広告開始時期と契約締結時期の違いを確認|進捗状況で変わる広告等の制限

投稿日 : 2020年06月01日

宅建業者が未完成物件の販売広告をする場合には、宅建業法により定められている広告開始時期の制限を守らなければいけません。また未完成物件に関する契約を締結するときにも、広告と同じように時期の制限を守る必要があります。

ただし、広告開始時期と契約締結時期の2つには若干の違いがあります。

未完成物件の広告はいつから広告を出せるようになり、いつから契約できるようになるのでしょうか。広告と契約ではどこがどう違うのでしょうか。

今回は、広告等に関する規制の中から、広告開始時期の制限について、そして広告開始時期と契約締結時期の制限との違いについて解説します。

kobayashi

この記事の監修者:
平山 和歌奈
宅建スペシャリスト

不動産会社や金融機関にて、ローンの審査業務、金消・実行業務などに従事。その過程で、キャリアアップのため自主的に宅建の取得を決意。試験の6ヶ月前には出勤前と退勤後に毎日カフェで勉強、3ヶ月前からはさらに休日も朝から閉館まで図書館にこもって勉強。当日は37℃の熱が出てしまったが、見事1発で合格した。現在はiYell株式会社の社長室に所属。

 

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「広告開始時期・契約締結時期の制限」の試験科目

宅建業法

「広告開始時期・契約締結時期の制限」が含まれる試験分野

広告等に関する規制

「広告開始時期・契約締結時期の制限」の重要度

★ ★ ★ ★ ★ 設計から完成の進捗状況ごとの制限を理解しましょう

「広告開始時期・契約締結時期の制限」過去10年の出題率

90%

 

2020年宅建試験のヤマ張り予想

広告開始時期の制限は、広告等に関する規制の試験分野の中でも特に出題率が高い項目です。2020年の宅建試験でも出題される確率は非常に高いと考えられます。

契約締結時期の制限に関しては、広告開始時期との違いがどこにあるのかを理解しておきましょう。

「広告開始時期・契約締結時期の制限」の解説

土地を造成して区画販売したり、戸建やマンション等を建築して分譲販売するときには、早く売れた方が資金を回収しやすくなります。

そのため、宅建業者としてはできるだけ早く広告等を行い、広く申込者を募りたいと思うのは当然です。

しかし、未完成物件の購入希望者が申込をした後で建築許可や開発許可が下りなかったりすると、申込者に土地建物を明け渡すことができずに損害を与えてしまうことになります。

宅建業法では、未完成物件の取引に対して広告開始時期と契約締結時期に関する制限を設けて、申込者(買主)に与える損害を回避するようにしています。

広告開始時期と契約締結時期との違い

広告開始時期と契約締結時期とで異なる点は、制限対象となる宅建業者の業務内容です。

広告が開始できる時期については、宅建業者が行う業務「売買・交換・賃借の代理」の全てにおいて制限がかけられます。

ですが、契約が開始できる時期については「売買・交換」のみが制限の対象となります。これは賃借の場合、もし履行できなかったとしても申込者に与える損害は比較的軽微だと考えられるからです。

「青田売り」とは

不動産業界では未完成物件の販売を「青田売り」と呼ぶことがあります。

新築マンションをモデルルームで宣伝し、販売することも青田売りのひとつです。

稀に青田売りを違法な販売手段として捉えている人がいますが、以下の制限に反してない青田売りであれば、違法ではありません。

建築段階ごとの広告開始時期・契約締結時期の制限

未完成物件の広告および契約締結をして良い時期は、建築段階ごとに以下のように制限されます。

宅地の造成段階設計段階・建築確認等の申請段階

広告 すべての取引において不可
契約 売買・交換は締結不可(賃借は可能)

 

建築確認等の許認可が受理された段階・工事段階・完成

広告 すべての取引において可能
契約 すべての取引において可能

 

つまり、広告と売買・交換の契約締結は建築確認等の許認可が下りるまで行えず、賃借契約すべての段階で締結できるということになります。

「広告開始時期・契約締結時期の制限」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

宅建業法(令和241日施行)

33条(広告の開始時期の制限)

宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

36条(契約締結等の時期の制限)

宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。

実際に過去問を解いてみよう

問題:

建築工事着手前の分譲住宅の販売においては、開発許可が下りていれば建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前でも取引態様を売主と明示して当該住宅の広告をしても良い。(令和元年度本試験 問30より抜粋)

答え:×

 

解説

開発許可が下りていても建築確認などすべての許可・確認が下りるまでは分譲住宅の広告をしてはいけません。広告開始時期の違反となるので答えは×です。

 

「広告開始時期・契約締結時期の制限」ポイントのまとめ

この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 建築確認等の許認可が下りるまでは未完成物件の広告はできない
  2. 売買・交換の契約締結には広告開始時期と同じ制限がある
  3. 賃借の契約は許認可の前であっても行える
  4. 青田売りとは未完成物件の販売のこと

 

最後に

今回は未完成、物件を販売(青田売り)するときの広告開始時期および契約締結時期の制限について解説しました。

青田売りは宅建業界でも当たり前のように行われている販売手段です。しかし、広告や契約締結の時期を見誤ると、監督処分の対象になるだけでなく、お客様に不誠実な販売をしてしまう可能性があります。

広告や契約締結をしても良い時期と良くない時期、対象となる取引の種類をきちんと覚えて、お客様に対して誠実にご案内をしましょう。