専有部分とはマンションのどこを指すのか|意味と共用部分との違いも解説

投稿日 : 2020年04月19日

マンションには専有部分と共用部分がありますが、その定義は意外とわかりにくく、マンションによる違いもあります。

専有部分は所有者が自由にリフォームを行うことができますが、共用部分は管理組合が修繕を行う必要があります。

ここでは区分所有法やマンション標準管理規約をもとに、専有部分とは何かを解説するとともに、共用部分との違いにも触れていきます。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

「専有部分」とは区分所有者が単独で所有している部分

分譲マンションなどの区分所有建物には、専有部分と共用部分があります。

区分所有建物とは、構造上区分され、部分ごとに独立した住居や店舗、事務所などの用途で利用できる建物です。

専有部分とは区分所有者が単独で所有している部分をいいます。

マンションの専有部分は、○○号室として区切られた躯体の壁や床、天井の内側の空間です。

 

 

マンションの専有部分は法律で決められている

マンションの専有部分については、区分所有法という法律やマンションごとに決められた管理規約によって、定められています。

 

区分所有法での専有部分の決まり

区分所有法とは、正式には「建物の区分所有等に関する法律」といい、マンション法とも呼ばれています。

区分所有法はマンションなどの区分所有建物の専有部分や共用部分、敷地に関する権利関係を明確にするとともに、共用部分の共同管理の方法を定めた法律です。

 

区分所有法の第2条3項で、専有部分は、「区分所有権の目的たる建物の部分」と規定されています。

また、区分所有権の目的となるものは、第1条で「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの」とされています。

 

引用元:建物の区分所有等に関する法律第1条・第2条

 

つまり、区分所有法では、構造上区分された部分が専有部分と規定されています。

 

マンション標準管理規約での専有部分の決まり

専有部分については、管理規約の中でも定められています。

管理規約とは区分所有法に基づいて設定される、建物や敷地・付属施設の管理などについて定める規則です。

所有者で構成される管理組合によって、個々のマンションの実情に合わせて決められています。

管理規約については、国土交通省によって定められたガイドラインがあり、「マンション標準管理規約」と呼ばれています。

多くのマンションは「マンション標準管理規約」に沿って管理規約を決めています。

 

マンション標準管理規約の第7条で、専有部分は「住戸番号を付した住戸」と規定されています。

また、専有部分の範囲は、「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分」で、「玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分」、「窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれない」と定められています。

「専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする」という規定も設けられています。

 

引用元:マンション標準管理規約第7条

 

つまり、「○○号室」として区切られた部分が専有部分ですが、躯体の天井や壁、床、窓枠や窓ガラスは除かれます。

玄関扉で専有部分になるのは錠と内装部分のみです。

また、配管や配線は、「○○号室」として区切られた部分内にあるもののみが専有部分になります。

 

 

具体的な専有部分の例

区分所有法やマンション標準管理規約による専有部分はどのような場所なのか、具体的な例を挙げていきます。

 

<主な専有部分の例>

  • 石膏ボート
  • 壁紙やフローリング、畳などの内装材
  • 躯体以外の間仕切り壁
  • 玄関扉の錠や内装
  • 室内のドア、引き戸、襖
  • キッチン、レンジフード、ユニットバス、トイレ
  • クローゼット、押し入れ

 

 

「共用部分」とは専有部分以外の部分のこと

 

マンションの共用部分とは専有部分以外の場所をいいます。

共用部分には、区分所有法で定められた法定共用部分と、管理規約による規約共用部分があります。

 

区分所有法での共用部分の決まり

区分所有法の第11条1項に、「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する」という規定があり、共用部分は原則として、区分所有者全員の所有物です。

区分所有法では、第2条4項で、共用部分は「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物」と「第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物」とされています。

 

引用元:建物の区分所有等に関する法律第2条4項・第11条1項

 

「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物」に該当するものが法定共用部分であり、外壁などの躯体や独立性のない区画である共用廊下・エントランスホール・エレベーターなどが該当します。

