【2022年最新版】不動産業界の今後の課題と将来性を詳しく解説

投稿日 : 2022年07月28日/更新日 : 2022年08月11日

不動産市場の今後

不動産業界は2010年代に入ってから日本銀行のマイナス金利政策などの恩恵もあり、躍進の10年でした。

ただ、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行で生活が一変、それまで好調だった不動産業界にも影響を与えています。

これから不動産業界を志す方にとって、今後の動向は気になるところではないでしょうか?

今回は不動産業界の現状と、今後の将来性・展望などについて紹介します。

不動産業界の市場規模と各社の売上

売り上げデータ

財務総合政策研究所の調査によると、2016年の不動産業界の売上高が42兆9,824億円だったところ、2021年は44兆3,182億円でした。5年で1.5兆円増と、直近5年の売上高でみると市場規模は増加しています。

出典:財務総合政策研究所|年次別法人企業統計調査(令和2年度)

では、業界のトップクラスの企業の売上規模を見てみましょう。

【不動産業界売上高(2020年)】

企業名 売上高
1位 三井不動産 2兆75億円
2位 三菱地所 1兆2,075億円
3位 大東建託 1兆142億円
4位 住友不動産 9,174億円
5位 東急不動産HD 9,077億円

出典:業界動向RESEACH.COM|不動産業界

5社を合計した売上高は約6兆円と、不動産業界全体の売上42兆円の15%にも満たない数字です。残りの売上は、その他大勢の企業によって得られています。

それだけ中小・零細を含めて数多くの企業が軒を連ねているということです。

不動産業界の現状と課題

不動産業界の現状と課題は以下のとおりです。

不動産会社の事業者数は増加の傾向

不動産流通推進センターの「2021不動産業統計集」によれば、不動産関係の法人数は増加傾向にあります。

令和元年の対前年増加率は2.9%と、コロナ禍であるにもかかわらず新しい不動産業者が次々と生まれているのが現状です。

出典:公益財団法人不動産流通推進センター|2021不動産業統計集

直近の不動産市場は縮小の傾向にある

不動産業者が増加を続ける一方、不動産業界の市場規模は縮小傾向にあります。

財務総合政策研究所の「年次別法人企業統計調査 令和2年度」を見ると、2018年の46兆5,363億円をピークに、2019年以降の売上が減少傾向にあることがわかっています。

ただ、新型コロナウイルスがまん延した当初こそ「東京の人口流出を招き、不動産需要が大きく失われる」といった懸念もありましたが、そこまでの状況にはなっていません。

新築住宅の着工件数は減少傾向

新築住宅の着工件数は減少傾向にあります。

国土交通省の「令和3年度住宅経済関連データ」によると、新築住宅着工数は2009年の775,000戸から2018年までの10年間で少しずつ上昇し、2018年には953,000戸になりました。

要因はさまざまですが、日本銀行のマイナス金利導入で住宅ローン金利が過去に例を見ないほど低かったことが大きいでしょう。

新規住宅着工数

画像引用:国土交通省|令和3年度住宅経済関連データ

しかし、2019年は884,000戸、2020年は812,000戸と2年連続で大きく落ち込んでいます。

新型コロナウィルス感染症の影響で事業が行えない企業が増加し、景気が悪化したことなどで新築住宅の需要は減少していることがわかります。

人材不足や後継者問題

日本で少子高齢化が進んでいるのは周知のとおりで、顧客の減少だけでなく、働き手の減少をもたらしています。

不動産業界に限らず人材不足が懸念されていて、労働環境を整備などによって働き手を確保することが急務です。

少数の従業員で事業を行う小規模な事業者の場合、経営者の高齢化で事業継承ができないという問題もあります。

不動産業界の今後はどうなる?将来性は?

方向性

今後の不動産業界の将来性と影響する材料について見ていきましょう。

業界天気図で見る不動産業界の将来性

帝国データバンクが100業界の動向を予測した「業界天気図」によると、2021年の動向と2022年の見通しは以下のとおりです。

【2021年の動向】

賃貸 戸建て マンション
曇り
前期竣工物件の通期貢献や商業施設の回復で堅調に推移
曇り増収・増益の基調
新築住宅着工件数で持ち家、貸家ともに持ち直しの動きがみられる 売上計上戸数の増減で業績の明暗が分かれた

【2022年見通し】

賃貸 戸建て マンション
曇り
人流回復が業績のカギになるが、新型コロナの収束次第。ポストコロナ時代を見据えたビジネスモデルの確立が進む
曇り
住宅取得支援施策の変化による影響が不透明。各社のブランド力を活かした事業展開が進む予定 税優遇が期待できる高い環境性能を有するマンションの需要が大きい

