売買契約書の重要事項「手付金と手付解除」の定め方|契約当事者を守ろう

投稿日 : 2019年09月16日

「手付金」とは

不動産売買契約を締結すると、買主様が売主様に「手付金」を支払います。これには単純に「分割払いの1回目」というだけではない、大きな意味を持ちます。

売買契約書で契約を締結し、手付金を授受すると、その時点で「契約」が成立するのです。

契約が成立したら、それ以降は両当事者に法的責任が生じます。そのため、それ以降の契約解除には、契約書で定めたペナルティに従う義務も発生するのです。

「売買契約締結(契約書を交わす)」+「手付金の授受」=  契約成立 → 法的責任の発生!

「手付金」に関する注意点

手付金に関する契約誘引行為は禁止

手付金は、宅建業者である私たちが貸し付けたり、後払いを許可することはできません。契約誘引行為(契約を促したり急かしたりする行為)として、宅建業法第47条違反となるのです。

手付金に関する違反例

  • 売買契約を先に済ませ、後日に手付金を授受する→「信用供与」による契約誘引行為
  • 買主様に手付金を貸し付け、契約を行う→「手付金貸し付け」による契約誘引行為

宅建業者なら「手付金の保全措置」が必要

売主様が宅地建物取引業者の場合、一定額を超える手付金は第三者に保管させるよう、宅建業法第41条で定められています。これを「手付金等の保全」と言います。

万が一、売主様が物件を引き渡せない事態になっても、買主様にきちんと手付金が返還されるよう、買主様の権利を守る目的で定められているのです。

手付金の保管を請け負うのは、銀行・保険会社・指定保管機関などです。

「手付金の保全措置」の条件

  • 未完成物件:売買価格の5%または1,000万円を超える場合
  • 完成物件:売買価格の10%または1,000万円を超える場合

「手付解除」「手付解除期日」とは

「手付解除」とは、契約締結後、一定期間までなら、買主様は手付金を放棄することで、原則理由を問われずに契約を解除できるという取り決め方です。

売主様の場合は、買主様から契約時に受け取った手付金を返金し、さらに手付金と同額を買主様に対して支払うことで、同じく理由を問われず契約を解除できます。これを「手付流しの倍返し」と言います。

このように、手付解除ができる期間を定めたのが「手付解除期日」です。手付解除期日を過ぎてからの解約には、違約金の支払いなどペナルティが課せられます。

「手付金」「手付解除期日」の定め方

「手付金」「手付解除期日」の目安

「手付金」と「手付解除期日」の適正な定め方は、各案件により異なります。ただし、不動産業界でよく採用される定め方は以下の通りですので、目安にするといいでしょう。

  • 「手付金」の目安…売買価格の5~10%
  • 「手付解除期日」の目安…契約締結日から約30日

両当事者に中立的な設定をする

契約解除によるリスクが売主様・買主様のどちらか一方に偏ると、不公平な契約になってしまいます。そのため、「手付金」と「手付解除期日」を適正に定め、両当事者に公平な契約にする責任があります。

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