不動産会社が知っておくべき広告のルール|不動産広告料についても徹底解説

投稿日 : 2023年07月31日

不動産広告には、各種法律や規約に則った細かい規制が設けられています。

法律に違反した広告を掲載した場合、悪意がなくても違法とみなされる可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、不動産広告を掲載する際に知っておくべきことをまとめました。

  • 不動産広告の表示規約のポイント
  • 不動産広告を出す際の注意点
  • 不動産賃貸募集の広告料とは何か
  • 広告料の請求は違法なのか

不動産広告を掲載する前にルールを確認し、トラブルを防ぎましょう。

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不動産の広告に関する法律・規約

ここからは、実際に不動産広告を出す際に知っておくべき法律やポイントなどを解説していきます。

不動産の広告は、以下の法律や規約によって、さまざまな規制が設けられています。

  • 宅建業法:広告開始時期の制限、膨大広告の禁止など
  • 景品表示法:不当表示の禁止、景品提供の制限など
  • 不動産の表示に関する公正競争規約:広告の表示方法、基準、不当表示の禁止など

宅建業法や景品表示法では、主に消費者を守るという観点から規制が設けられており、法令に従わない場合は、罰則を受ける可能性もあるので注意が必要です。

公正競争規約では、一般消費者のためだけでなく、不動産事業者間で公正な競争を確保できるように、さまざまな広告ルールが定められています。

不動産広告の表示規約の3つのポイント

不動産広告の表示規約のポイントは、以下3つです。

  1. 広告表示を開始できる時期
  2. 消費者に必要な情報の表示
  3. 禁止されている表現

順番にみていきましょう。

広告表示を開始できる時期

不動産広告では、広告表示を開始できる時期が制限されています。建物が未完成の場合、開発許可や建築確認を受けるまでは、広告に表示できません。

消費者に必要な情報の表示

不動産を購入する際、最低限必要な情報を表示するように定められています。最低限必要な情報とは、以下の項目です。

物件の内容、取引条件など
取引形態、物件の所在地、交通の利便性、各種施設までの距離または所要時間、団地の規模、面積、物件の形質、写真・絵図、設備、施設等、生活関連施設、価格・賃料、住宅ローン等

引用元:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約

上記の他にも、取引条件によっては節税効果、入札・競り売りに関する表示も必要です。

不動産広告では、内容が正確であることは前提として、消費者が購入時に知るべき必要情報の表示が求められます。

特に、法令によって増築などの制限が生じる物件の瑕疵など、消費者にとって不利益な情報も表示する義務があります。

禁止されている表現

不動産広告では、根拠のない以下の表現は禁止されているため、注意が必要です。

  • 抽象的な表現
  • 他の不動産会社と比較するような用語
  • 実際よりも優良、有利と誤認される表示
  • おとり広告

以下は、具体的に禁止されている用語の一例です。

  • 完全、完璧、絶対、万全
  • 日本一、日本初、業界一、当社だけ
  • 特選、厳選
  • 最高、最高級など最上級を意味する用語
  • 格安、買得、破格、激安などの用語
  • 完売など著しく人気が高く、売行きがよいことを意味する用語

