土地建物の所有権とは何の権利か|所有権の移転時期を決定する要因を確認

投稿日 : 2020年03月10日

土地や建物を持っている人には、その土地建物の所有権があります。

そもそも所有権とは何でしょうか。所有権があると、その人はいったい何ができるのでしょうか。また不動産売買契約をしたときには売主から買主へ所有権が移転しますが、いつの時点で権利が移動するのでしょうか。

今回は土地建物の所有権とは何か、そして所有権の移転はいつの時点で変わるのかについて基本的な事項から解説します。

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この記事の監修者:
平山 和歌奈
宅建スペシャリスト

不動産会社や金融機関にて、ローンの審査業務、金消・実行業務などに従事。その過程で、キャリアアップのため自主的に宅建の取得を決意。試験の6ヶ月前には出勤前と退勤後に毎日カフェで勉強、3ヶ月前からはさらに休日も朝から閉館まで図書館にこもって勉強。当日は37℃の熱が出てしまったが、見事1発で合格した。現在はiYell株式会社の社長室に所属。

 

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「所有権」の試験科目

権利関係

「所有権」が含まれる試験分野

物権変動

「所有権・所有権の移転時期」の重要度

★ ★ ★ ★ ★ 基本的な概念を学びましょう

「所有権の移転時期」過去10年の出題率

10%

 

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所有権が何かというのは、物権変動の試験分野の中でも基本的な概念として押さえておくべき知識です。試験に出る・出ないに関わらず、当然知っておくべき内容として学んでおきましょう。

所有権の移転時期については単独の項目としてではなく、相続とからめた内容で出題される可能性があります。ただし移転時期の決まりごとはさほど難しい内容ではないので、こちらも基本的なところを押さえておくだけで宅建試験には十分対応できると考えられます。

 

「所有権・所有権の移転時期」の解説

 

所有権は「法令の制限内で自由にその所有物の使用・収益および処分をする権利」と定義されています。

つまり土地建物の所有権とは、土地もしくは建物、あるいはその両方のすべてを所有できるという権利です。自分の所有物であるため、その土地あるいは建物をどのように使用するかは自分で決定できます。また、譲渡や売却等の処分も自由に行えます。

 

所有権を主張するための登記

土地建物の所有権を主張するためには、法務局で登記をして自分が所有者である旨を登記上に記載する必要があります。

権利の確定に伴い義務も発生します。登記上の所有者に対しては、固定資産税や都市計画税などの納税義務があります。

 

土地の上空・地中の所有権

土地の所有権は「法令の制限内においてその上下に及ぶ」とされています。つまり土地の所有権を持っている人は、その区分の上空も所有、かつ地中も所有していることになります。

高圧線下地の土地に線下補償料が支払われたり、自宅の下に地下鉄が走っていると土地の使用料が支払われたりするのは、上空や地中の所有権が認められているからです。

民法上では上空の高さ・地中の深さに関する規定はありませんが、航空法による最低安全高度は地上から300m、大深度地下法では深度40m以上を大深度と規定していますので、地中40m~上空300m程度が上下の区分所有権だと一般的に見なされています。

 

所有権の移転時期

 

不動産の売買契約をした場合には、いつの時点で所有権が売主から買主に移動するのでしょうか。

原則として、所有権の移転時期は「売買契約が成立した時点」です。

売買契約は買主が「申込」の意思表示をして、それに対し売主が「承諾」の意思表示をした時点で成立します。つまり所有権は「売りたい」と「買いたい」が合致すれば、その時点で移転することになります。

ただし契約トラブルを避けるために、所有権の移転時期について特約を定めている不動産売買契約が一般的です。所有権の移転時期を特約で定めた場合には、特約に記載の内容が優先されます。

 

参考:特約の例

  • 物件の引き渡し日
  • 所有権変更登記の完了日

 

相続人の所有権引継ぎ

土地建物の所有者が死亡したときには、所有権は亡くなった人の相続人に引き継がれます。

もし売主と買主の間で不動産売買契約を結び、その後すぐで売主が死亡した場合には、買主は売主側の相続人に対して所有権を主張できます。これは相続人が対象の不動産を相続登記しているかどうかには関係ありません。

 

「所有権・所有権の移転時期」に関連する法律

この項目に関連する法律は以下のとおりです。

民法 (令和2年3月1日時点)
第206条(所有権の内容)

所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

 

第176条(物権の設定及び移転)

物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

 

第896条(相続の一般的効力)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 

実際に過去問を解いてみよう

問題:

Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。(平成29年度本試験 問2より抜粋)

答え:×(しない)

 

解説

民法の原則としては所有権の移転時期は売買契約締結時ですが、所有権の移転時期について特約を定めている場合には、特約で定められている移転時期が優先されます。

 

「所有権・所有権の移転時期」ポイントのまとめ

この項目で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 所有権とは自己のモノを自由に使用・処分などして良い権利
  2. 土地建物の所有権を主張するためには登記が必要
  3. 所有権の移転時期は売買契約成立時(特約を定める不動産契約が一般的)
  4. 相続が発生すると所有権は相続人に引き継がれる

 

最後に

 

不動産の媒介をする上で、物権変動は契約成立の核になる非常に重要な役割です。所有権に関する正しい知識がないと、契約トラブルの元となり、売主や買主だけでなく会社にも大きな損害を与えてしまう可能性があります。

今回でお伝えした内容は基本的な事柄ではありますが、決しておろそかにせず正確な知識を身に付けましょう。