登記の仕組みと申請手続き方法|広範囲の試験分野をコンパクトに解説

投稿日 : 2020年03月12日/更新日 : 2023年02月01日

不動産登記は、宅建士が関わる業務のうち重要かつ頻度の高いものと言えます。

宅建試験でも毎年必ず出題されるため、合格のためにはぜひ習得しておきたい分野です。

しかし、範囲が広いうえに専門性が高いので、深掘りしてしまうと学習の出だしでつまずく原因になります。

そこで今回は、登記制度の概要についてわかりやすくまとめました。この記事を読めば、膨大な不動産登記法を無理なく見渡すことができます。

 

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「登記の仕組み・登記手続き」の試験科目

権利関係

「登記の仕組み・登記手続き」が含まれる試験分野

不動産登記法

「登記の仕組み・登記手続き」の重要度

★★★★★  宅建士の超必須知識

「登記の仕組み・登記手続き」過去10年の出題率

80%

 

2020年宅建試験のヤマ張り予想

不動産登記は、不動産取引において必ず発生する手続きです。登記について熟知していなければ、宅建士は務まりません。

そのため、宅建試験でも必ずと言っていいほど出題されます。「不動産登記法」分野に広げると出題率は100%で、年度によっては2問以上出題される場合もあります。

このテーマはしっかり勉強していきましょう。

「登記の仕組み・登記手続き」の解説

登記とは

「登記」とは、1筆の土地または1個の建物ごとに、物理的状況と権利関係について記録した電磁的データです。

物理的状況を記録した「表題部」と所有権について記録した「権利部(甲区)」、所有権以外の権利(抵当権や賃借権など)について記録した「権利部(乙区)」で構成されています。

 

表題部

(土地または建物の表示)

所在地や面積・土地の目的や建物の構造など物理的状況
権利部(甲区) 所有権に関する事項

例:所有権保存登記・所有権移転登記・買戻し登記など

権利部(乙区) 所有権以外の権利に関する事項

例:抵当権設定登記・地上権設定登記・賃借権設定登記など

 

登記記録は法務局が管理し、不動産についての紛争が生じた際には法的効力を発揮します。

登記に関する規則を定めた法律が、「不動産登記法(以下、不登法)」です。

 

 

登記手続き

不登法では、登記手続きについて3つの原則を掲げています。

 

①申請主義

登記は原則として、当事者が申請することになっています(申請主義)。

ただし、表題部の登記など一定の箇所に関しては、登記官が職権で登記することもできます。

登記申請方法には、以下の3パターンがあります。

  1. 窓口申請…登記所の窓口に直接申請書を提出する方法
  2. 郵送申請…申請書を郵送にて登記所に提出する方法
  3. オンライン申請…インターネットの申請画面で必要事項を入力する方法

以前は、登記手続きは当事者かその代理人が登記所に出頭して行わなければならないとされていました(当事者出頭主義)。しかし、平成16年の法改正により、オンライン申請が許可されたことで、当事者出頭主義は廃止されました。

なお、当事者が代理人に登記手続きを委任する場合は、代理人の権限は当事者本人が死亡しても消滅しないとされています。

 

②要式主義

登記申請をするためには、不登法が定める一定の情報を登記所に提供しなければならないとされています(要式主義)。

要式主義には例外が認められません。いかなる場合であっても、規定の情報を提供しなければ登記申請を行うことはできません。

登記申請に必要な情報は、以下のようなものです。

  • 申請情報
    • 不動産を識別するために必要な事項
    • 申請人の氏名又は名称
    • 登記の目的がわかるもの
    • その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報
  • 登記識別情報
  • 登記原因証明情報

 

◆登記識別情報

登記識別情報は、登記の際に発行される12桁の暗証番号のようなものです。

次回の登記申請の際に本人確認を行うために発行されます。

アラビア数字と符合により構成されます。

 

◆登記原因証明情報

登記記録は公益性が高く、個人の権利保護にも役立つ重要な情報であるため、実態に則さない登記は絶対に避けられるべきです。そのため、登記内容に合致する変更があったことを証明する登記原因証明情報を求められます。

登記原因証明情報には、各種契約書などの書類が利用されるのが一般的です。

 

③共同申請主義

 

権利に関する登記申請は、一定の場合を除き、登記権利者と登記義務者が共同して行う必要があります。

単独での登記申請が許可されるのは、以下の登記の場合です。

  1. 登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記
  2. 相続による権利の移転登記
  3. 法人の合併による権利の移転登記
  4. 登記名義人・債務者の氏名や住所などについての変更・更正登記
  5. 所有権保存登記
  6. 起業者が行う収用による所有権移転登記

また、当事者が官庁・公署である登記申請は、公共嘱託登記といい、単独で登記申請できます。

 

登記事項証明書の交付請求方法

「登記事項証明書」とは、登記記録を書面にし交付されたものです。登記事項証明書は、登記所にて交付請求することができます。

交付請求には、以下の方法があります。

  1. 請求申請書を提出する(窓口または郵送)
  2. 登記官が管理する入出力装置に請求情報を入力する
  3. 電子情報処理組織(つまりオンライン)にて請求する

登記事項証明書の交付を請求する際には、登記官に手数料を納付する必要があります。

 

「登記の仕組み・登記手続き」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

不動産登記法(施行日:令和2年4月1日)

第3条(登記することができる権利等)

登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。(中略))についてする。

一 所有権

二 地上権

三 永小作権

四 地役権

五 先取特権

六 質権

七 抵当権

八 賃借権

(以下省略)

 

第16条(当事者の申請又は嘱託による登記)

登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。

(以下省略)

 

第18条(申請の方法)

登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。

一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(中略)を使用する方法

二 申請情報を記載した書面(中略)を提出する方法

 

第22条(登記識別情報の提供)

登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(中略)の登記識別情報を提供しなければならない。

(以下省略)

 

第60条(共同申請)

権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

 

第61条(登記原因証明情報の提供)

権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

 

「登記の仕組み・登記手続き」ポイントのまとめ

  1. 登記とは、1単位の不動産ごとに物理的状況と権利関係について記録した電磁的データである
  2. 登記には、「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」がある
  3. 登記手続きの三原則は「申請主義」「要式主義」「共同申請主義」である
  4. 登記識別情報とは、次回の登記で本人確認をするための暗証番号である
  5. 登記原因証明情報とは、登記内容と実態が合致するか確認するための資料である。

 

まずは基礎知識を確実に習得する

 

今回取り上げた分野は、範囲が広く専門性も高いので、初めから深く理解しようとすると時間を取られてしまいます。

まずは基礎知識を確実に習得しつつ、詳細な知識については学習がある程度進むまで手を出さないなど、他分野の学習の妨げにならない冷静さも必要です。

全試験範囲をひと通り見渡せるようになってから、高得点を目指して追及するといいでしょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。
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