引用元:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約

不動産広告の具体的な表示方法・基準


不動産広告に表示する各項目には、表示方法や基準が具体的に決められています。

広告を作成する前にしっかりと確認しておきましょう。

徒歩所要時間

駅やバス停までの移動時間をあらわす徒歩所要時間は、道路距離80mを1分として計算し、1分未満は切り上げます。

例:移動距離500m÷80m=6.25分
→徒歩所要時間7分として表示

信号待ちや坂道は考慮しなくてもOKです。

DK・LDKの基準

DKやLDKを表示する際、最低限必要な畳の広さが決められています。

居室数1部屋の場合
DK:4.5畳
LDK:8畳
居室数2部屋以上の場合
DK:6畳以上
LDK:10畳以上

設備の概要に関する表示

ガス、上下水施設、道路の幅など、設備に関する事項は利用条件として表示します。

建築材料の一部を強調したい場合、洋室の床、和室の柱など、強調する材料が使用されている部分の明記が必要です。

将来の周辺環境に関する表示

広告を掲載する時点で判明している、入居者にとってマイナスとなる将来の周辺環境も表示する必要があります。

例えば、将来的に高い建物が建設される予定で日当たりが悪化する可能性がある場合、高い建物が建築予定の旨の記載が必要です。

広告に掲載する写真

広告に掲載する写真は、実際に販売するものでないと使用できません。しかし、新築分譲マンションや新築分譲住宅など、建物が完成前の場合もあるでしょう。

この場合、販売予定の建物と同じであれば、その旨を明記した上で掲載可能です。

価格の表示

新築分譲マンション・新築分譲住宅で戸数が多い場合、すべての価格を表示することが困難な場合があります。

戸数が多い場合、最安値と最高値を表示すればOKです。戸数が10戸以上の場合、100万円単位で区切った時に、最も多い価格帯を表示します。

【表示例】
価格:2,500万円~3,600万円(消費税込み)
最多価格帯:3,000万円(15戸)

二重価格表示

下記の通り、実際に販売する価格と、比較対象となる価格を併記することを二重価格と言いますが、二重価格は原則禁止されています。

  • 通常価格:4,000万円
  • 特別価格:3,500万円

ただし、過去の価格との比較や割引表示など、一定の条件を満たせば二重価格が認められる可能性があります。賃貸物件の場合、過去の賃料を比較対象にはできません。

予告広告

新築の分譲住宅・分譲マンション・賃貸マンション・賃貸アパートは、予告広告が認められています。

予告広告をする場合、以下を記載する必要があります。

  • 予告広告である旨
  • 賃料、価格
  • 販売予定時期、取引開始予定時期

今回解説した表示方法・基準はあくまでも一例です。

実際に不動産広告を掲載する際は、宅建業法、景品表示法、公正競争規約などで各ルールを確認しましょう。

不動産広告を出す際の注意点

不動産広告を出す際に、仲介会社が注意するべき点を解説します。

おとり広告の掲載

公正競争規約では、おとり広告とは以下のものと定義されています。

  1. 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
  2.  物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
  3. 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

引用元:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約

おとり広告では、架空物件や成約済物件を使用して顧客を集客し、別の物件へ誘導するといった手法が一般的です。

例えば、以下のような例です。

  • 物件の概要や取引条件が広告と異なる
  • 広告を見て来店した顧客に対して、「その物件はおすすめできない」などを理由に、他の賃料の高い物件を勧める

仲介会社として注意するべき点は、悪意がなくてもおとり広告として違反対象となる可能性がある点です。

例えば、ポータルサイトに掲載していた物件を、成約後に削除し忘れたケースなどです。成約済みの物件の広告は、取引できない状態の物件の広告とみなされます。

ネットに掲載した物件を削除し忘れないように、定期的に確認しましょう。

消費者の誤解を招く表示

不動産業界で働く方にとってはトラブルにならない表示でも、専門知識のない消費者の解釈が異なり、トラブルになる場合があります。

例えば、「保証会社利用可・保証人不要」と記載されている広告があったとします。

不動産業界で働く方にとっては、保証会社を利用しない場合は保証人が必要、保証人を用意できない場合は、保証会社の利用が必須という常識があるでしょう。

しかし、専門知識がない消費者は、保証会社の利用が任意で、保証人も不要であると解釈する可能性があります。つまり、保証会社を利用せず、保証人も不要で契約できると勘違いしてしまう可能性があるということです。

不動産広告を作成する際は、消費者目線で作成することが大切です。

不動産賃貸募集の広告料とは?

不動産賃貸募集の広告料(AD)とは、貸主が仲介会社へ支払う賃貸募集のための広告費です。広告料は、物件の状況や時期に合わせて貸主が決めます。

広告料が支払われるタイミング

広告料が仲介会社に支払われるタイミングは、賃貸借契約締結時です。

広告料は成功報酬になるため、契約が成立してはじめて支払われます。賃貸契約成立時に、借主が支払う契約金の中から広告料を相殺するという流れが一般的です。

賃貸募集時に広告料を出すメリット

賃貸募集時に広告料を出すと、仲介会社、貸主双方にメリットがあります。仲介会社、貸主それぞれの視点からメリットを解説していきます。

仲介会社のメリット

仲介会社が広告料を受け取ることで、より多くの利益を得られるでしょう。

不動産会社の中には、給料体系にインセンティブ制度を導入している会社も珍しくありません。広告料が出る物件は、通常よりも多くの成果に繋がるため、営業担当のやる気向上にも繋がります。