また、「第4条第2項の規定により共用部分とされた附属の建物」に該当するのが、管理規約で規定する規約共用部分です。

 

マンション標準管理規約での共用部分の決まり

マンション標準管理規約の別表第2では、具体的に共用部分に該当するものが3つのカテゴリ別にまとめられています。

 

1.専有部分に属さない建物の部分
エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2.専有部分に属さない建物の附属物
エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インター ネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
3.管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物

 

この別表第2には、法的共用部分以外に規約共用部分も含まれ、3が該当します。

 

区分所有法では専有部分と共用部分の境界が明確には決められておらず、曖昧な部分があります。

そのため、そういった箇所は、マンション標準管理規約を参考に、個々のマンションが管理規約で定めているのです。

 

 

具体的な共用部分の例

区分所有法やマンション標準管理規約によって定められた主な共用部分の例を挙げていきます。

 

<主な共有部分の例>

  • エントランスホール
  • エレベーター
  • 共用廊下、階段
  • 管理員室
  • 集会室
  • 駐車場
  • ゴミ置き場
  • 屋根や支柱、外壁などの躯体
  • パイプシャフト
  • インターネット設備
  • バルコニー・ルーフバルコニー・専用庭

 

 

専有部分と共用部分の違い

専有部分を共用部分の違いを大まかに見分けるには、以下のポイントが挙げられます。

  • 専有部分はコンクリートの躯体の内側
  • 共用部分は専有部分以外

天井や壁、床のコンクリートで造られた躯体の内側が専有部分です。専有部分は管理規約による規定を遵守したうえで、自由にリフォームすることができます。

 

共用部分は専有部分以外が該当します。共用部分は区分所有者全員の共有ですので、自由にリフォームすることはできません。

 

 

専有部分と共用部分の不明確さ

 

専有部分と共用部分の境界線は区分所有法では曖昧であり、マンションごとに管理規約で定められているため、マンションによって異なる部分もあります。

専有部分と共有部分を決める基準には、上塗基準と壁芯基準があります。

 

上塗基準は、躯体のコンクリートスラブは全て共用部分で、天井や壁、床などのコンクリートスラブの仕上げ部分の内側を専有部分とするものです。

壁芯基準では、境界部分の躯体の厚さの中心からを専有部分とします。

標準管理規約で上塗基準を採用しているため、管理規約で上塗基準を採用するマンションが多いです。

 

管理規約で専有部分と共用部分がどのように決められているのかを知りたいときは、管理会社に問い合わせれば確認できます。

 

専有部分と共用部分の区分で、マンションによって異なる主な部分として以下が挙げられます。

<マンションによって異なる主な部分>

  • 天井や壁、床などの躯体
  • 玄関ドア
  • 窓枠、窓ガラス
  • 給水管
  • 電気配線

 

 

マンションの専有部分の修繕で起きるトラブル

マンションでは専有部分と共用部分の区分がわかりにくいことから、共用部分のリフォームや修繕を勝手に行ってしまい、トラブルになるケースがあります。

また、修繕費用は、共用部分は所有者で構成される管理組合の負担ですが、専有部分は所有者の負担になるため、費用負担を巡るトラブルも起こりがちです。

ここではマンションの専有部分や共用部分の修繕で起きやすい具体的なトラブル事例を紹介します。

 

水漏れなどで配管の修繕が必要になった場合

配管から水漏れが起こると、配管自体の修繕費用が掛かる以外に、階下の住戸の天井や壁の壁紙の張り替え、水濡れによって故障した家電などの損害賠償費用も発生することが多いです。

管理規約にもよりますが、標準管理規約に沿っている場合は、共用部分内の配管は共用部分、専有部分内の配管は専有部分になります。

共用部分の配管であれば管理組合が修繕費用などを負担しますが、専有部分の場合は所有者の負担です。

 

