省エネ住宅補助金【みらいエコ住宅2026事業】とは!?
投稿日 : 2025年12月08日

2025年11月28日、経済産業省・国土交通省・環境省は共同で2026年における住宅の省エネ化を支援する補助制度「みらいエコ住宅2026事業」を創設したことを発表しました。「ZEH水準住宅」や新築の「長期優良住宅」「GX志向型住宅」や省エネ改修等への支援をすることで2050年にカーボンニュートラルの実現を目指す取り組みです。
「住宅省エネ2025キャンペーン」に続き、「省エネ住宅の新築を支援する補助制度」「既存住宅の省エネリフォームを支援する補助制度」など3省が連携することで各事業を組み合わせて併用しワンストップで申請できるようにします。
本記事では「みらいエコ住宅2026事業」の詳細を徹底解説するとともに、「住宅省エネ2025キャンペーン」を解説していきます。
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みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)とは
日本はこれまで「つくっては壊す」というスクラップ&ビルド型の社会でした。日本の住宅の平均寿命(取り壊された住宅の均築後経過年数)は約30年と、イギリス約77年、アメリカ約55年に比べ著しく短い傾向にあります(参考:国土交通省「長持ち住宅の手引き」)。この構造を変え、耐久性、耐震・安全性、省エネ・環境性能、維持管理の容易性といった性能を持つ良質な住宅を社会の資産(ストック)として捉え質の高い住宅を社会全体で増やしていくことで、国が目標をしている2050年カーボンニュートラルの実現を目指そうとしています。
「みらいエコ住宅2026事業」は、GX志向型・ZEH水準・長期優良の新築や、既存住宅の省エネ改修を支援することで、住宅分野の省エネ投資を後押しすることを目的としています。
3ステップで分かる「新築住宅」制度まとめ

STEP 1|対象条件(この住宅が補助対象になるか?)
まずは新築住宅で「みらいエコ住宅2026事業」の対象となる条件を解説します。
■対象となる住宅の条件
- 注文住宅の新築
- 分譲住宅の新築
- 賃貸住宅の新築
■着工時期
- 令和7年11月28日(閣議決定日)以降に基礎工事着手
■住戸の面積
- 50㎡以上 240㎡以下
■ 立地条件
「みらいエコ住宅2026事業」の補助金は、災害リスクの高い土地での新築を対象外としています。土地や用地仕入れの際は、必ずハザードマップと要件を確認してください。
〔原則として補助対象外となる区域〕
| No | 対象外となる住宅 | 条件のポイント |
|---|---|---|
| ① | 明確な土砂災害リスク区域 |
|
| ② | 居住誘導区域外 × 災害レッドゾーン × 大規模開発 × 勧告無視 |
|
| ③ | 市街化調整区域 ×(土砂 or 浸水3m以上) |
|
| ④ | 市街化区域など ×(土砂 or 浸水3m以上)× 災害危険区域 |
|
STEP 2|性能要件(どのカテゴリーで補助を受けられるか?)
性能に応じて、以下3種類の区分に分かれます。
■GX志向型住宅
- 断熱性能:等級6以上
- 一次エネ消費量(再エネ除く):35%以上削減(一次エネ等級8)
- 一次エネ消費量(再エネ含む):100%以上削減(=ZEH)
- 以下は緩和措置
- 寒冷地・低日射地域:75%以上削減
- 多雪地域・都市部狭小地:要件なし
- 以下は緩和措置
- HEMS 設置:必須
- 事業者要件:GX(脱炭素)への取組を表明
■長期優良住宅
- 断熱性能:等級5以上
- 一次エネ消費量(再エネ除く):20%以上削減(一次エネ等級6)
- 賃貸住宅の場合
- 子育て配慮の安全性・防犯性基準が必要
■ZEH水準住宅
- 断熱性能:等級5以上
- 一次エネ消費量(再エネ除く):20%以上削減(一次エネ等級6)
- 賃貸住宅の場合
- 子育て配慮の安全性・防犯性基準が必要
STEP 3|補助額(性能 × 地域区分で決まる)
「みらいエコ住宅2026事業」では、寒冷地(1〜4地域)に対して補助額が上乗せされます。
| 住宅タイプ | 対象世帯 | 補助額(通常地) | 補助額(1〜4地域) |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | すべての世帯 | 110万円/戸 | 125万円/戸 |
| 長期優良住宅 |
|
75万円/戸 | 80万円/戸 |
| ZEH水準住宅 |
|
35万円/戸 | 40万円/戸 |
〔古家除却を行った場合〕
新築に合わせて既存の住宅(建築主等が所有)を取り壊す(除却する)場合は、以下の金額が加算されます。
- 長期優良住宅:+20万円
- 通常地:95万円/戸
- 1〜4地域:100万円/戸
- ZEH水準住宅:+20万円
- 通常地:55万円/戸
- 1〜4地域:60万円/戸
2025年「子育てグリーン住宅支援事業」との違い
「子育てグリーン住宅支援事業」と比較して「みらいエコ住宅2026事業」との主な相違点をまとめました。
■全体比較
| 項目 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 子育てグリーン住宅支援事業 | みらいエコ住宅2026事業 |
| 予算規模 | 2,250億円 | 2,050億円 |
■新築住宅の比較
| 住宅タイプ | 2025年 (子育てグリーン) |
2026年 (みらいエコ) |
変化のポイント |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 160万円 | 110万円 寒冷地等:125万円 |
|
| 長期優良住宅 | 80万円 (除却あり:100万円) |
75万円 (除却あり:95万円) 寒冷地等:80万円 (除却あり:100万円) |
|
| ZEH水準住宅 | 40万円 (除却あり:60万円) |
35万円 (除却あり:55万円) 寒冷地等:40万円 (除却あり:60万円) |
|
| 着工時期 | 基礎工事より後の工程の工事 | 基礎工事 | 工事開始時期が前倒し |
※「除去あり」は古家の除去を行う場合を指します。
3ステップで分かる「リフォーム」制度まとめ