営業担当がより多くの契約を締結できれば、店舗全体の売上アップにも繋がるでしょう。

貸主のメリット

貸主が仲介会社へ広告料を支払うメリットは、成約率と成約のスピードが上がることです。

先述の通り、広告料を支払えば、営業担当のやる気が上がります。また、仲介会社が通常よりも多くの利益を得られることから、顧客の値下げ交渉にも応じやすくなるでしょう。

例えば、「賃料を値下げして欲しい」と顧客から要望があったとします。広告料が出る場合、一定の利益を確保できるため、仲介手数料の値引きを打診できます。

成約率と成約のスピードが上がるため、少しでも早く空室を埋めたい貸主は、広告料を支払う可能性が高いです。

不動産広告料の相場

不動産広告料の相場は、賃料の1ヶ月分です。広告料は貸主が決めますが、物件の条件や募集時期によって、賃料の2~3ヶ月分になることもあります。

例えば、以下のように客付けが難しい場合は広告料を高くする貸主が多いでしょう。

  • 空室が長期化している
  • 閑散期の募集
  • 立地が悪い

など、客付けが難しい場合は広告料を高くする貸主が多いでしょう。

逆に、繁忙期の募集や都市部で立地がいい物件などは、通常よりも客付けしやすいため、広告料が支払われない可能性があります。

不動産広告料と仲介手数料の違い

不動産広告料と仲介手数料の違いは、以下のとおり通りです。

  • 支払の対象がサービスか広告費か
  • 依頼主のみが支払うかどうか
  • 報酬額上限の有無

支払の対象

仲介手数料は、賃貸契約または売買契約の成立に対する成功報酬です。仲介会社は、契約が成立するまでの間、情報や書類作成などのサービスを提供します。

広告料は、契約を成立させるためにかかった広告費に対する報酬です。

仲介手数料と広告料は、報酬を支払う対象が、サービスか広告費なのかが違います。

誰が支払うか

仲介手数料は、賃貸契約の場合は貸主・借主、売買契約の場合は売主・買主双方から受け取ることが可能です。

一方、広告料は貸主・売主が仲介会社へ支払うことが一般的です。

報酬額上限の有無

仲介手数料の上限は、宅建業法で以下の通り定められていて、上限以上に請求してはいけません。

手数料の上限
賃貸契約 家賃×1ヶ月分+消費税
売買契約 売買価格×3%+6万円+消費税

賃貸契約での貸主・借主、売買契約での売主・買主それぞれに仲介手数料を請求する場合、合計して上限以内に収まっている必要があります。

広告料は、上限が定められていません。

不動産広告料の請求は違法?

不動産業界では、広告料の支払いが慣例となっていますが、広告料の請求は宅地建物取引業法(以下、宅建業法)宅建業法違反となる可能性があります。

そのため、「広告料は当然に請求できるものではない」ということを知っておきましょう。

広告料が慣例となっている理由

宅建業法の第46条では、不動産売買、貸借の媒介をする際、受け取ることのできる報酬の額は、上限を超えてはいけないと定められています。報酬の上限とは、先述した仲介手数料の上限です。

しかし、広告料に関しては以下のように「報酬の上限を超えて受け取れる例外」として記載があります。

”ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額及び当該代理又は媒介に係る消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額については、この限りでない。”

引用元:国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

上記の記載があることから、「広告料という名目であれば、仲介手数料と別に請求をしてもいい」と解釈する仲介会社が多く、広告料の請求が慣例となっています。

しかし、法令に記載されている「広告の料金」とは、大手新聞社への広告掲載料など、仲介手数料だけでは賄いきれない多額の広告料金を意味します。

また、広告料を請求できるのは「依頼者が特別に依頼した広告活動による費用」の場合です。

そのため、一般的な広告活動で広告料を請求することは、宅建業法違反となる可能性があります。このような背景があるため、広告料は当然請求できるものではないということを理解しておきましょう。

まとめ

不動産広告を掲載する前に、各種法律や規約で定められている細かい規制を確認しておくことをおすすめします。

また、悪意がなくても、おとり広告や消費者の誤解を招いて違反とみなされる可能性があるため、注意が必要です。

今回解説した不動産広告の表示規約のポイントや注意点などを確認し、トラブルを防ぎましょう。

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