不動産業界におけるVR内覧のメリットや注意点は?今後の展開などを解説

投稿日 : 2023年08月28日

「反響はあるが、内覧後の成約率が低い」「内覧対応の負担を減らしたい」これらの悩みは、VR内覧の導入で解決できる可能性があります。

内覧といえば現地での対応が一般的ですが、革新的な技術の開発によって常識が変わりつつあるのをご存じですか?

今回は、不動産会社がVR内覧を導入するメリットや注意点について解説していきます。導入時に利用できる内覧ツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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VR内覧とは?

VR内覧とは、VR技術を用いて行う内覧です。紹介したい物件の外観や内装を特殊なカメラで事前に撮影し、編集後に公式サイトなどで公開します。3D設計のため、通常の写真や動画よりも現地をイメージしやすくなります。

VR内覧は「外から玄関へ入り、リビングやキッチンへ進む」といったツアー形式のものが多く、実際に現地を歩いているかのような体験をすることが可能です。

【不動産会社側】VR内覧のメリット

不動産会社がVR内覧を導入した場合のメリットは以下の3つです。

  1. 人件コストの削減
  2. 成約率の向上
  3. 幅広いエリアからの集客

順番にみていきましょう

人件コストの削減

VR内覧は、営業担当者が顧客に同伴する必要がないため人件コストの削減を期待できます。昨今は、接客や内覧をオンラインで実施するケースもありますが、それらのサービスとVR内覧は別物です。

VR内覧は、事前に物件の写真を撮影し、編集などを施した画像や動画をインターネット上で公開する仕組みとなります。

最近ではVR内覧ツールが多数あり、撮影に不慣れな人や動画編集スキルがない人でも品質の良いVRを作成できることで注目されています。

成約率の向上

従来の内覧では、消費者がインターネット上で物件情報を検索し、不動産会社に依頼して見学していました。
その他、希望に沿った物件があれば、営業担当者が案内するケースも多いでしょう。

しかし、消費者が事前に入手していた情報と現地とのギャップがある場合であれば成約に至らないケースも珍しくありません。

そんな場合でも、VR技術を活用すれば高画質な画像や動画を事前に確認できるため、現地とのギャップが生じにくくなります。

また、VR内覧は消費者が複数の物件を気軽に比較できます。複数を比較した上で気に入った物件のみを現地で内覧してもらえば、成約率の向上につながるでしょう。

幅広いエリアからの集客

少数精鋭の不動産会社の場合、対応可能なエリアが限定されるケースもあると思います。VR内覧を一度作成すれば、内覧の度に現地へ赴く必要はありません。

地域密着にこだわらず、自社の対応エリアを拡大したいというケースにも有効的な手段の一つです。

【顧客側】VR内覧のメリット

VR内覧は、自宅で簡単に内覧できる、不動産会社への連絡が不要など、顧客にとっても便利なサービスです。また、AIを用いたホームステージングと組み合わせれば、入居後の生活をイメージしやすくなります。

時間や場所を選ばず、遠くからでも内覧できる

忙しい日常生活の中での物件探しは、顧客にとって大きな負担です。

特に、急な転勤で遠方への転居が決まった人や高齢者など、現地訪問が難しい人もいるでしょう。VR内覧ができれば、インターネット上でどこでも内装を確認できます。

不動産会社との対面なしで物件を比較検討できる

「なんとなく気になる」「少しだけ確認したい」といったケースでは、気になる物件があっても不動産会社への連絡を躊躇してしまう可能性があります。

「内覧後に契約しないと申し訳ない」「営業されるのではないか」など不安があるためです。VR内覧であれば不動産会社の案内なしで、複数の物件を比較・検討できます。

内装のシミュレーションがしやすい

VR内覧ツールの中には、AIを用いて仮想のホームステージングを設定できるものもあります。

家具を配置した状態を確認できると入居後の生活をシミュレーションしやすくなり、不動産会社へ相談する前に具体的に検討可能です。

VR内覧で使えるツール5選

最近では、さまざまなVR内覧ツールが登場しています。VR内覧の導入を検討している不動産会社向けに5つのツールを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

RICOH360 Tours

画像出典元:株式会社リコー

RICOH360 Toursは、RICOH THETA(専用カメラ)とモバイルアプリを接続することで、360度パノラマVRツアーを作成できるツールです。カメラメーカーとして培ったリコー社独自の画像処理技術とAI技術を駆使して、高品質な仕上がりを実現します。

追加ユーザ数による課金体系のため、小規模事業者でも少額から始められます。

【費用】

月契約 年契約(1ヶ月あたりの金額)
Pro 月額4,500円 年額48,000円(4,000円)
Business 月額 7,000円 年額72,000円(6,000円)

※料金はユーザー数によって異なります
※フリープランあり
※別途、RICOH THETA(専用カメラ)が必要です(無料貸し出しあり)