STEP 1|補助対象工事(対象となるリフォーム工事の内容を確認する)
補助金の交付を受けるためには、以下の①省エネ改修を行うことが必須となります。①省エネ改修工事を行った場合のみ、②その他のリフォーム工事も補助対象となります 。
| 区分 | 工事内容 | 補助要件 |
|---|---|---|
| ① 省エネ改修 |
|
|
| ② その他のリフォーム工事 |
|
①の省エネ改修工事を行った場合に限ります 。 |
- 窓の断熱改修
- 高断熱窓の設置工事をする場合は「先進的窓リノベ2026事業」(環境省)の補助対象として扱われます 。
- 高効率給湯器
- 高効率給湯器を設置する場合は「給湯省エネ2026事業」等(経産省)の補助対象として扱われます 。

参照:国土交通省
STEP 2|主な要件(補助の対象となるかを確認する)
「みらいエコ住宅2026事業」(リフォーム)制度を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
■対象となる住宅の条件
- 平成4年基準を満たさない住宅
- 平成11年基準を満たさない住宅
■着工時期
- 令和7年11月28日(閣議決定日)以降にリフォーム工事着手
■事業者登録
- 交付申請までに、施工業者(事業者)の登録が必要
STEP 3|補助額(補助上限額を確認する)
補助金は、リフォーム前の住宅の省エネ性能と、リフォーム後の省エネ性能の到達目標に応じて、戸あたり以下の定額が補助上限額となります 。
| リフォーム前の住宅の省エネ性能 | リフォーム後の到達目標 | 補助上限額(戸あたり) |
|---|---|---|
| 平成4年基準を満たさない | 平成28年基準相当に達する改修 | 上限100万円 |
| 平成4年基準を満たさない | 平成11年基準相当に達する改修 | 上限50万円 |
| 平成11年基準を満たさない | 平成28年基準相当に達する改修 | 上限80万円 |
| 平成11年基準を満たさない | 平成11年基準相当に達する改修 | 上限40万円 |
補助対象となるのは①省エネ改修に該当する必須工事を行う場合に限ります。また、連携事業「先進的窓リノベ2026事業」「給湯省エネ2026事業」で行ったリフォーム工事は必須工事とみなされます。
2025年「子育てグリーン住宅支援事業」との違い
リフォームにおける「子育てグリーン住宅支援事業」と「みらいエコ住宅2026事業」を比較し、主な相違点をまとめました。
■リフォーム補助制度の比較
| 項目 | 2025年 (子育てグリーン) |
2026年 (みらいエコ) |
変化のポイント |
|---|---|---|---|
| 補助金の決まり方 | 積み上げ方式 (工事箇所の合計で決定) |
パッケージ方式 (住宅の古さ × 性能向上で決定) |
性能結果を重視した評価へ |
| 必須工事の要件 | 開口部・躯体・設備のいずれかを実施 | 国が指定する工事の組合せを実施 | 組み合わせによる総合性能の向上へ |
| 最大補助額 | S:60万円/A:40万円 ※組み合わせにより窓で200万円級の実績例あり |
最大100万円/戸 (最古の住宅を現行基準へ改善する場合) |
性能アップを重視した上限額へ |
2025年「子育てグリーン住宅支援事業」が部分的なリフォームや設備の入替えニーズに対応しやすい制度であったのに対し、「みらいエコ住宅2026事業」は「古い家ほど、性能を上げれば高額補助が出る」という、性能向上重視の制度に変わります。
参考:国土交通省「住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(リフォーム)」
補助制度のワンストップ利用
2026年度も国土交通省、経済産業省、環境省、3省の連携により各事業を組み合わせて利用(併用)できます。各省が実施する省エネ住宅を支援する補助制度をまとめました。
| 国土交通省 |
|
| 環境省 |
|
| 経済産業省 |
|
本来であれば所管の省庁が違うため、補助金を受給するためにはそれぞれの省庁へ申請をする必要があります。ですが、3省が連携することで各事業の併用利用やワンストップでの申請が出来るようになります。
ワンストップ申請
ワンストップ申請とは、「ひとつの契約に基づく」リフォーム工事についての情報をまとめて登録することで、最も有利な補助額になるように工事を割り振り、各事業の交付申請を一括して作成・提出する【申請補助ツール】です。提出後は各事業に対して提出された交付申請として取り扱います。(参照:「住宅省エネポータルの利用の前に」2025年3月31日版)
2025年12月の現時点では申請手続きの詳細については公表されていません。前身事業となる「子育てグリーン住宅支援事業」の申請方法を参考にご紹介します。
住宅省エネポータル アカウント発行
補助金事業のオンライン申請では「ポータル」と呼ばれるシステムを用いて申請情報の登録や提出書類のアップロード等を行います。「ポータル」は原則として補助金事業単位で構築されており、2026年のキャンペーンでは上記4つの事業それぞれに「ポータル」が構築されます。4つの「ポータル」を連携し、入口の機能を果たすのが「共通ポータル」です。住宅省エネポータルは、「統括アカウント」と「担当者アカウント」という異なる機能を持つアカウントがあるので、目的に応じてアカウントを取得してください。

