土地区画整理法の目的とは|地権者に与える影響と事業完了までの流れを確認

投稿日 : 2020年02月03日/更新日 : 2024年03月28日

古くから形成されている「まち」では、曲がりくねった道路や使用しづらい余剰地が多く存在しています。

宅地を整形し直して新たな都市を造成する土地区画整理事業は、地域住民の利便性や安全性を高めるために各自治体で実施されています。この土地区画整理事業の元になっているのが土地区画整理法です。

今回は土地区画整理法とは何かを改めて確認し、土地区画整理事業が地権者や地域住民にどのような影響を与えるのかについて学びましょう。

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土地区画整理法とは

 

1954(昭和29)年に制定された土地区画整理法とは、土地区画整理事業の施行者や施行方法、用地買収等の費用負担など必要な事項を取り決めた法律です。

 

第一条 この法律は、土地区画整理事業に関し、その施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

引用:e-Gov電子政府の総合窓口|土地区画整理法

 

土地区画整理法の制定前は、旧都市計画法や特別都市計画法などにより土地区画整理事業が実施されていました。他法律の一部としてではなく土地区画整理だけを抽出した法律を作ることで、より一層の事業推進を図る目的があります。

 

土地区画整理事業とは

土地区画整理事業は、都市計画区域内の土地を対象として行う事業です。

地区内の地権者が土地を少しずつ出し合い、土地の区画形質を改めて整形し、道路や公園などの都市施設や排水設備などの変更をします。土地区画整理事業を行うことにより、宅地を有効に活用することができます。

 

画像引用:公益社団法人 街づくり区画整理協会|土地区画整理事業とは

 

土地区画は対象地域の地権者が集まり組合を結成して実施する場合が多いですが、自治体が主体となって実施する場合や、独立行政法人都市再生機構が主体となるケースもあります。

 

どうして土地区画整理法が定められたのか

土地区画整理法は、土地区画整理事業を円滑に実施するために制定されました。

古くからの「まち」は、見通しが悪く交通事故が頻発したり、消防活動を困難にする狭隘道路(きょうあいどうろ)が多くあります。また河川管理施設や排水設備が整っていない地域も多く、台風などにより住宅が冠水する恐れもあります。

さらに子供が安全に遊べる公園のための用地が確保できなかったり、建築基準法の関係で建物の建て替えができないと、将来的な街の発展をも阻害する可能性があります。

まちづくりは地域の未来を創るために欠かせない事業ですので、法律でまちづくり事業を支援しようという訳です。

 

画像引用:国土交通省 都市局 市街地整備課|土地区画整理事業

 

土地区画整理法が地権者に与える影響とは

「まち」を丸ごと作り替えようというのですから、土地区画整理事業はその地域に住んでいる住民にも影響が出てきます。

特に土地区画整理事業の対象地になっている地権者にとっては自らの資産を差し出すことになり、その影響は大きいものです。

具体的にはどのような影響があるか、土地区画整理事業でよく出てくる単語を使いながら説明します。

 

換地

土地区画整理事業のために地権者が提供し、新たに整形した土地を換地(かんち)と言います。なお換地になる前の未整理状態の土地は従前地(じゅうぜんち)と言い、従前地のために地権者からが提供された土地のことを仮換地(かりかんち)と言います。

 

減歩

道路や公園などの公共用地を確保するために従前地の面積が減ることを減歩(げんぶ)と言います。

「歩」には「坪」と同じ意味があり、坪数が減少するという意味があります。

減歩には公共減歩保留地減歩の2種類あり、公共減歩と保留地減歩を合わせて合算減歩と言います。

 

画像引用:公益社団法人 街づくり区画整理協会|土地区画整理事業とは

 

清算金

土地の提供を行った地権者同士で不均衡が生じてはいけません。そのため、土地区画整理事業が完了した後の評価額をもって換地相互間の不均衡の是正を行います。このときに徴収・交付される金銭のことを清算金(せいさんきん)と言います。

換地の評価額が従前地より上昇していた場合には清算金が地権者より徴収され、逆に評価額が低下した地権者には清算金が交付されます。

 

土地区画整理事業の流れ

 

 

土地区画整理事業はおおむね以下の流れで実施されます。

1:都市計画決定

土地区画整理事業をする地域を決定します。

2:事業計画等の決定

土地区画整理事業の事業計画や規則を決定します。

3:換地計画

土地区画整理事業で換地とする土地の範囲を決定します。

4:仮換地指定

地権者が提供を同意した土地の範囲を指定します。

5:建物等の移転

地権者が立ち退き、その後建物を取り壊します。

6:土地区画整理工事

宅地の再造成および道路や公園の整備などの工事を実施します。

7:換地処分

工事完了後、総会での承認を受けて従前地から換地に権利が移行(換地処分)します。

8:変更登記

土地建物の変更登記を行います。

9:清算金の徴収または交付

清算金を徴収または交付します。

上記の(1)から(9)まで終了した時点で土地区画整理事業が完了します。ほとんどの土地区画整理事業では、事業完了までに10年以上の歳月を要します。

 

区画整理により変更された住所は登記が必要

 

上記項目で説明したとおり、土地区画整理事業による換地は従前地と土地の所在・地番・地目・面積が変わりますので変更登記が必要です。

基本的には従前地の登記簿の表題部を変更する形で変更登記を行いますが、状況により従前地の登記簿を閉鎖して、新たに登記簿を作成する場合もあります。

変更登記は土地区画整理事業の施行者がまとめて行います。地権者が個別に登記手続きを行う必要はありません。

また、区画整理により新たな町名が付けられた場合には住居表示も変更されます。

 

事業実施中の変更登記

土地区画整理事業区域内の土地でも変更登記することができます。

ただし仮換地地積や清算金の計算に影響することがありますので、地目変更や分合筆などの変更登記をするときには登記手続きの前に施行者の承認を得る必要があります。

 

土地区画整理事業の対象地は土地の売買ができる?

土地区画整理事業の対象地として指定された従前地や仮換地を売買することはできるのでしょうか。

結論から言えば、換地・従前地・仮換地・保留地の全て土地売買は可能です。

住宅ローンの担保として従前地に抵当権が付けられた場合でも、換地処分後の変更登記により自動的に担保が切り替わります。

ただし土地区画整理事業の対象地として指定されると事業完了までに長い歳月を要するため、販売してもなかなか買い手が見つけづらいという難点があります。

上記の「土地区画整理事業の流れ」を参考に、事業完了までにどのくらいの年数がかかるのかを予測することが大切です。

 

土地区画整理準備地区・換地・仮換地の建築制限

土地区画整理事業の対象地で建物を建築する場合、まだ都市計画決定前の状態(準備地区)であれば建築制限はかかりません。

都市計画決定がされると、施行区域内の土地は土地区画整理法の建築制限が適用されるようになります。

 

まとめ

 

 

今回は土地区画整理事業に必要な規定を取りまとめた土地区画整理法と、土地区画整理事業について解説しました

地域住民の安全性と利便性を向上させ、まち全体の評価を高める土地区画整理事業は、その地域の不動産を購入しようとする買主様にとって嬉しい事業です。

反面、不動産を売りたい売主様にとっては、事業完了までの長い道のりが売却成立までの足かせになる可能性があります。

土地区画整理法の正しい知識を身に付けて、買主様にも売主様にも適切なご提案ができるように策を練りましょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。
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