不動産関係のいろいろな物権について学ぶ|地役権・相隣関係・地上権とは

投稿日 : 2020年05月10日/更新日 : 2023年01月24日

民法の規定では、いろいろな物権が認められています。

不動産関係の物権として代表的な所有権や抵当権以外にも、土地建物を購入された買主様が安心して暮らすための、そして、それぞれの土地所有者の暮らしを守るための物権の種類はたくさんあります。

今回は不動産関係の多くの物権の中から、地役権・相隣関係・地上権について解説します。

 

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「地役権」「相隣関係」「地上権」の試験科目

権利関係

「地役権」「相隣関係」「地上権」が含まれる試験分野

物権

「相隣関係」「地役権」「地上権」の重要度

★ ☆ ☆ ☆ ☆ 宅建試験ではほとんど出題されません

「地役権」「相隣関係」「地上権」過去10年の出題率

10%

 

2020年宅建試験のヤマ張り予想

これまでの宅建試験では、本記事でご説明する項目に関する出題はほとんどされていません。そのため試験対策として考えれば、勉強のウェートを多少下げても得点率への影響はあまりないとも言えます。

ただし本記事の内容は宅建業の実務上では買主様の生活の利便性に深く関わってきますので、覚えておいて損はない項目です。

 

「地役権」の解説

 

所有している土地が公道に面していない袋地などの場合は、他人の土地を通らないと外に出ることができません。

そのような土地でも所有者が敷地を活用できるように、他の土地を利用するための地役権を設定できます。

 

要益地と承益地

地役権により便益を得られる土地を要益地、要益地の便益のために利用する土地を承益地と呼びます。

要益地の所有権が複数名による共有の場合には、地役権は共有者全員が取得します。

 

地役権の目的

地役権の内容は通行に限らず、公序良俗に反しない限りはどのような用途であっても設定できます。

ただしその用途は「人」ではなく「土地」の便益のためである必要があり、承益地の損害は最小限にしなければいけないという決まりがあります。

 

「相隣関係」の解説

 

地役権は、隣家などの相隣関係にある人々が協力しあって生活できるように定められた権利ですが、他にも相隣関係の規定はいくつかあります。

 

相隣関係の例

代表的な相隣関係の規定は以下のようなものです。

  • 隣地との境界線付近で建物を築造する際に、土地所有者は当該隣地の使用を必要の範囲で請求できる
  • 他人の宅地を観望できる窓または縁側を設置する場合、他の土地の境界線から1m未満であれば目隠しを付ける必要がある
  • 隣地に張り出した木の枝、木の根は隣地の要望に応じて伐採しなければならない

 

「地上権」の解説

 

地上権は地役権と似た言葉ですが、建物等の工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利のことです。具体的な工作物として橋やトンネル、井戸などがあります。

地上権は地下や空間などにも設定できるため、地下鉄などを地下に通す際にも地上権が設定されます。

地上権の登記をした者は、土地を自ら使用する以外にも譲渡・転売等が行えます。また地上権の登記を行っていれば、相続した第三者も地上権が主張できます。

 

「地役権」「相隣関係」「地上権」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

民法(令和2年3月1日時点)

210条(公道に至るための他の土地の通行権)

他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖がけがあって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

 

211

前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

 

280条(地役権の内容)

地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

 

265条(地上権の内容)

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

 

実際に過去問を解いてみよう

問題:

甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、甲土地の所有者Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できる。(平成25年度本試験 問3より改題)

答え:×(できない)

 

解説

袋地の所有者は公道に出るために他人の土地を通行することができますが、その場所および方法は「他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない」ため、囲んでいる他の土地を「自由に選んで通行できる」わけではありません。

 

「地役権」「相隣関係」「地上権」ポイントのまとめ

この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 地役権は要益地の便益のために承益地を利用する権利
  2. 近隣と協力しあって暮らすために相隣関係の規定がある
  3. 地上権は他人の土地で工作物や竹木を所有するためにその土地を使用できる権利

 

最後に

 

今回は不動産に関係するいろいろな物権の中から、地役権・相隣関係・地上権について解説しました。

土地建物を購入された買主様が近隣住民や他の土地の所有者・使用者と円滑な関係を築きながら生活するためには、不動産関係の物権の豊富な知識を持つ宅建業者のアドバイスが必要になってきます。

お客様が土地建物を購入後に快適に暮らせるよう、さまざまな知識を持っておきましょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。
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