出典:帝国データバンク|業界天気図

2022年の市場動向について、賃貸に関しては「新型コロナウイルス感染症の流行次第」という見方がある一方で、戸建てやマンションについては各社のブランド力を活かした事業展開が進むと予想されています。

新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの、全体としては堅調という結果です。

大阪万博の存在

東京オリンピックの開催前には世界的な需要の強化もあって、景気も大きく上昇する傾向にありました。選手村として使用されるマンションや周辺の開発も盛んに行われ、不動産業界としては好調の時期だったと言えます。

ただし、コロナ禍によって1年延期の末に無観客開催という結果になりました。景気が過熱することがなく、バブルが弾けるという懸念も弱くなりました。

2025年には大阪万博の開催が決定しています。

外国人観光客向けの宿泊施設の建造などで不動産業も盛り上がりを見せていますが、コロナ禍が終わっていない限り東京オリンピックと同じ結果になってしまうことも懸念されています。

インバウンドによる不動産業界の盛り上がりが見込めるかは、コロナ禍の収束にかかっているといっても過言ではありません。

空き家が増加する2022年問題が控えている

不動産業界では農地が宅地として開放されることを指して「2022年問題」と呼んでいます。

2022年に「生産緑地」として指定された市街化区域内の農地を宅地に転換できるようになり、土地の過剰供給が起こることが懸念されている問題です。

生産緑地に指定された農地は営農以外の行為が制限される代わりに固定資産税が軽減され、相続税の納税猶予などの優遇措置が受けられます。

一度指定を受けると所有者が亡くなるなどの理由で農業を辞めるか、指定を受けた日から30年経過するまでは買取を申請したり売りに出したりすることができません。

多くの生産緑地が1992年に指定されてることから、30年を迎える2022年に固定資産税などの優遇がなくなり、土地の売却の傾向が強まると予想されています。

広大な土地が宅地化されると供給過多になり、不動産価格や賃貸物件の下落を招くことが懸念材料です。

しかし、2018年4月に生産緑地法が改正され、10年ごとの延長が可能になりました。改正都市計画法が施行されて用途地域に「田園住居地域」が加わり、旧生産緑地における建築制限が設けられたことも大規模な宅地化を防ぐ効果が期待されています。

いつか地価は下落するとしても、懸念された大暴落は起きないという見方に変わっています。とはいえ、今後は法改正の動向を見ながら不動産業界全体で対策を考える必要があるでしょう。

少子化・高齢化が不動産業界にも影響

住宅を購入する層の多くの割合を占めるのが30~40代の子育て世帯・若年層で、少子化が進むと住宅を購入する人口も減ることになります。

日本は世界でも少子高齢化が深刻な国の1つです。

高齢化と並行して総人口が減少傾向にあり、2004年をピークに右肩下がりで減り続けています。地方の人口の減少が特に大きく、空き家問題や地価の減少を招いているのが現状です。

ただ、不動産の需要がなくなることはない

このように不動産業界全体の現状や将来性は「新型コロナウイルス感染症」「少子高齢化」などの要因によって厳しい状況にあります。市場規模が減少しているのに不動産業者の数は右肩上がりで増えており、限られたパイの奪い合いによって不動産会社が減少することも考えられます。

ただ、1ついえることは「不動産業界の需要はなくならない」ということです。人がいる限りは住まいが必要で、社会活動にもインフラの整備が欠かせません。

コロナ後の世界を見据え、長期的な戦略で生き残りを図ることが各企業に求められています。

まとめ

今回は不動産業界の現状と、今後の将来性・展望などについて紹介しました。

新型コロナウイルス感染症に影響を受けた現在の不動産業界ですが、今後の復調のカギを握るのも、やはり新型コロナウィルス感染症の収束具合です。各社では収束後の「アフターコロナ」をにらみ、新しい事業モデルを模索しています。

少子高齢化による需要減、後継者不足などの不安要素もありますが、「住宅」という需要がなくなることはありません。将来を見据えた各社の事業展開に注目していきましょう。

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kobayashi この記事の監修者:小倉 大将
「いえーる 住宅研究所」編集長
学生インターン期間を経て、新卒一期生としてiYell株式会社に入社。開発マネジメント部門・メディア事業部門を経験し、入社2年目にして「いえーる 住宅研究所」の編集長に異例の抜擢を果たす。現在、同メディアを不動産業界のDX推進の一翼を担う媒体とすることをミッションに、日々業務に励む。
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