秘密保持契約書(CA)とは?不動産業界でCAが求められる理由も解説

投稿日 : 2023年11月06日

CAとは、個人や法人間で取引を行う際、秘密情報を守るために締結する契約です。不動産取引においては、購入検討者とオーナー様、不動産事業者とお客様の間で締結するケースが一般的となっています。

不動産事業者は、事業の性質上、お客様の個人情報など重要な情報を取り扱う立場にあるため、守秘義務に関する知識を深めておくことが大切です。

今回は、CAの基本的な知識や具体的な書き方について解説します。

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CAとは

CAとは、個人や法人間で取引を行う際、秘密情報を守るために締結する契約です。

Confidentiality Agreementの頭文字を取ってCAと呼ばれ、NDA(Non-disclosure agreement)、機密保持契約、守秘義務契約と呼ばれることもあります。

秘密保持契約書(CA)を締結することは、取引上で知った相手方の秘密情報や個人情報などを相手の許可なく第三者に漏らさないと約束することを意味します。

不動産業界で秘密保持契約書(CA)が求められる理由

不動産業界では、以下2つのケースで秘密保持契約(CA)が締結されることが一般的です。

  • オーナー様の秘密情報を守るために、購入検討者とオーナー様の間で締結する
  • お客様の個人情報を守るために、不動産会社とお客様の間で締結する

秘密保持契約書(CA)は、個人や法人の利益を守るために締結します。

本来、重要な情報は第三者に開示しないことが望ましいですが、不動産取引を進めるためには開示しなければいけないケースがあります。

そのような時に秘密保持契約書(CA)を締結して相手に秘密を守ることを約束してもらい、自分の利益を守る仕組みです。

オーナー様の秘密を守るため

不動産取引では、物件のオーナー様と購入検討者の間で秘密保持契約書(CA)を取り交わすケースが一般的です。

オーナー様の個人情報や投資用不動産の賃貸借契約の内容など、一般的に第三者が知り得ない情報を購入検討者へ開示していただく必要があります。秘密情報に該当する情報の中には、情報が外に漏れることで開示した側が被害を被るリスクもあるでしょう。

そのようなケースで購入検討者に秘密保持契約書(CA)を締結していただくことで、情報を開示するオーナー様を守ることができます。

また、不動産の購入を検討する課程では、オーナー様の秘密情報を確認する必要があるのは購入検討者だけではありません。購入検討者から税理士、不動産鑑定士、購入検討者の借入先の金融機関など、多くの専門家へオーナー様や物件の情報を開示する場合があります。

それらの外注先への秘密保持義務は、購入検討者の責任において、購入検討者と外注先でCAを締結していただくケースが一般的です。

顧客の情報を守るため

秘密情報を守る義務があるのは、購入検討者だけではありません。

宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者は正当な理由がある場合でなければ、業務上で知り得た個人情報や不動産の査定に関する情報を第三者に漏らしてはいけないと定められています。

宅地建物取引業法 第45条(秘密を守る義務)では、”宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなった後であつても、また同様とする。”

引用元:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索

 

不動産会社は、事業の性質上、他人の秘密に属する情報を知る機会が多いため、売買に限らず賃貸でも秘密情報を守る責任があります。

例えば、不動産会社がマンションの仲介をした場合、入居者の情報などマンション全体のさまざまな情報を知ることが可能です。有名人の〇〇さんが住んでいることを第三者に伝えるなど、プライバシーを侵害する行為は禁止されていると考えられています。

お客様の中には個人情報の漏洩を心配される方もいらっしゃるので、秘密保持契約書(CA)を締結して秘密情報を守ることを約束することで、お客様に安心して取引していただけます。

秘密保持契約書(CA)が利用される場面

秘密保持契約書(CA)は、情報漏洩されると困る場合などあらゆる場面で有効です。

具体的には、以下のケースがあります。

  • 業務を外注する時(業務委託契約を締結する時)
  • 他社と新規取引する時
  • M&Aを検討する時
  • 代理店に販売を業務委託する時
  • 自社の従業員に重要機密を扱わせる時

など

秘密保持契約書(CA)の書き方

秘密保持契約書(CA)は、どちらかが一方的に作成するものではなく、双方で協議しながら作成します。一般的に情報を開示する側は秘密情報を幅広く保護したいと考え、開示される側は、できるだけ秘密保持の範囲を狭くしたいと考えるでしょう。

ただし、情報漏洩のリスクを負うのは開示する側になるため、「情報開示の目的」など当事者間で共通の認識を持っておくことが大切です。

ここでは、一般的に秘密保持契約書(CA)を作成する際に必要な条項について解説します。

作成に必要な条項

秘密保持契約書(CA)の作成に必要な条項を、以下の表にまとめました。

条項 内容
タイトル 秘密保持契約書である旨を記載します。
契約者当事者の情報 誰と誰の間での契約なのかを明確にしましょう。
契約の目的 契約を交わす目的を記載すると、秘密情報の目的外での利用防止につながります。
秘密保持義務の範囲 情報を保護するために何をするべきか、してはいけないことを記載します。
秘密情報の定義 どの情報を保護の対象にするかを明確にしておく必要があります。
開示命令の場合の特例 裁判所や行政機関から法令に基づき開示を命じられた場合は開示できるなど、特例を記載しておきましょう。
秘密情報の返還 要求があった場合、返還または破棄するなどを記載します。
秘密情報の管理 事前の承諾なく複製を禁止するなど管理に関する条項です。
義務違反をしたときの効果 秘密保持義務に違反したらどのような効果があるのか、損害賠償、業務委託契約の解除などを記載します。
秘密保持の有効期限 秘密保持の契約期間です。ただし、契約が終了しても秘密に価値がなくならないケースが一般的のため、契約後〇年、秘密保持義務が継続するなどの文言を加える場合があります。
準拠法・合意管轄裁判所 どこの国の法律が適用され、紛争時はどこの国の裁判所が管轄となるのか記載します。

秘密保持契約書(CA)のひな形が利用できるサイト紹介

秘密保持契約書(CA)のひな形は、リアルターのメディアからダウンロード可能です。

ただし、具体的な内容に関しては個別の案件によって異なりますので、あくまでも参考程度にご覧ください。

まとめ

宅地建物取引業者として事業を行う際、お客様の大切な情報を扱う機会がたくさんあります。お客様の守秘義務についての知識を深め、大切な個人情報を正しく扱いましょう。

また、不動産売買仲介をする場合、自社だけでなく、購入検討者の方にも守秘義務についてよく理解していただく必要があります。なぜCAを締結する必要があるのかをしっかりと説明することで、トラブル防止につながります。