免許の効力と各種変更時の届出・申請を確認|免許証と名簿の管理
宅建業者が正規の免許を受けているかは、免許証を見れば確認できます。
今回は、免許証について説明するとともに、免許情報はどのように管理されているか、免許交付後の宅建業者に各種変更等が生じた場合にはどのような手続きをとるかなどについて解説します。
宅建受験者はここをチェック!
「免許証」「免許の効力」の試験科目
宅建業法
「免許証」「免許の効力」が含まれる試験分野
免許
「免許証」「免許の効力」の重要度
★★★★★ 色々な手続きがあるため覚える内容も多いです
「免許証」「免許の効力」過去10年の出題率
90%
2020年宅建試験のヤマ張り予想
例年の宅建試験では免許に関する問題が必ず出題されているため、2020年度の宅建試験でも当然出るものと考えて、確実に1点を取れるようにしましょう。
覚える内容は多いものの、そのほとんどは単純な知識を問う問題なので、丸暗記してしまえば大丈夫です。
「免許証」の解説
宅建業の申請を受けた免許権者(国土交通大臣もしくは各都道府県知事)は、免許を与える際に宅地建物取引業者免許証を宅建業者に発行します。
画像引用:宅建免許コンシェルジュ
免許権者は免許交付の際に、当該宅建業者に対して条件を付加することができます。
地域
宅地建物取引業者免許証は日本全国有効です。
つまり、免許の交付を受けた宅建業者は、その免許が有効である限り日本全国どこでも営業ができます。
免許権者が都道府県知事の場合であっても、ひとつの都道府県の知事が与えた免許は他の都道府県の知事が与えた免許と同様として扱われます。
宅地建物取引業者名簿への登載
免許交付した免許権者は、宅地建物取引業者名簿に当該宅建業者に関する一定の事項を登載し記録します。
この名簿は、国土交通省の各地方整備局および各都道府県の担当課に保存されており、誰でも閲覧することが可能です。
画像引用:奈良県告示第五十五号(宅地建物取引業者名簿等閲覧規程)
宅地建物取引業者名簿に記載されている項目は以下のとおりです。
- 免許証番号(免許の年月日)
- 商号または名称
- 事務所の所在地
- (法人の場合)代表者の氏名・役員の氏名・政令で定める使用人の氏名
- (個人の場合)個人の氏名・政令で定める使用人の氏名
- 事務所ごとに設置されている成年者である専任の宅地建物取引士の氏名
- (取引一任代理等の認可を受けている場合)認可の年月日
- 指示処分・業務停止処分の年月日および内容
- (宅建業以外の業務を兼業する場合)事業の種類
「免許の効力」の解説
宅地建物取引業者免許証は1回交付されれば終了ではなく、一定の期間ごとに更新を行う必要があります。
また、宅建業者に各種の変更等が生じた場合には、変更の旨を免許権者に届出をしなければいけません。
どのようなときに届出が必要になるか、以下で確認しましょう。
有効期間
免許の有効期間は交付後5年間です。
期間満了後も引き続き宅建業を営む意思がある場合は、免許の更新を受ける必要があります。
期間満了時の更新と延長
免許の有効期間が満了する際は、満了日の90日前から30日前までに更新申請を行う必要があります。
ただし、もし更新しないまま有効期限日が過ぎた場合でも、更新処分までの間はそれまでの期限免許の効力は延長されます。その後更新処分が完了した際には、新たな免許の有効期間はそれまでの免許の期間満了日から5年間となります。
個人宅建業者の法人成り
個人事業主として宅建業を営んでいた宅建業者が法人を設立して当該法人の代表取締役に就任(法人成り)した場合には、それまで有効だった免許は無効となります。
法人として引き続き宅建業を営む意思がある場合には、法人名での新たな免許の交付が必要です。
変更事項あったときの届出
宅建業者の商号(または名称)や事務所所在地、代表者等の従業者に変更があった際には、変更があった日から30日以内にその旨を免許権者に届け出る必要があります。
また、事務所ごとの宅地建物取引士が異動等により変更された際にも届出が必要です。
免許権者が国土交通大臣である場合の届出は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して届け出ます。
事務所の新設・移転・廃止(免許換え)
これまで単一の都道府県で営業していた宅建業者が他の都道府県で事務所を新設した際や、県をまたぐ事務所の移転、事務所の廃止などにより交付済の免許証と状況が合わなくなる場合があります。
そのような宅建業者は免許換えを行い、それまでの免許の効力を保持したままで新たな免許権者から免許を取得することになります。
免許換えの申請は新たな免許権者宛に行います。新たな免許権者が国土交通大臣となる場合には、免許換え後に主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して申請します。
免許換え後の免許の有効期間は、免許換えの日から5年間です。
廃業等の届出
宅建業者を廃業する際にも届出が必要です。
申請先は変更の届出の際と同様に、国土交通大臣もしくは各都道府県知事です。申請期限は廃業等の日(もしくはその事実を知った日)から30日以内です。
廃業等の届出を行う義務がある者は、廃業等の理由により以下のとおりとなります。
廃業の理由 | 届出義務者 |
死亡 | 相続人 |
合併 | 消滅会社の代表役員 |
破産 | 破産管財人 |
解散 | 清算人 |
廃業 | 代表役員(または個人) |
廃業等で免許が失効した場合でも、当該の宅建業者が締結していた契約に基づく取引が完了するまでは、取引の範囲内において引き続き宅建業者と見なされます。その場合に宅建業者の代理とされるのは上記の届出義務者となります。
「免許証」「免許の効力」に関連する法律
この項目に関連する法律は以下のとおりです。
宅地建物取引業法(令和2年3月1日時点)
国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許をしたときは、免許証を交付しなければならない。
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿に、国土交通大臣にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者に関する次に掲げる事項を、都道府県知事にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者及び国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者で当該都道府県の区域内に主たる事務所を有するものに関する次に掲げる事項を登載しなければならない。
宅地建物取引業者は、前条第二項第二号から第六号までに掲げる事項について変更があつた場合においては、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 |
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問題:
いずれも宅地建物取引士ではないDとEが宅地建物取引業者F社の取締役に就任した。Dが常勤、Eが非常勤である場合、F社はDについてのみ役員の変更を免許権者に届け出る必要がある。(平成30年度本試験 問36より抜粋)
答え:×
解説
役員の変更があったときには、その役員の常勤・非常勤に関係なく免許権者に届け出る必要があります。Eについても変更の届出が必要なので答えは×です。
「免許証」「免許の効力」ポイントのまとめ
この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
- 宅建業者の証明は免許証・宅地建物取引業者名簿で確認できる
- 免許の有効期間は5年間
- 各種変更が生じた際は免許権者に届出が必要
最後に
今回は、宅建業を営む法人・個人が必ず取得している免許の効力と届出について解説しました。
宅建業を営業している間に、さまざまな変化が生じる可能性があります。どのような変化が生じたときに免許の効力が失われるのか、効力を維持するためにはどのような届出をしなければいけないのかを知っておきましょう。
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