配管からの水漏れが発生した際には、管理会社や管理組合に連絡を入れて、原因を突き止めた後、対応を協議します。

専有部分の水漏れを防ぐためには、適切な時期に配管を交換しておくことが大切です。

また、マンション全体で排水管洗浄を行う際には自身の専有部分に対しても必ず洗浄を実施し、排水管の詰まりを予防します。

さらに、万が一、専有部分の配管の水漏れが起きた場合に備えて、火災保険に個人賠償責任保険を付帯しておくべきです。

 

窓や窓枠の破損があった場合

窓ガラスや窓枠の破損が起きた場合も、費用負担について揉めるケースが多いです。

多くのマンションでは標準管理規約に則って、窓ガラスや窓枠は共用部分とされています。共用部分であれば、窓ガラスなどの破損の修繕は管理組合の負担と考えるかもしれません。

しかし、窓枠や窓ガラスは特定の所有者が使用できる専用使用権があるため、通常の使用に伴う修繕費用は所有者の負担となります。

たとえば、築3年程度で一室のガラスにひび割れが生じていた場合も、所有者の自己負担になると考えられます。

 

大規模修繕の際に窓枠や窓ガラスを交換する場合以外は、修繕費用は原則として所有者の負担です。

管理規約で窓ガラスや窓枠が共用部分であるか、専用使用権が付与されているかなど、権利関係を確認しておくことが大切です。

 

玄関扉を交換したい場合

玄関扉は標準管理規約に従うと共用部分であり、内側の塗装のみ自由にできるように管理規約で定められていることが一般的です。

そのため、大規模修繕で一斉に交換することが一般的であり、一戸だけ違うデザインの玄関ドアに交換することはできません。

 

また、標準管理規約では錠の部分は専有部分とされていますが、最近はオートロックを採用しているマンションが多く、管理規約で勝手に交換できないよう規定があるケースが少なくありません。

マンションの鍵を交換する場合にも、管理会社や管理組合に問い合わせる必要があります。

 

バルコニーをリフォームしたい場合

バルコニーは住戸に付属しているため、専有部分と勘違いしやすく、リフォームができる考えるかもしれません。

しかし、バルコニーは共用部分です。

専用使用権が付与されているため、所有者が独占して利用することが認められていますが、リフォームをすることはできません。

バルコニーにサンルームを造る、部屋を設けるといったことはNGです。また、固定式の物干し金具増設や移設といった簡易なリフォームも、管理組合の許可なく、勝手に行うことはできません。

バルコニーに置き式のタイルやウッドデッキを敷く、管理規約で禁止されていない範囲内でガーデニングを楽しむといったことは可能です。

ただし、バルコニーは避難通路でもあるため、避難の妨げになるような物を置くことは厳禁です。

 

専有部分のリフォームなどには「専有部分工事申請書」が必要

マンションの専有部分は所有者がリフォームできる部分です。ただし、多くのマンションの管理組合では管理規約による規定を別途設けているため、その規定を遵守することが大切です。

 

マンションでは専有部分と共用部分の区分はわかりにくいことがあります。共用部分をリフォーム対象としていないか、マンション独自のリフォーム規定を逸脱していないかなどをしっかりとチェックするようにしましょう。

独自のルールでは、フローリングの遮音性能を規定しているケースが多く、水回りの位置の移動を禁止しているマンションもあります。

また、多くのマンションでは、リフォームを行う前に管理組合の承認を得ることが必要です。

専有部分のリフォームを行う際には、専有部分工事申請書に設計書や仕様書、工程表を添付して、管理組合の理事長に提出します。管理組合から正式に工事の承認が下り後、工事に着工できます。

その前に工事に着工すると、工事を差し止められたり、原状回復を求められたりすることもありますので注意が必要です。

なお、マンション全体の建て替えに関しては、「マンション建て替えに関する法律|区分所有権のあり方と円滑化法による事業」で詳しく解説しています。

 

まとめ

不動産営業としてマンションの売買やリフォームの受注を行うには、共用部分と専有部分の違いは理解しておきたいポイントです。

お客様に適切なご案内ができるよう、区部所有法やマンション標準管理規約による決まりを覚えておくことが大切です。また、実際の物件では、管理会社を通じて管理規約を確認するようにしましょう。