都市計画で非線引き区域はどう扱われるか|概要とメリット・デメリット

投稿日 : 2020年03月15日

用途地域に関連する用語の中に非線引き区域という言葉があります。

この非線引き区域とは何でしょうか。また、どうして非線引き区域は他の地域と同じように区分がされないのでしょうか。

今回は非線引き区域に関する説明と、非線引き区域内の不動産を取り扱う際に知っておきたい事項をまとめました。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

非線引き区域とは

 

実は非線引き区域という名称は法律上の用語ではありません。正確には「区域区分が定められていない都市計画区域」と言います。

字を見て分かる通り、都市計画区域の中でも特定の区域区分がされていないエリアのことを指します。

非線引き区域に指定されるエリアは人家や商品・田畑などが混在し、この先の急激な市街化開発の可能性が低いと想定されている場所が多い特徴があります。

 

都市計画区域内の線引き

非線引き区域は都市計画法と密接な関係があります。

都市計画法に基づいて市町村マスタープラン(市町村の都市計画に関する基本的な方針)を策定している自治体は、都市計画を定めるエリアを都市計画区域に、都市計画を考えないエリアを都市計画区域外に分け、都市計画区域内におけるまちづくりの計画を立てています。

画像引用:国土交通省 北海道開発局

つまり非線引き区域は、もともと都市計画区域の中に含まれているエリアです。

 

線引き(区域区分)とは

今度は、都市計画区域として指定されたエリアを市街化区域市街化調整区域に分けていきます。この作業を線引き(区域区分)と言います。

市街化区域は住宅や店舗、ビルなどが既に建ち並んでいて、居住人口も多いにぎやかな場所です。対して市街化調整区域には現時点で建物がほとんどなく、農地や森林が多い場所となります。市街化調整区域には原則として新たな建物は建てられません。

都市計画区域内を市街化区域と市街化調整区域に線引きすることで、無秩序な市街化開発を抑制する効果があります。

そして線引きを行う際には、市街化区域とも市街化調整区域とも判別し難いグレーゾーンがどうしても出てきます。グレーゾーンはあえて区域区分せずに保留状態のままとします。

このグレーゾーンエリアが非線引き区域です。

 

未線引き区域とは

非線引き区域のことを未線引き区域と呼ぶ人がいます。この呼び方は間違ってはいませんが、今ではもう使われていない呼び方です。2000年の都市計画法改正に伴い未線引き区域の名称が廃止されました。

現在では未線引き区域ではなく非線引き区域と一般的に呼ばれています。

 

非線引き区域の用途地域

区域区分された市街化区域・市街化調整区域とも、それぞれ細かく用途地域が定められています。

 

画像引用:千葉市ホームページ|用途地域

 

非線引き区域では、特に用途地域を定める必要はありません。しかし自治体独自の判断により非線引き区域でも用途地域を定めることは可能です。

 

非線引き白地地域

非線引き区域の中でも用途地域の指定がないエリアのことを非線引き白地地域と言います。

しかしまったく非線引き白地地域に規制をかけない状態では、むやみな開発や不適切な施設の建築がなされてしまう可能性があります。そのため自治体判断により、非線引き白地地域に特定用途制限を設けている場合があります。

 

非線引き区域と都市計画区域外は同じ?

 

ここでひとつ疑問が生じます。非線引き区域には特定の用途を定めなくても良いのであれば、結局のところ都市計画区域外と同じ扱いになるのではないでしょうか。

市街化区域にも市街化調整区域にも該当しないエリアであれば、そもそも都市計画区域に含めなくても良いような気もします。市街化をするにせよしないにせよ、まちづくりを計画する上で空白のエリアを作ってしまっても良いのでしょうか。

その答えは、非線引き区域と都市計画区域外がそれぞれ市町村マスタープランの中でどのような立ち位置にあるのかを考えると理解できます。

 

①非線引き区域 将来的にはまちづくり計画を進めておくことが想定されるが、まだ方向性が決まっていないエリア
②都市計画区域外 将来的な開発の可能性がほとんどなく、規定を定めなくても問題ないエリア

 

上記2つを比較すると、現時点での状況は同じようでも、将来的な可能性に違いがあることがわかります。

 

非線引き区域の割合

全国的に見ると、都市計画区域のうち線引き都市計画区域は約51%、非線引き都市計画区域は約48%です。およそ半分が非線引き区域になっています。

 

画像引用:国土交通省都市局|道路上空を活用した土地の有効活用の推進

 

都道府県ごとの非線引き区域の割合は公表されていませんが、都市計画法では以下の地域の区域区分は必ず定めなければならないとされています。

そのため東京都や大阪府などは非線引き区域の割合が下がる傾向にあります。

 

イ 首都圏整備法第二条第三項に規定する既成市街地又は同条第四項に規定する近郊整備地帯

ロ 近畿圏整備法第二条第三項に規定する既成都市区域又は同条第四項に規定する近郊整備区域

ハ 中部圏開発整備法第二条第三項に規定する都市整備区域

引用:電子政府の総合窓口e-Gov|都市計画法(第7条より抜粋)

非線引き区域に住宅建築は許可されるか

市街化区域では住宅等の建築ができ、市街化調整区域では許可を得た場合を除いて建築ができません。

では非線引き区域は住宅等の建築に許可は必要でしょうか。また建築制限はあるのでしょうか。

結論から言えば、非線引き区域での建築は可能です。定められた用途地域の範囲内であれば、特に建築制限が設けられてもいません。

ただし現時点で非線引き区域とされているエリアでも将来的には線引きが行われる可能性がありますので、対象地区の物件を取り扱う際には常に最新の情報を確認しましょう。

 

農地転用の場合

非線引き区域の中で用途地域が農地に指定されている場合には注意が必要です。

農地法では農地転用の許可に制限を設けています。農地転用を希望する理由と面積に応じて、自治体の農業委員会もしくは知事の許可が必要です。

 

画像引用:糸魚川市ホームページ|農地転用(農地法第4条・第5条等)

 

許可基準は自治体により異なります。参考までに、新潟県糸魚川市の許可基準は以下のとおりです。

 

画像引用:糸魚川市ホームページ|農地転用(農地法第4条・第5条等)

 

非線引き区域のメリット・デメリット

 

これまでの説明をもとに、非線引き区域内の物件を取り扱う際に考えられるメリットとデメリットをまとめました。

 

メリット

非線引き区域は市街化区域や市街化調整区域よりも建築制限が緩いので、土地の売買が比較的自由に行えます。

ただし場所により用途地域が決められている土地や、特定用途制限が設けられている土地もあるので注意は必要です。

 

デメリット

土地の売却をする際には、そもそも非線引き区域の人口密度がまばらなために買い手が見つけづらいのがデメリットです。

また電気・ガスなどのライフラインや道路がきちんと整備されていないところも多いため、土地を購入される買主様には十分な説明により理解して頂く必要があります。

 

まとめ

 

今回は非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域)について解説しました。

非線引き区域は他の都市計画区域に比べて建築許可が比較的おりやすいために、土地媒介の際にも軽く考えてしまいがちです。しかし非線引き区域の中にもさまざまな規定や制限の違いがあるため、一律に扱ってしまうと思わぬ落とし穴があります。

非線引き区域の土地を売りたい・買いたいと希望するお客様にスムーズな媒介をして差し上げるためにも、非線引き区域の特徴をしっかりと理解しましょう。