重要事項説明にも関わる新住宅市街地開発事業は何をするもの?特徴や法律のまとめ

投稿日 : 2020年03月16日

新住宅市街地開発事業とは、わかりやすく言えばニュータウンをつくる事業のことです。

日本のニュータウンは、この新住宅市街地開発事業によりできていますが、法律による制限がいくつかあります。この制限は不動産の重要事項説明にも関わるため、ポイントを押さえておくことが大切です。

今回は、新住宅市街地開発事業について説明します。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

新住宅市街地開発事業について

新住宅市街地開発事業の特徴

新住宅市街地開発事業とは、都市計画で定められた市街地開発事業の一つです。1963年に住宅に対する需要が著しく多い地域において良好な住宅地(宅地)を大量に供給することを目的として、新住宅市街地開発法が制定されました。

本格的なニュータウンづくり事業として、単なる住宅だけではなく、道路や学校、公園、病院、ショッピングセンターなど、生活する上で必要なものをすべて揃えた複合都市をつくるという特徴があります。

新住宅市街地開発事業は、比較的短い期間で事業を行います。地方の公共団体が事業主体となり、用地を買収して一気に住宅地の造成や処分、公共の整備を行うためです。

 

不動産の重要事項説明書における新住宅市街地開発法とは

不動産の重要事項項目説明書の「都市計画法建設基準法以外のその他の法令に基づく制限」において、「新住宅市街地開発法」が記載されています。新住宅市街地開発事業について定められたものです。

この事業における法律の要点は以下の通りです。

方法 開発に当たっては、事業区域の土地を全面的に買収し、計画に基づいて宅地や公園・用地・道路を造成、その後公募を原則として住宅の需要者に売却
制限 ・開発施行者が売却する際、原則として譲受人(購入希望者)を公募すべきこと

・譲受人に住宅の3年以内の建築義務を課すこと(一定の規模・用途の場合は5年)

・義務違反等の場合、買戻特約を付すこと

・事業完了後10年は購入地の所有権移転(売却)については都道府県知事の承認が必要(開発疑似便乗者による不動産の転売益を阻止し、健全な街づくりを保証するため)

新住宅市街地開発事業については国土交通省のホームページで確認することができます。

売買の対象になる不動産が新住宅市街地開発事業による宅地であった場合、重要事項証明書の「新住宅市街地開発法」の項目にチェックを入れ、制限内容を調査し、お客様に制限内容を説明する必要があります。

 

 

新都市基盤整備事業との違い

新都市基盤整備事業は、わかりやすく言えば新住宅市街地開発事業の拡大版になります。

住宅地だけでなく、官公庁・医療・教育・商業施設を含めた新都市を建設することを目的とし、1972年新都市基盤事業整備法が制定されました。

新住宅市街地開発事業と異なる点は、新都市基盤整備事業は、土地の買収と土地の区画整理の手法を組み合わせていることです。

新都市基盤整備事業は、新都市基盤整備法で具体的に定められていますが、大枠としては都市計画法に定められている事業のうちの1つです。

しかし、今まで実施された例はありません。

 

新住宅市街地開発事業と土地区画整理事業の違い

新住宅市街地開発事業と土地区画整理事業は似ていますが、仕組みが違います。

新住宅市街地開発事業は、都市計画決定された区域内の土地を全面買収し、道路や公園などの施設を整備します。造成した宅地に実際に住宅を建設するか土地のまま販売し、用地費や費用にあてます。

一方、土地区画整理事業は、地権者が公平な負担に基づいて土地を出し合います。その土地を道路や公園などの施設として活用するとともに、一部を保留地として確保しそれを売却して工事費にあてます。

 

ニュータウンの事例を紹介|多摩ニュータウン

新住宅市街地開発法は、大阪の千里ニュータウン、東京の多摩ニュータウン、千葉ニュータウンなどを開発するにあたり事業手法として用いられました。今回は多摩ニュータウンが造られた目的や事業内容について説明します。

目的

昭和30年代の東京は、深刻な住宅難とそれに伴う住宅需要によって市街地の地価は著しく上昇していました。その結果住宅建設は市街地から地価の安い周辺地域に拡大し、昭和30年代には多摩地域で無秩序な開発が進行しました。そして昭和40年12月、乱開発を防止し、居住環境の良い宅地や住宅を大量に供給することを目的に多摩ニュータウン計画が決定しました。

事業内容

多摩ニュータウンの計画では、都市づくりに関する多くの分野にわたる事業が行われました。

 

新住宅市街地開発事業 宅地造成や道路、公園、上下水道などの都市の基盤となる施設の整備

多摩ニュータウンの区域の77%がこの事業により整備された

土地区画整理事業 道路、公園などの公共施設の整備、計画的に土地の区画形質の変化を行い健全な市街地の造成を図る事業。多摩ニュータウン地域の23%がこの事業が占めている
関連公共施設整備事業 多摩ニュータウンの関する主要な道路、河川及び下水道を整備

 

 

 

都市計画法について

都市計画法とは

都市計画法は、国土の無秩序な開発を制限し、健全で効率的な都市づくりを実現するための計画として、1968年に制定されました。都市の将来あるべき姿から逆算して、それまでに必要な規制、誘導、整備をしています。都市を適正に発展させようとする方法や手段になります。

 

6つの事業

都市計画法12条に定められている市街地開発事業は、以下7つの事業をまとめたものです。

計画名 根拠となる法律名 内容
1 土地区画整理事業 土地区画整理法 市街地の区画を整理し、道路を拡幅し街区(道路に囲まれた区域)を綺麗に整備する

整然とした新たな市街地をつくる事業

2 新住宅市街地開発事業 新住宅市街地開発法 良好な住宅地(宅地)を大量に供給することを目的にした、本格的なニュータウン事業
3 工業団地造成事業 首都圏近郊整備地帯及び地域都市開発区域の整備に関する法律

近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律

首都圏と近畿圏に限られた事業。工業団地の供給と、それに伴う道路や鉄道などの公共施設の整備を目的とした事業
4 市街地再開発事業 都市再開発法 古い市街地を高層化する再開発事業。密集した市街地の一体化・総合的な整備をはかり、細分化された土地を共同利用し、地区を高層ビルや高層マンションに建て替える事業
5 新都市基盤整備事業 新都市基盤整備法 新住宅市街地開発事業の拡大版。住宅地だけでなく官公庁・医療・教育・商業施設を含めた新都市を建設することを目的とした事業
6 住宅街区整備事業 大都市地域のおける住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 大都市にマンションをつくるための事業

密集していた宅地を綺麗な区画にし、公共施設の整備、マンションの建設を行う

7 防災街区整備事業 密集市街地整備法 街を消防車が通れる道路に囲まれた区域へ整備するための事業

出典元:都市計画法 第12条より作図

まとめ

日本のニュータウンは、新住宅市街地開発法に基づき作られています。売買となる不動産が該当する場合は重要事項説明にも関わるため注意が必要です。

計画都市法による事業も様々ありますが、それぞれの法律や特徴を押さえ、新住宅市街地開発事業についても理解を深めておきましょう。