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債務不履行等の契約トラブルが発生したことにより、債権者・債務者、もしくは第三者に極端な不利益が生じる可能性があります。
民法ではどのような規定を設けて、契約トラブルで損害を受けた人を保護しているのでしょうか。
今回は契約トラブルに関連する「債権者代位権」「詐害行為取消権」「不当利得」の民法規定について解説します。
権利関係
その他
★★☆☆☆ 債権者代位権は出題の可能性あり
「債権者代位権」「詐害行為取消権」「不当利得」過去10年の出題率
10%
本記事で解説する項目のうち、「債権者代位権」に関する内容はきちんと把握しておきましょう。
これまでの宅建試験では債権者代位権に関する問題はほとんど登場しませんでしたが、民法改正により債権者代位権の一部変更・追加がされたため、2020年度の宅建試験では債権者代位権に関する問題が出題される可能性あります。
後の2つ「詐害行為取消権」と「不当利得」に関しては、軽くチェックしておくだけで十分です。
債権者代位権は、債権者が債権を保全するために債務者が持っている第三債務者に対する権利を行使できる権利です。なお、債権者代位権の行使は裁判所の許可がなくても行うことができます。
債権者代位権が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
2020年の民法改正による債権者代位権の変更点は以下のとおりです。
詐害行為取消権とは、債務者が行った法律行為を債権者が取り消せる権利です。
この取消権を行使できる相手は、債務者本人ではなく債務者の法律行為により利得を得た受益者となります。
詐害行為取消権が認められるためには、債権者・債務者・受益者(転得者)に関する以下の要件を全て満たす必要があります。
債権者 | ①金銭債権であること
②詐害行為の前の原因に基づいた債権であること |
債務者 | ①行った法律行為が債務者の責任財産を減らす行為であること
②行った法律行為により債務者が無資力状態となり債権者への弁済ができない状態であること ③行った法律行為により債権者を害するとの認識があったこと |
受益者(転得者) | 債権者の害につき悪意であること |
不当利得とは、不法な原因で得た利益のことです。不当利得のために損害をこうむった人は、不当利得を得た人に対して不当利得返還請求ができます。
逆に不当利得を給付した側の人物は、いったん支払った不当利得給付を返還請求することはできません。これは不法行為に加担した人物を保護してしまうと不法行為を認めてしまうことになるからです。
この項目に関連する法律は以下のとおりです。
民法 (令和2年4月1日施行)
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。 ↓ 【改正後】 1.債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。2.債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。3.債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。 |
問題:
債務者が既に自ら権利を行使しているときでも、債権者は、自己の債権を保全するため、民法第423 条に基づく債権者代位権を行使することができる場合がある。(平成22年度本試験 問7より抜粋)
答え:×
債権者代位権は、すでに債務者が自ら権利を行使しているときには行使できません。
行った債務履行が債権者にとって納得いかないものだとしても、いったん受けた弁済は債権者代位権を行使するために取り消すことはできないため、答えは×です。
この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
今回は契約トラブルや不法行為に関連する民法規定の債権者代位権・詐害行為取消権・不当利得について解説しました。
民法がどのように債権者・債務者・第三者それぞれの権利を守っているかを把握し、契約トラブルを最小限にするために行使できる権利について知っておきましょう。
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