区分所有登記と敷地権とは|マンションや共同ビルの権利関係と謄本の扱い方
「区分所有登記」は、区分所有建物の所有権についての登記です。
今回は区分所有登記の定義と種類、内容をご紹介します。
「区分所有登記」とは
区分所有建物とは、1棟の建物が2つ以上の部屋に区切られて、その部屋が別々の所有権の対象となっている建物各部屋(専有部分)のことを言います。
区分所有建物は、各部屋ごとに構造上・利用上の独立性を有します。
- 「構造上の独立性」…各部屋が、仕切り壁・床・天井等によって、他の部屋と構造上はっきりと区別されている。
- 「利用上の独立性」…各部屋が、単独で住居・店舗・事務所・倉庫などの用途に使用できる。
例:分譲マンション・共同ビル・連棟式住宅(長屋、テラスハウス)・二世帯住宅などの各部屋
区分所有登記は、各専有部分ごとに行います。
「敷地権」とは
専有部分を所有するための建物の敷地に対する権利を敷地利用権といいます。
この敷地利用権は、専有部分と分離して処分することはできず、また、抵当権等の権利を、敷地や建物の一方のみを対象として設定することもできません。
例えば、マンションの1部屋を売買し、所有権を売主から買主へと移転する際には、建物の権利だけを買主に移転して敷地の権利は売主のまま、といったように分離して扱うことはできないということです。
敷地利用権のうちで登記されたものを不動産登記法では敷地権といい、専有部分の権利と一体化されています。1棟の建物が存在する敷地全体を、区分所有者全員で持分により所有している状態となります。
「敷地権」の種類
敷地権には数種類あります。
「区分所有建物」の登記簿謄本では、「表題部(敷地権の表示)」に記載されますので、確認しましょう。
- 所有権…土地を持分により所有できる権利。
- 地上権…他人の土地を使用して、建物を建てられる権利。物権のひとつ。
- 賃借権…賃料を支払うことで他人の土地を使用できる権利。債権のひとつ。
「区分所有登記」の構成と内容
「区分所有建物」の登記簿謄本は、次のような内容で構成されています。
①表題部「一棟の建物の表示」
建物(マンションなど)の名称、構造、各階床面積など。
②表題部「敷地権の目的である土地の表示」
所在、地番、地積(1棟の建物の存在する土地全体)など。
③表題部「専有部分の建物の表示」
専有部分の家屋番号、種類(用途)、構造、床面積(内法面積)など。
④表題部「敷地権の表示」
敷地権の種類、敷地権の割合(専有部分の土地の持分割合)、登記年月日など。
⑤権利部「甲区」
専有部分についての所有権に関する事項。名義人など記載。
⑥権利部「乙区」
専有部分についての所有権以外の権利に関する事項。抵当権・根抵当権など担保権を記載。
「区分所有登記」の注意点
・③の「専有部分の床面積」は、内法面積(うちのりめんせき)で記載されます。
新築分譲時のパンフレットや販売図面などでは、一般的に壁芯面積(へきしんめんせき)で記載されていることが多く、内法面積よりも大きい面積となります。
・⑥の「乙区」は、設定されていない場合は記載されません。
敷地権登記がない区分所有建物について
古い区分所有建物の場合、敷地権登記がない区分所有建物の登記簿謄本を取得する場合、建物分とは別に土地分の登記簿謄本もそれぞれ取得、もしくは申請する必要があります。
また、土地の登記簿謄本を取得する場合には、申請時に目的の箇所を指定しないと、他の所有者の持分に関する内容も全て出力されてしまいます。
敷地権登記のない区分所有建物だからといって、不動産取引で不利になることはありませんが、登記申請時、登記簿取得、重要事項説明書・売買契約書作成時には上記のことに注意しましょう。
まとめ
区分所有登記と敷地権の登記手続きについて理解をすることで、登記や売買契約の際に不動産についての説明責任を果たすことができるようにしていきましょう。
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