付記登記とは|言葉の意味と代表的な登記の例を解説
不動産の登記を行ったあと、登記した方の指名や住所が変わることはよくあります。そのようなケースで利用されるのが「付記登記」です。
お客様から問い合わせが来た際に、仕組みを理解していないとスムーズに回答ができません。
本記事では付記登記の基本や目的、具体的な利用事例について紹介しているので、この機会に制度内容について理解を深めておきましょう。
そもそも「付記」とは何か
「付記」とは、あるものに付け加える形で記されたものを指します。書物の本文がある場合に、それに何かを付け加えて書き示す場合は「付記」という言葉を使います。
いわゆる「備考」のことを指すのが一般的です。後述する「補記」のように文章を補うというよりも、単純に付け足すという意味合いがあります。
付記・補記・追記の違い
付記に似た表現に「補記」「追記」があり、それぞれ以下のように言葉の意味が異なります。
- 補記:書面の内容を更に補うために書き足すこと
- 追記:後ろから更に書き足すこと
補記は、古典などで文章の内容が分かりやすくなるように注釈を入れるといった使われ方がされます。追記は手紙の追伸のように、書き忘れた内容を追加で記載する際に使われることが一般的です。
「付記」言葉の意味を理解できたところで、本題の付記登記の意味を見ていきましょう。
付記登記とは
付記登記は、既存の登記に付け加える形で登記事項の一部を変更・更生することで主登記を維持する登記です。登記名義人の表示を変更する必要があった場合に、権利の内容や登記の順位は変動させず、主登記に付随する形で付記登記を行います。
付記登記が記載される場合、主登記の順位番号をそのまま用いて「付記〇号」と記載されます。
主登記の内容を変更するための登記
登記は順位番号の欄の違いで「主登記」「付記登記」に分かれます。
順位番号がついた登記が主登記であり、その主登記の内容を変更するために行われるのが付記登記です。順位番号1番の主登記に対する付記登記であれば、その付記登記の番号は「付記1号」になり、主登記の下に記録されます。
主登記のすぐ下で記録されることで、登記との関連性が分かりやすくなっているのも特徴です。
付記登記の代表的な目的
付記登記が用いられる目的は「主登記との同一性・関連性を分かりやすく公示すること」と、「主登記と同一の順位を有することを公示するため」です。
付記登記の代表的な使われ方としては「登記名義人の氏名もしくは名称、住所の変更または更生の登記」があります。
名義人の名前を変更する場合などが分かりやすいでしょう。新しく順位番号で名前の変更を行うよりも、主登記に付随する形で付記登記を行ったほうがひと目見てわかりやすい表記になります。
そのほか、登記名義人が引っ越して住所が変更になった場合も同様です。
以下の記事ではそもそもの「登記」について解説しています。付記登記をより深く理解したい方は、基本になる登記について読み進めてみてください。
あわせて読みたい:不動産登記(建物登記)とは|かかる日数や費用、申請手順を徹底解説
所有権移転の付記登記の例:買戻特約の登記
付記登記を用いる代表的な事例として、買戻特約の登記があります。特約を付加する際は、所有権移転登記の付記登記を行います。
ここでは買戻特約の登記について、基本的な内容を見ていきましょう。
売却後でも不動産を取り戻すことができる登記
買戻特約は「不動産の売買契約から一定期間が経過したあとで、売買代金と契約にかかった諸費用を売主から買主に払い戻すことで不動産を取り戻せる特約」です。
もとは担保に利用されていた特約ですが、現在では都道府県や市区当村などの公的機関が宅地分譲をする際に利用されます。
買主が自ら居住することを条件に一定期間の転売を禁止し、もし守らずに転売した場合は買い戻すというのが一般的な使われ方です。
買戻特約の登記を付記登記で行う
買戻特約の登記は、売買による所有権移転と同時に行う必要があります。
所有権移転登記申請と同一番号による付記で行われた付記登記の買戻期間が満了していないと、売買契約を結ぶことはできません。
買戻特約の前になされた所有権移転登記・抵当権設定登記では買い戻しの実行に対抗できないためです。所有権を移転するなら特約期間の終了を待つことになります。
なお、所有権移転登記についての詳細は以下で解説しています。登記の基本である所有権移転登記について知りたい方は、こちらも併せて読み進めてみて下さい。
あわせて読みたい:所有権移転登記とは何かわかりやすく解説|費用や必要書類、誰がするのかも紹介
まとめ
付記登記は登記した人の指名や住所が変わった時はもちろん、買戻特約登記などの事例でも利用されます。
この機会に制度内容を理解し、お客様から問い合わせがあった際に回答できるように準備をしておきましょう。
今回の付記登記のような言葉として「仮登記」もあります。以下の記事で詳細に解説しているので、ぜひ読み進めてみてください。
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