土地の合筆登記の方法|メリットや申請手順を正しく理解

投稿日 : 2020年02月07日

複数の土地を法的に1つにまとめる手続きを「合筆登記」と言います。

合筆が必要なケースとは、どのような場合でしょうか。また、合筆登記はどのように行えばいいのでしょうか。

お客様の資産運用にも関わる重要な手続きですので、きちんと理解しておきましょう。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

土地の「合筆」とは何か

 

「筆(ひつ)」とは

「筆(ひつ)」とは、登記簿上で1つの土地を表す単位です。広さにかかわらず1筆(いっぴつ)の土地ごとに1つの登記簿が存在し、登記された土地には1筆ごとに地番が割り振られます。

 

「合筆(がっぴつ)」とは

「合筆(がっぴつ/ごうひつ)」とは、隣接する複数の土地を1筆の土地にまとめることです。合筆のための登記手続きを「合筆登記」と言います。

 

土地を合筆する目的

売却手続きを簡略化するため

土地の売買では、売買契約締結や所有権移転登記など、売主様・買主様ともに多くの手続きを行う必要が生じます。その際、目的の土地が登記上複数に分かれていると、その分だけ必要な手続きが増え、プロセスがより煩雑になってしまいます。

 

そこで、買主様が購入後に1つの土地として利用する予定であれば、前もって合筆しておくと、手続きが簡略化されます。その分、手続きにかかる諸費用も抑えられるという利点もあります。

 

相続割合に応じて分割するため

隣接する複数の土地を複数の相続人で分け合う際に、1つの土地に合筆してから改めて分筆することがあります。土地の筆数と相続人数が合致しない、相続割合とそれぞれの土地の評価額が合わないなど、そのままでは決定通りの分け方ができない場合には、一度合筆してから再び分筆すると相続しやすくなります。

 

「合筆」が認められる条件

 

土地を合筆するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

◆合筆が認められる土地の条件

  • 隣接している
  • 地目(土地の用途)が同じである
  • 地番区域が同じである
  • 所有者(所有権の登記名義人)が同じである、または共同所有者の持分が同じである
  • 所有権以外の権利(抵当権など)の登記がない(ただし、抵当権・先取特権・質権の受付番号が同じであれば合筆可)

 

逆に、次の条件に当てはまる場合は、合筆することができません。

◆合筆が認められない場合

  • 隣接していない(離れている)
  • 地目が異なる
  • 地番区域が異なる
  • 所有者が異なる
  • 共同所有者の持分が異なる
  • 所有権以外の権利の登記がある
  • 仮登記・予告登記がある

 

合筆後の登記簿について

 

合筆後の地番

合筆するには、法務局にて「合筆登記」を行う必要があります。合筆登記をすると、土地の地番は合筆前の首位の地番(若い方の地番)が引き継がれます。

 

そして、もう一方の地番の登記簿は閉鎖され、閉鎖登記簿として保存されます。土地の閉鎖登記簿の保存期間は、50年間と定められています。一度閉鎖された地番は、特別な事情がない限り再び使用されることはありません。

 

登記識別情報の交付

合筆などの登記をすると、登記名義人を識別するための「登記識別情報」が交付されます。「登記識別情報」は数字と符号からなる12ケタの文字列で、2008年までの「登記済証(登記申請書副本)」に代わる本人確認手段です。

 

合筆登記の申請方法

「合筆登記」の手順

土地の合筆登記は、以下の手順で行います。

  1. 法務局や市役所などで資料調査を行う
  2. 現地調査を行い、物理的な現況を確認する
  3. 合筆登記の申請手続きを行う
  4. 登記識別情報を受け取る

資料調査では、合筆前の土地の登記事項説明書・公図・地積測量図などを参照します。現地調査とともに、合筆の認可条件をクリアしているか確認します。

 

条件をクリアしていることが確認できたら、合筆登記の申請手続きを行います。登記申請の方法には、「窓口申請」「郵送申請」「オンライン申請」の3種類があります。

 

