目もおろそかにはできません。

本記事の内容は2020年度の宅建試験でも確実に出題されると考え、確実な知識を身に付けましょう。

 

「区分建物の規約等の決まり」の解説

 

区分建物の所有者および住人同士のトラブルを回避するために、さまざまな規定が設けられています。

それぞれの決まり事を確認しましょう。

 

規約

建物の敷地・共用部分・専有部分の利用や管理について所有者同士で定めたルールを規約と言います。

規約の設定や変更、廃止などは、区分所有者がそれぞれに持つ議決権の4分の3以上の承諾を得る必要があります。また、これらは集会により決定されます。

なお、議決権は区分所有者だけでなく、区分所有者の特定承継人にも与えられます。

 

規約の確認と閲覧

規約はコピー等を建物内の見やすい場所に掲示する義務があります。

原本を保管しているのは管理人もしくは規約で定められた区分所有者(代理人を含む)です。

 

規約の義務違反者に対する措置

規約で定められた義務に違反している区分所有者および住人がいる場合、他の区分所有者もしくは管理組合法人が行為の停止を要求できます。

行為の停止請求の訴訟を提起するには、区分所有者が保持する議決権の過半数の賛成決議が必要です。ただし請求の内容が以下の場合には、議決権の4分の3以上の賛成かつ訴えがあれば請求可能です。

  1. 専有部分の使用禁止請求
  2. 占有者に対する引き渡し請求(契約解除を含む)
  3. 区分所有権の競売請求

 

集会

規約は集会により決議されますが、特段の議案がなくとも年1回は集会を開催する義務があります。集会の招集は区分建物の管理者が行います。また管理者以外が集会の開催を希望する場合には、区分所有者の5分の1以上の賛成があれば、集会の目的を提示して管理者に招集を要求できます。

ただし招集の要求に必要な定数は、あらかじめ規約で減らすことができます。

管理者

管理者とは、区分建物の管理を行うために管理組合から選任された者です。管理者も集会の決議で選任されます。

管理者は集会の開催および招集を実行し、規約で定められている行為を行う権利および義務を有します。

管理組合とは

管理組合とは区分所有者全員で構成された団体です。分譲マンション等を購入した区分所有者は当人の意思にかかわらず管理組合の構成員となり、区分所有をしている限り脱退することはできません。

管理組合法人とは

管理組合の運営と管理者の業務を円滑に行うために、管理組合を法人化することができます。法人化された管理組合を管理組合法人と言います。

管理組合法人の設立には以下の条件があります。

  1. 集会で議決権の4分の3以上の承認が得られている
  2. 主たる事務所の所在地で登記されている
  3. 理事および幹事が設置されている

建物が滅失した場合の復旧

火災等により区分建物が滅失したときには、滅失の程度により復旧方法が異なります。

小規模滅失

建物の価格の2分の1以下相当が滅失した場合は小規模滅失とし、各区分所有者は自己の判断で共用部分および専有部分の復旧が行えます。

ただし規約にて小規模滅失時の対応の定めがある場合には、規約が優先されます。

大規模滅失

建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合は大規模滅失とし、この場合には集会による議決権4分の3以上の賛成をもって復旧の決議を行い、区分所有者全員で復旧を行います。復旧工事の費用は区分所有者全員が負担します。

経年劣化による建替え

 

老朽化したマンション等の建替えを行うには、集会での建替え決議が必要です。

マンション等の建替えによる区分所有者への影響は非常に大きいため、建替え決議には区分所有者の議決権5分の4以上が賛成する必要があります。

「区分建物の規約等の決まり」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)

25条(選任及び解任)

区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。

 

34条(集会の招集)

集会は、管理者が招集する。

2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。

 

39条(議事)

集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。

 

61条(建物の一部が滅失した場合の復旧等)

建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。

5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

実際に過去問を解いてみよう

問題:

集会の議事は、法又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で決する。(令和元年度本試験 問13より抜粋)

答え:×

解説

集会の議事は法又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決します。「4分の3以上の多数」ではないため答えは×です。

「区分建物の規約等の決まり」ポイントのまとめ

この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 規約は建物の利用等について所有者同士で定めたルール
  2. 規約は集会によって決議される
  3. 区分所有者は管理組合の構成員となり、管理組合は管理人を選任できる
  4. 管理組合は法人化できる
  5. 建物が滅失した場合は建物価格の2分の1以上(より大きい価格分)が滅失したかどうかで復旧対応が異なる

最後に

区分建物の規約等の決まりについては「議決権の〇分の〇」など、区分所有者の割合が要件となる事柄が多いため、宅建試験の問題に登場することが多くなっています。

決議の種類による割合を正しく覚えて、確実に正答できるようにしましょう。