マンション管理組合の調査ポイント|住みやすさを決定付ける組合運営の質

投稿日 : 2019年11月08日/更新日 : 2023年02月02日

マンションの住みやすさは管理組合の良し悪しで左右される

お客様がマンションを購入した後、住み心地を良くするのも悪くするのも、そのマンションの管理組合次第です。

いわばマンションは、組合運営の質で決まると言っても過言ではありません。

今回はお客様の住み心地を少しでも良くするために、マンション管理組合のチェックポイントについてご説明します。

 

マンション管理組合の調査資料

マンション管理組合の調査にあたっては、管理会社から発行される重要事項調査報告書修繕履歴長期修繕計画書などの資料を基に検証します。

 

マンション管理組合の確認事項

◎管理費

管理費は、マンション共有部分の維持管理のために必要となる費用です。

購入段階では、買主は管理費の安さに目をうばわれがちですが、いくら管理費が安くても管理の質が低いのでしたら問題です。

周辺地域の同規模マンションと管理費を比べて、他と比べて安すぎないか、また逆に高すぎないかを確認しましょう。

★ポイント★

売主が管理費や修繕積立金を滞納していた場合、滞納額の支払義務は区分所有者の変更とともに買主に承継されます。

 

◎修繕積立金

修繕積立金は、将来的な大規模修繕工事のために各区分の所有者が積み立てるお金です。

新築マンションでは販売促進の目的で修繕積立金を低く設定しているケースもありますが、4~5年後に値上げする可能性もあるので要注意です。

修繕積立金の累計額を確認する際には金額の大小よりも、今後の大規模修繕工事を滞りなく実施できるだけの蓄えがあるかどうかが大切です。

金融機関から借り入れしないですむか、長期修繕計画書や過去の実施履歴を元に確認する必要があります。

 

◎管理規約・使用細則

建築後長年経過しているマンションでは、管理規約や使用細則が総会で改定されている可能性があります。

物件調査や重要事項説明では必ず最新版を入手しましょう。

特に使用細則は、マンションで暮らす際のさまざまな決まりごとが確認できます。収益物件として賃貸に出す際にも必要な情報です。

 

◎専有用途の使用制限

マンションによっては専有部分を居住用に限定している物件もあります。

住居兼事務所として利用しようと考えている買主がいたら、規約上の用途制限も必ず確認しましょう。

 

◎駐車場使用権

お客様が勘違いしていることが多いのが駐車場使用権の問題です。

駐車場権利付マンションを除く一般的なマンションでは、区分所有者が変更されると駐車場使用権は消滅します。

駐車場の使用権は買主に承継されないので、誤解のないように買主に説明しておきましょう。

 

◎ペット飼育の制限

最近ではペット可マンションも増えてきましたが、飼育可能なペットの種類や頭数に制限を設けているところが多いため、管理規約、使用細則で詳細を確認する必要があります。

また、飼育条件についても忘れずに確認しましょう。

飼い主のマナーが管理組合の総会議題に繰り返し挙げられているマンションは、今後の規約改定でペット不可となる可能性もあるので要注意です。

 

◎フローリング規制

リフォーム・リノベーションを予定している場合、フローリングの規制を確認する必要があります。

一定の遮音基準を設けているか、マンションによってはフローリング自体を禁じている可能性もありますので、規約上の定めを確認しましょう。

 

大規模修繕工事の確認事項

◎実施計画

今後の大規模修繕工事実施予定を長期修繕計画書により確認します。

現在予定されている大規模修繕工事が長期修繕計画と大幅にズレていないか、積立金の改定予定がないかどうか確認しましょう。

 

◎実施履歴

過去の大規模修繕工事の実施履歴は、中古マンションの資産価値を決める重要な項目です。

金融機関が担保評価をする際にも重要視している項目なので、修繕履歴でしっかりチェックしましょう。

 

◎アスベスト調査

石綿(アスベスト)が人体に与える影響は大きな社会問題になっていますが、いまだに石綿使用調査を実施していないマンションも多く存在しています。

宅建業者としては大切なお客様の健康を守るためにも、たとえ築年数が浅いマンションであってもアスベストの含有有無は確認するべきです。

もし実施歴がない場合には、その旨をお客様に説明しましょう。

 

◎耐震診断

耐震診断とは、建築基準法の改正前の昭和56年5月31日以前に建築確認申請を行った旧耐震基準の建築物が、現在の耐震基準を満たしているか診断するものです。

強度不足と診断された建築物の場合、金融機関の担保評価でも非常に厳しい評価がされます。

旧耐震基準の建物で耐震診断が未実施のマンションや、耐震診断の結果で強度が不足していたのに補強工事が行われていないマンションは、事前に金融機関の見解を確認しておくべきでしょう。

 

管理組合の運営状態

◎委託形態

管理会社の委託形態は全部委託一部委託とに分かれますので、そのどちらになるかを確認します。

また管理会社の営業時間や定休日、緊急時連絡先、管理人の勤務形態(住み込み・日勤)も確認します。

さらに、過去の管理会社変更履歴、現在の管理人の担当年数も一緒に確認しておきましょう。

 

◎借入金

管理組合が金融機関に借り入れを行っている場合、融資残額と完済予定を確認します。

また、大規模修繕工事実施のための今後の借り入れ予定があるか、各区分所有者への一時金の徴収予定があるかも確認します。

 

まとめ

今回はマンションの管理組合を調査するうえで、必ず確認しておきたいポイントについて解説しました。

最初にも述べたとおり、管理組合の質はマンションの住み心地を大きく左右します。

買主がマンション購入後に後悔することがないように、しっかりとした調査を行い、買主に正しい情報を提供しましょう。

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