登記申請方法の選択肢

 

①窓口申請

管轄法務局の窓口にて申請を行います。

 

②郵送申請

申請書を郵送する場合は,申請書を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載し、書留郵便にて管轄法務局に送付します。また、登記完了時に交付される「登記完了証」を郵送により返却されたい場合は、宛名を記載した返信用封筒と書留郵便分の切手を同封します。

 

③オンライン申請

2020年1月14日よりインターネットによる申請書類送付も可能になりました。パソコンに「申請用総合ソフト」をインストールし、「QRコード付き登記申請書」を作成します。作成した申請書は、申請ソフトから直接、法務局に送信することができます。

 

◆登記申請の必要書類

  • 合筆する土地の登記識別情報または権利証
  • 印鑑証明書
  • 委任状(土地家屋調査士や司法書士に依頼する場合)

 

合筆にかかる費用

合筆登記には、以下の費用が必要となります。

費用の内訳 金額の目安
合筆登記にかかる登録免許税 1律1,000円(合筆後の筆数分必要)
登記申請手数料 窓口での申請…土地1筆につき600円

オンラインでの申請…500円

公図・地積測量図などの取得費用 土地1筆につき各500円程度
印鑑証明書の発行手数料 窓口での申請…450円

オンラインでの申請…410円

 

専門家に依頼せず、自分で登記申請する場合には、上記のとおり費用は合計数千円となります。

 

土地家屋調査士などの専門家に依頼する場合は、上記に加えて報酬3~6万円程度が必要となります。

 

合筆した土地にある建物の登記

 

合筆した土地に建物があれば、建物の登記簿にも変更登記が必要となる場合があります。

 

合筆をすると、複数の地番が1つに統合されます。これにより閉鎖された地番の土地に所在していた建物であれば、表題部の「所在」や「家屋番号」が変更になります。

 

合筆の反対は「分筆」

「分筆」とは

合筆とは逆に、1筆の土地を2つ以上に分けて、それぞれを別の独立した土地として新たに登記をしなおすことを「分筆」と言います。また、分筆のための登記手続きを「分筆登記」と言います。

 

合筆と分筆の違いは「測量」の要否

合筆と分筆の違いは、登記において「測量」が必要かどうかにあります。

 

「合筆」では、それぞれの土地の地積測量図がそろっていれば、改めて測量する必要はありません。一方「分筆」では、新たな境界を作成することになりますので、「境界確定測量」をする必要があります。

 

「境界確定測量」には、現地の測量や書類作成のため、数十万円以上の費用がかかります。

 

登記簿が見つからない場合は合筆・分筆を疑う

担当不動産の調査で目的の登記簿がなかなか見つからない場合は、過去に合筆または分筆を行っていないか確認します。閉鎖登記簿や過去の公図などを調査してみるといいでしょう。

 

明治時代以前の古い「旧紙図」をもとに作成された公図には、筆界線や地番の記載漏れがある場合があります。不明点があれば、法務局にて登記官に相談しましょう。

 

その他、専門的な調査が必要なときは、土地家屋調査士などに依頼することも検討します。

 

自分で合筆したいお客様にも適切なサポートを

 

合筆は、不動産取引や資産管理において利便性・費用面でメリットが多く、不動産業務の中で取り扱うことが少なくない手続きです。

 

また、不動産のエキスパートである宅建業者であれば、不動産登記について売買に直接かかわらない手続きも含め、幅広く理解しておく必要があります。

 

特に合筆登記は、土地家屋調査士などの専門家に依頼せず、「自分で行いたい」と考えるお客様も多くいます。その際、適切にサポートができるよう、申請方法などをマスターしておきましょう。

 

関連記事

土地の分筆を理解する|メリットと注意点・測量から登記までの手順

土地の境界による不動産トラブルを回避するために|筆界・境界の違いと境界線の調べ方