根抵当権と抵当権の違い|不特定債権の担保で必要になる極度額・元本とは
抵当権とは債務の弁済が滞ったときに債権者が担保物件を競売にかけられる権利です。
マンション等の区分建物は、所有権などの権利が共用部分・専有部分・敷地に分かれているため、戸建住宅に比べて登記が複雑です。そのため区分建物では、表題登記について特別な取り決めがあります。
また、戸建住宅では建物を利用する権利があれば当然のごとく敷地も利用する権利がありますが、区分建物の場合には1棟の建物に多数の専有者が存在するため、建物の利用権と敷地の利用権が分かれています。
今回は区分建物の登記と敷地利用権について解説します。戸建住宅の土地建物の登記を行うときとは何がどのように違うのかを確認しましょう。
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この記事の監修者: 平山 和歌奈 宅建スペシャリスト 不動産会社や金融機関にて、ローンの審査業務、金消・実行業務などに従事。その過程で、キャリアアップのため自主的に宅建の取得を決意。試験の6ヶ月前には出勤前と退勤後に毎日カフェで勉強、3ヶ月前からはさらに休日も朝から閉館まで図書館にこもって勉強。当日は37℃の熱が出てしまったが、見事1発で合格した。現在はiYell株式会社の社長室に所属。 |
権利関係
建物区分所有法
★ ★ ☆ ☆ ☆ 引っかけ問題に注意が必要です
10%
区分建物の登記に関する問題が出題される場合には、建物全体の登記と各区画の登記のどちらを指しているのかを見極めるのがポイントとなります。本記事でその違いをしっかり覚えておきましょう。
敷地権と敷地利用権についても同様に、問題文はどちらの権利を指しているのかを正しく読み取らなければいけません。
どちらも出題率はあまり高くありませんが、確実に1点を取るためには書かれている内容をしっかり理解する必要があります。
区分建物の登記は、以下の3つに大別できます。
建物全体の登記と区画ごとの所有権保存登記は、登記記録の表題部になされます。
ここからは、区分建物の3種類の登記について詳しく見ていきましょう。
区分建物の表題登記は、当該建物を最初に所有した者がまとめて申請します。具体的には分譲マンションの開発・販売業者が登記申請を行います。
しかし、上記の申請者は登記を申請しても、所有権保存登記(初めての所有権登記)を必ずしも行う必要はありません。分譲マンション等の完成後にすぐ売買契約が行われた場合には、以下の各区画購入者が所有権保存登記を行うことになります。
建物全体の登記を最初に行った者(表題部所有者)から各区画を購入して所有権を取得した者は、所有権移転登記ではなく所有権保存登記ができます。
分譲マンションの開発・販売業者が所有権保存登記をしてから所有権移転登記をすると二重に登録免許税が発生してしまうため、それを回避できるように定められた規定です。
ただし、当該の区分建物が敷地権付区分建物である場合には、敷地権の登記名義人の承諾を得なければいけません。
区分建物の各区画を購入した所有者は専有部分の割合に応じた共用部分と敷地の権利を持っています。しかし、多数の専有者すべての氏名を土地の表題登記に記載すると、膨大な量の記述になってしまいます。
また、区分建物の敷地権は、建物の専有部分および按分の共用部分と分離して売却等の処分を行うことはできません。
そのため区分建物の敷地権は独立した土地登記をするのではなく、区分建物の表題登記の申請時に、土地の所有権・地上権が敷地権であることを明記し、権利部の甲区または乙区にて登記するものとします。
敷地利用権とは、分譲マンション等の購入者が専有部分および共用部分の按分を利用するために必要な敷地の利用権です。
敷地権の項でご説明したとおり、区分建物の敷地権は専有部分および按分の共用部分と連動するのが原則です。そのため敷地利用権も、規約敷地に関する定めがない限り専有部分の所有者が権利を有します。
共有部分は①法定共有部分と②規約共用部分に分かれます。法定共有部分は敷地に住んでいる住人が共有して使用するエレベーターや廊下、階段などの部分を指します。
規約共用部分は独立している集会場や管理人室を規約により共用部分としたものです。
敷地権は建物を利用するための登記された敷地利用権で, 建物と分離処分できない土地のことを指します。
画像引用:HOME4U|マンションの敷地権とは?売買や相続する前に抑えるべきポイント
規約で定めることができるのは、以下の「規約敷地」の部分です。
法定敷地 | マンションの底地 |
規約敷地 | 通路や緑地など区分建物と一体化して管理される土地 |
この項目に関連する法律は以下のとおりです。
区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)
6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。 |
問題:
敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得ることなく、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができる。(平成25年度本試験 問14より抜粋)
答え:×(申請できない)
区分建物においては表題部所有者から所有権を取得した者も所有権保存の登記を申請することができますが、その建物が敷地権付区分建物である場合には、敷地権の登記名義人の承諾を得る必要があります。
この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
区分建物は建物全体・専有部分・敷地権(敷地利用権)と登記が分かれるために混乱しがちですが、それぞれの登記の目的を考えていくと違いが明確になります。
宅建試験においても登記関係の問題を苦手としている人が多いですが、わかりづらい文言に惑わされずに落ち着いて対処しましょう。
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この記事の監修者: 小林 紀雄 住宅業界のプロフェッショナル某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役 |