宅地建物取引士は不動産取引のスペシャリスト| 有資格者だけができる3つの業務

投稿日 : 2019年09月16日/更新日 : 2023年06月06日

資格の有無で大きく異なる不動産業の業務幅

不動産業界で長く働いていこうと希望しているなら、宅地建物取引士の資格取得をオススメします。

とはいえ、不動産会社に勤務するだけならば、必ずしも資格は必要ありません。実際、宅建業者のやり手営業マンとしてよく知られている人の中には、資格を持っていなくても卓越した営業センスで成約数をあげている人は多くいらっしゃいます。

お客様が求めているのは「資格」よりも「経験」と「知識」それから営業マンの「人柄」なので、資格がなくてもリカバリーする魅力があれば、十分に不動産営業マンとしてやっていけるでしょう。

しかし、宅地建物取引業法(宅建業法)の規定により、契約の実務は宅地建物取引士にしかできないようになっていますので、自分が売買した案件を自分の力量でクロージングするためには、宅地建物取引士の資格は必須条件になります。

 

宅地建物取引士だけが行える3つの業務

宅建業法で規定されている、宅地建物取引士にしかできない業務は以下の3点です。

  1. 契約締結前の重要事項説明
  2. 重要事項説明書へのサイン(押印)
  3. 契約書へのサイン(押印)

宅建業者が業務を行う上では、1事業所につき1名以上(従業員5名に対し1名)の有資格者の在籍が必要となります。そのため有資格者には資格手当をつけている会社も多いですし、将来的に転職を考えた際にも、宅地建物取引士の資格は有利に働くでしょう。

 

契約トラブル回避のためには高度な専門知識が必要

どうして宅地建物取引士の有資格者が求められているのかは、年々増加している不動産の契約トラブルを少しでも回避するためです。
平成28年度に国土交通省や各都道府県に持ち込まれた不動産取引の苦情・紛争相談件数は1734件(国土交通省発表)、その内36.2%は重要事項の説明等に関するトラブルでした。

画像引用:公益財団法人不動産流通推進センター「2018 不動産業統計集(3月期改訂)」

 

お客様との契約トラブルを避けるためにも、年々改正がなされる法律や法令に対応するためにも、今日ではますます専門的な知識をもった有資格者が求められているのです。

 

責任能力がないと見なされる場合には資格が欠落する

お客様の大切な資産を媒介する宅地建物取引士ですから、その資格には知識だけでなく誠実さも求められています。宅地建物取引士の資格登録(新機登録)が欠落される理由として挙げられている内容は以下のとおりです。

  1. 未成年者で、成年者と同一の行為能力がない人(未成年者かつ未婚者である人)
  2. 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない人
  3. 宅建業法違反、傷害罪、暴行罪、背任罪などにより罰金刑以上の刑を受け、刑の執行から5年を経過していない人
  4. そのほかの犯罪で禁固以上の刑を受け、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない人

つまり責任能力がないと見なされる人間、不誠実かつ危険な人間は、宅地建物取引士になることができません。宅地建物取引士の資格を持っていることは、お客様に対して安心と誠意をお届けしている証明にもなります。

 

資格取得で「業務」とともに広がる「自信」と「責任」

宅地建物取引士は、不動産取引の案件を最初から最後まで請け負うことができる不動産のスペシャリストです。

資格があることで業務の幅が広がるのはもちろんのこと、それと同時に専門家としての自信と責任感が芽生えます。宅建業者として活躍するためには資格取得が必須である理由がお分かり頂けたことでしょう。

 

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。