ノダルビュー

画像出典元:株式会社クラスココンサルファーム

ノダルビューは、ベルギー生まれのVR内覧ツールです。運営会社はベルギーの会社ですが、クラスココンサルファーム社が日本で代理店をしています。

スマートフォンと基本セット(各種アクセサリや高性能レンズ、三脚など)を組み合わせて物件を撮影し、アプリと接続してVR内覧ツアーを生成する仕組みです。操作性が良く、誰でも簡単に高画質のVR内覧を作成できます。

【費用】
月額11,000円
※別途、基本セットの購入費用

VRROOM

画像出典元:AR株式会社

VRROOMは、不動産仲介業に特化したVRアプリです。VR内覧ツールと併せて、「スマートVR売却」や案内革命「ミカエル」というノウハウが提供される点が特徴になります。

スマートVR売却は売却査定時に専任媒介契約を獲得するための営業ノウハウ、ミカエルは不動産仲介業における成約率アップのためのノウハウです。VR内覧とノウハウをセットで活用することで、自社の業績UPを狙います。

【費用】
要問い合わせ

デジタルツイン不動産

画像出典元:全景株式会社

デジタルツイン不動産は、VR作成ソフトウェアに強みを持つ全景社が提供するツールです。最新技術を駆使して、新しい形の内覧を実現しています。

例えば、VR技術を利用して仮想空間を作り、アバターや音声通話、チャットなどの機能と組み合わせます。

仮想空間上で顧客を案内できるため、営業担当者が現地へ赴く必要がありません。

その他、AIが適正な撮影ポイントを把握してVR内覧の魅力を高める機能、顧客が内覧する様子を視覚化して内覧後のアプローチに役立てる機能など、それぞれの機能が革新的かつ魅力的です。

【費用】

月額
ベーシック 30,000円
プレミアム 60,000円
DXフロンティア 要問い合せ

※メンバー数や公開数などに上限あり
※別途、初期費用がかかる可能性あり

VR内見

画像出典元:ナーブ株式会社

ナーブ社が提供する「VR内見」は、「ナーブクラウド」という独自のVR配信プラットフォームを利用して消費者にVR内覧を体験してもらう仕組みです。ナーブクラウドには、VR内覧の撮影・管理・配信のための便利な機能が揃っています。

【費用】
要問い合わせ

VR内覧を行う際の注意点

VR内覧の導入時は、初期費用や利用条件を確認しておくとよいでしょう。また、トラブル防止の観点から、消費者へのフォローも大切です。

使用するツールや機材の機能、価格の確認

VR内覧ツールを利用する際は、カメラや専用機材が必要です。月額利用料とは別途で購入するケースが多いため、初期費用の総額を確認しておきましょう。

また、機材を購入する前に、各社を十分に比較することをおすすめします。特にカメラは高額な傾向がある一方、新機種の登場によって使い勝手が悪くなる恐れがあります。機材の性能や自社が使用したい期間などを考慮した上で購入しましょう。

利用に制限が設けられているケースあり

自社の希望条件と、導入したいツールの利用条件がマッチしているかどうかの確認が必要です。例えば、サービスによっては不動産ポータルサイトでの公開ができないなど、公開範囲が制限されるケースがあります。

また、毎月公開できる物件数や利用人数が無制限のものもあれば、上限付きのものもあります。各種条件に注意が必要です。

VR内覧だけではわからない部分のフォロー方法

VR内覧では、従来の写真や動画よりも具体的に内装を確認できます。ただし、現地に行かないと確認できないこともあるため、それらの点について補足が必要です。

VR内覧ツールの多くは、作成したVRに補足事項として動画や文章を差し込むことができます。以下のように現地で気になる点があれば、補足しておくとよいでしょう。

  • 収納の広さ
  • 汚れや傷
  • 材質
  • 設備の機能
  • 臭い
  • 音 など

また、入居後のトラブル防止の観点から、可能な限り一度は現地を確認してもらうことをおすすめします。

VR内覧の活用方法として、例えば公式サイトなどで各物件のVRを作成しておき、消費者に気に入った物件を絞り込んでもらいます。気に入った物件のみを現地で案内すれば、業務効率化しつつ、入居後のトラブル防止にも役立つでしょう。

VR内覧の需要は高まる?今後の展開は?

2023年の時点では、VR内覧が一般的に普及しているとは言えません。しかし、近年は各業界でオンラインサービスの需要が高まっているため、VR内覧の需要も今後高まることが想定されます。

「場所や時間を選ばずに気軽に内覧できる」という消費者側のメリットを考慮すれば、社会に浸透していく可能性は高いでしょう。業務効率化や他社との差別化として、導入を検討するのも手です。

将来的に新技術の開発が進めば、現在よりもリアルな内覧ができるようになったり、消費者がホームステージングをカスタマイズできるようになったり、利便性がさらに高まるでしょう。

まとめ

VRをはじめとした革新的な技術によって、不動産業界のDX推進が期待されています。

VR内覧の導入は不動産会社と顧客の双方に大きなメリットがあるため、徐々に社会に浸透していくでしょう。

最近では多くのVR内覧ツールが登場しており、撮影や編集スキルがない人でも、高品質のVRを作成できます。業務効率化や他社との差別化を図るために、検討してみてはいかがでしょうか。

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