参照:「住宅省エネポータルの利用の前に」2025年3月31日版)
ワンストップ申請(予約を含む)手続きフロー
ワンストップ申請は「共通ポータル」から行います。

参照:「住宅省エネポータルの利用の前に」2025年3月31日版)
ワンストップ申請時期
「みらいエコ住宅2026事業」の申請に関する詳細情報がまだ公開されていないため、参考として2025年度の申請時期について紹介します。
- 「子育てグリーン住宅支援事業」新築
- 注文住宅の新築:2025年05月14日
- 新築分譲住宅:2025年5月30日
- 賃貸住宅の新築:2025年6月30日
- 「子育てグリーン住宅支援事業」リフォーム
- リフォーム(戸別):2025年3月31日
- リフォーム(戸別)ワンストップ申請:2025年4月28日
- リフォーム(一括)申請:2025年5月30日
- 「先進的窓リノベ2025事業」
- 申請(戸別):2025年3月31日
- ワンストップ申請(戸別)申請:2025年4月28日
- 申請(一括)申請:2025年5月30日
- 「給湯省エネ2025事業」新築
- 新築(戸別)申請:2025年4月28日
- リフォーム(戸別)申請:2025年3月31日
- リフォーム(戸別)ワンストップ申請:2025年4月28日
- リフォーム(一括)申請:2025年05月30日
- 「賃貸集合給湯省エネ2025事業」
- 申請の受付:2025年3月31日
2025年度のキャンペーンでは早いもので3月から申請が開始されます。必ずしも前年度と同じスケジュールになるとは限りませんが、遅滞なく手続きができるようこまめに公式サイトを確認するようにしましょう。
まとめ
2025年11月28日に発表された「みらいエコ住宅2026事業」(Me住宅2026)は、2050年カーボンニュートラル実現を目指し、住宅の省エネ化を支援する3省連携の補助制度です。
■目的と対象
耐久性と省エネ性能の高い良質な住宅の普及を促進します。新築では「GX志向型」「長期優良」「ZEH水準」が、既存住宅では省エネ改修を必須とするリフォームが支援対象です。
耐久性と省エネ性能の高い良質な住宅の普及を促進します。新築では「GX志向型」「長期優良」「ZEH水準」が、既存住宅では省エネ改修を必須とするリフォームが支援対象です。
■新築の変更点
前年度より補助額は全体的に引き下げられたものの、寒冷地などでは同水準を維持しています。
前年度より補助額は全体的に引き下げられたものの、寒冷地などでは同水準を維持しています。
■リフォームの変更点
部分的な改修から、住宅の古さと性能向上に応じた補助額が決まる「パッケージ方式」に転換し、性能向上を強く促す内容になりました。
部分的な改修から、住宅の古さと性能向上に応じた補助額が決まる「パッケージ方式」に転換し、性能向上を強く促す内容になりました。
■利便性
国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携することで、「先進的窓リノベ2026事業」などと併用でき、ワンストップでの申請が可能です。
国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携することで、「先進的窓リノベ2026事業」などと併用でき、ワンストップでの申請が可能です。
制度の詳細や申請時期については、今後公表される最新情報をこまめにチェックしましょう。
参考
┃いえーる 住宅研究所から最新情報をお届けします。
最新情報を一早くチェックしたい方は下記「登場する」からご登録ください。
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